2011年4月19日火曜日

Vol.283 青葉 -7-21


「本当にそう言った?」
「ええ 私もちゃんと聞きました ねぇおじ様」
「おお 神山さん ワシが悪かった 許してくれ だから頭を上げてくれ」
ようやく神山は頭を上げると
「本当にすまん 悪かった 謝るよごめん」 
時田は神山に起立して丁寧に頭をさげた
今度は神山が 
「すみませんでした 私が皆に進め呑みました」
時田が座り話した
「実はな神山さん 昨日貴方の秘書を探していた 知っていますね」
「はい」
「まあ たっていないで座って そこのソファーに」
神山と洋子は勧められたソファーに座った
「その時 人選をした後 『田所』姓がワシの兄の連れ合いの姓だったんだ
そこで ここに呼んでいろいろと聞いてみたら 彼女の父親のお姉さんが
時田に嫁ぎました と言う話で分ったんじゃ ワシがこの鈴やに
入社した時 親戚一同ワシの家に集まってお祝いをしたんだよ
その時 彼女は1歳で 余りにも可愛いので抱っこしたんじゃ
血のつながりは無いが 昨日 親戚は親戚なのでおじ様と
呼びますって事になり 貴方が今日お礼を言いに来るというので
試したわけです 洋子ちゃん 大合格だ 120点か」
「だから 話をしたとおりでしょ 凄いでしょ 私 幸せです」
「おお それはいいが これ 早くいただこう」
時田は 箸でしめ鯖の切り身を一切れ口にした 
「うん 美味い こんなに美味いのはもう暫く食べていないな
いや 神山さん ありがとう 先ほどの言葉は忘れてくれ
貴方が言っていた 仕事だ さあ食べよう」
神山はようやく意味が掴め 洋子に 
「洋子さん コップを3つ用意してください」
洋子もようやく元気になった神山をにこにこしてみて
「はい 直ぐに 用意します」
洋子は秘書室からコップを3つもってきてテーブルに置いた
神山はビールを開け時田に注ぎ 洋子と自分に注いだ
「時田副社長 改めて ありがとうございます
今後も会社繁栄の為頑張りますので 応援をお願いします」
「うん わかりました 神山さん 洋子ちゃんを頼むな」
「はい 昨日も池上店長から言われました 大切にします それと
副社長 神山さんは辞めてください お尻が痒いです
山ちゃんでお願いします」
「わかった 山ちゃんで良いんだね」
「はい 倉元部長 池上店長 皆山ちゃんです アルタの仲間も一緒です」
「うん いいな ワシは幸せもんじゃ 山ちゃんのような人材を持って」
「ありがとうございます 私も良き上司に恵まれ幸せです」
「おお ありがとう しかし洋子 この男素晴らしいの 
初めて会ったのに びくついておらん わしの気持ちを動かした
ワシも頑固な事は知ってるね そのワシを動かすとは
まこと 男のなかの男だ そう思わんか洋子」
「ええ 昨夜も随分と長い時間話してました 催事課で一次会 居酒屋で
二次会 最後に二人きりで1時間ぐらい話をしましたが
聞けば聞くほど 凄い底知れない力の持ち主だと実感しました」
「おお そうだろう 男のワシだってほれるわな しかしいい男だ」
「ありがとうございます ちょっと失礼します」
神山はニーナ・ニーナの祥子に電話した
直ぐに出て あと30分ぐらいでいける事を伝えた
もう一軒電話した催事課だった 杉田がでた
「アルタさんはきた?」
「ええ 今 認印押しました 課長も居ましたので OKです」
電話を切ろうとしたが 洋子がとって
「杉田さん」
「あっ はい 先ほどは大変失礼致しました」
「そう 何時もきちんと話をしていないと だめですよ 99点」
「はい 以後気をつけます すみません 課長と代わります」
洋子が 奥村さんよといって神山に返したので
「はい 神山です」
「奥村です どうした 大変だと言っただろ こっちは」
「はい 今 時田副社長のところで ビールを呑んでいます お仕事中です」
「えっ」
時田が携帯を渡せとジェスチャーで合図したので渡した
「おう 奥村君 今な山ちゃんを借りてるぞ
本社に持って行かれるからって そんな嫉妬するな 山ちゃんの方が
よっぽど男らしいぞ ワシは山ちゃんを応援するぞ」
「はい ありがとうございます すみませんでした 失礼します」
携帯を切ると神山にかえし
「おお 早く食べないと不味くなるぞ」





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