2011年4月11日月曜日

Vol.275 青葉 -7-21


「はい」
「このスチールのストック棚なんですが ここの入り口から入ります?」
高橋は祥子の図面を見て考えた 什器にはきちんと寸法が記入してある
バックヤード入り口の間口は800で高さは2000しかない
通常高さがない入り口では寝かすように斜めにするが バックヤードの
奥行きが無く 無理をすると建具に傷を付けすし 考えた
「久保さん こうしましょう そのストックが来た時 中に入れるのは
我々で行います そのままの状態で入らなかったら分解します
それでばらばらにして中に入れ 組み立てします どうでしょう」
「ええ お願いします しかし組み立てって大変でしたよ」
「ご自分たちで組み立てですか?」
「ええ 3人がかりで 大変でした」
「はい わかりました 大丈夫ですよ 一人でも組み立てられますから」
「へぇ~ そんな」
「ええ コツが有りますがね」
「では 搬入お願いします」
「そうすると24日の日13時からですが その作業を最初に行いましょう
なので 積み込みをする時 最初に降ろせるように指示してください」
「そうですね 最後に積み込むよう指示します」
祥子は確認が済むと手帳に書き込んだ
「そうしたら私は帰ります ありがとうございます」
神山は祥子を駅まで送っていった
「ねぇ 今夜読めないって 遅いって事?」
「いや 彼にはそう言っておけば良いでしょ
例え 早く終って現場に寄っても怒られないし」
「そうね 予防線張っておけば大丈夫ね」
「しかし 今 本当に分らない 一応8時に出るつもりだよ」
「わかったわ 私もその位でないと出られないかな でも早く終るかも」
「うん 連絡とろう 時間がわかり次第 ねぇ」
「うん では行ってきます」
祥子は軽くキスをして 改札口の人ごみに消えていった

9時30分東京本社秘書室
「秘書 田所 洋子 人事発令 4月20日をもって命課発令  
職種 部長  役職 東京本社次長 神山 龍巳 専属秘書 以上」
東京本社秘書室では理事以上が立会い辞令交付となった
通常 行われないが 次長秘書と言う事で秘書室行われた
辞令を貰ったあと 各理事からおめでとうと言われ
お辞儀をして挨拶をした
部屋を出て行く西野理事に 洋子は
「後で 神山部長がご挨拶に伺います」
「分っているよ 車だろ 運転手付きでいいだろ」
「はい ありがとうございます しかし理事 もう少しクラスが
上でないとアルタさんにもそうですが ファッション界で引け目を
感じえません 神山はこれからアレックスグループと戦うのです
副社長の車とは申しません 予算のアップをお願いします」
「わかった それで何時に来る」
「ありがとうございます 上原の現場で打ち合わせ その後になり
15時前後だと思われます 私も同席いたします」
「わかった 欲しい車のパンフレットを用意して持ってきてくれ」
「ありがとうございます それで運転手ですが どうしても必要な時と
限らせて頂き 常時ではございません」
「うん そうだな君が付いているし 山ちゃんも飛ばすぞ いい勝負だ」
「えっ」
「うん 彼が上野に居た時 何回もゴルフに行ってな 帰りに運転手が
居なくなったんだ って言うかその車の持ち主が酔っ払っちゃって
急遽 山ちゃんに代わって貰った訳さ そしたら猛スピードで驚いたよ」
「まぁ 昨日はそんな話出ませんでしたよ」
「なに もう会ったのか」
「ええ 個人的ではないですよ 嫌だ理事 催事課の前祝です」
「おおそうか しかし彼はしっかりしている ワシの跡を継いで欲しかった
ごめんごめん では待っている 忘れるなパンフレット」
「メーカーさんは指定ございませんよね」
「おお 好きにしろ」
「ありがとうございます 神山に伝えます 喜びますわ」
「わかったから さっさと帰れ もう神山さん神山さん って」
「は~い」
洋子は西野に深くお辞儀をして見送った
理事が全員出て行った後 秘書室で 直通の電話番号を聞いた
「洋子さん おめでとうございます 凄いわ 私越されたもん 
今 西野さんから聞かなかった」
「ええ」
「あんなに長く何 話していたの?」
「ええ 車よ」





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