2011年4月6日水曜日

Vol.270 青葉 -6-20


「そうね 私もあなたと同じ考えです」
洋子はそう言い25万を神山に返し手帳に書いていた 書き終わると

「ねえ 貴方はクレジットカードを持っている?」
「いや 持たない主義だよ なんで」
「ねぇ クレジットカードはステータスシンボルなの 持たない?」
「う~ん しかしな~」
「分るけど それもお仕事と割り切ったら 普段使わないのだから
だって 戦略作戦って私だけじゃないでしょ」
「うん わかった 作ろう 洋子が進める事にマイナスは無いはずだ」
「そんな~ ごめんなさい しかし支払いが10万円ぐらいなら
問題ないけど 20万30万なんてあるでしょ そうしたら
毎日 100万持っていなければいけないでしょ
だったら相手にカードで支払いって 絶対優位に立てるわよ」
「うん そうだな 戦略の内だね」
「そうよ そうなの 良かったわ 本当に素晴らしいわ
本当は少し心配していたの でも良かった ふふふ」
「どこのカード会社がいいだろう」
「そうね どこも似たり寄ったりよ そうだ AEXにする?」
「あのアメリカの会社だね 入会審査が厳しいところでしょ」
「ええ あなたならAEXは大丈夫よ 現職理事で行くもん それに
審査で会社に電話が掛かってきても 根回ししておくから大丈夫よ
あした 印鑑でしょ引き落とし銀行カード 免許証をもって来て」
「うん ただ上原だからな住んでいるところは」
「うん そうしたら送付先を次長室にすれば問題ないでしょ」
「出来るの そんな事」
「ええ人事課は 色々とこなしているわ そう言う事で相談も受けるし」
「わかった 口座は余りと言うか 殆ど使っていない口座があるけど
それでもいいかな?」
「ええ 新しい口座より古いほうが信用は有るわね 
それに会社で何かあった時 通帳を調べるからその方がいいわ
そのうち 活動金が回転したら新しく作って変更すれば問題ないわ」
「わかった では明日忘れないようにする」
洋子は大丈夫と言う心配顔で見たので 神山の携帯電話番号を教えた
神山は料理を見てみると殆ど食べたので 洋子に
「ワインを呑んだら 出ようか?」

時計を見ると そろそろ24時になる
「そうね 出ましょうか ワインボトルは私が頂いてもいい?」
「うん でも持てるかな?」
「大丈夫よ もう一つあるから」
1階に行きカウンターで清算しようとすると
「ここは私がだしますって言ったでしょ」
洋子は笑って言った 神山は
「ではお言葉に甘えます」
「うん 素直でよろしい 120て~ん」
それを聞いていた カウンター嬢はくすって笑った 
外に出てみると先ほどより寒くなった
やはり青山と言っても日曜日の夜は人通りがなかった
朝からの曇天は変わらず 今も星を隠していた
洋子は神山の腕に絡んできた
「洋子 大丈夫?」
「うん 少し寒いわ」
「わかった ちょっと待って」
と言って ジャケットを脱 洋子に掛けた
「ふぁ 温かいわ ありがとうございます」
そう言うと 神山のほほにかるくキスをした
神山は人差し指で おでこをちょこんと触った
交差点に向かっていると タクシーが後ろから来たので乗車した
洋子に行き先を告げるように指示した
運転手に行き先を告げるとタクシーはゆっくり走り出した
暫くすると洋子の自宅近くに着たので 止まってもらい降りた
丁寧にお辞儀をし 手を振って見送った
(神山さん どうして誘わなかったのかしら 
由香里とは関係有るだろうな 由香里のあの乱れ振りでは
もしかして 魅力が足りないのかしら、、、わからないわ
だけど 初めてだから怖いわ、、、でもあの人だったらあげてもいいか
私がこんなに夢中になっているのに 分らないのかしら ば~か)

神山はタクシーの中で言っていた事を考えていた
【今夜は一人なの ほんとうよ 母は旅行でいないの
だから時間たっぷりあります】
(だけど 今夜は祥子が待っているしな 誘っている事は分るがなぜ?)
そんな事を考えていると携帯電話が鳴った





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