2011年4月23日土曜日

Vol.287 青葉 -7-21


「田所さん お化粧によって 素晴らしくいきいきしたわ
今までは どちらかと言うとお仕事柄 地味目だったの だから
思い切って 変えたんです このスーツに凄くお似合いよ
このお姿でしたら グラミー賞に行ってもひけをとりません
若返ったわ 今までのお化粧より」 
「神山さん どうですか? 若返りました?」
「もう そう言うレベルではないでしょ 美しすぎます
そうしたら 今使った化粧品をください」
チーフは 今までのは全て使えない事を伝えた
「はい 分りました お願いします」
チーフが計算して 18万円と言ったので洋子が手渡した
神山が
「チーフ大変申し訳ありませんが その商品を本社人事課安井さんまで
届けてください お願いします」
「はい かしこまりました 直ぐにお持ちいたします 安井さまですね」
神山は頷き 洋子と資生堂を後にした
店員達は洋子を振り返って見るようになった
洋子も悪い気分ではないようで しっかり背筋をのばし歩いた
「洋子 皆見ているぞ 凄いな」
「そうしたら 貴方のシャツを買いましょう」
「えっ このままでいいよ」
「ええ ですが私の言うことも聞いてください お願いします」
「わかった」

神山と洋子は2階の紳士服売場に行った
シャツコーナーに行き 洋子が
「このスタンドカラーだと素敵だと思います」
そう言っていると 店員が近づいてきて
「あっ 神山部長 いらっしゃいませ 今日は何かお探しですか?」
「うん この方がこのシャツが良いって進めるものだから」
「そうですか」 
店員は係長だった 洋子の顔をみてビックリした
「人事のいや失礼しました あっ 神山部長の あっ 次長の 
田所部長ではないですか 大変失礼致しました」
「分らなかった 私?」
「ええ どこのご婦人か分りませんでした 今までと全然違いますので
大変失礼しました しかしお似合いです」
「良かったわ これぜん~ぶ神山部長に買って頂いたの
貴方もしっかりしなさい それで神山部長にこれを勧めているの
どうかしら 私のお勧めは?」
洋子は係長に話をしていると 課長が寄ってきた
「神山部長 いらっしゃいませ」
お辞儀をすると 色々と聞いてきたので洋子が
「あなたは 他の仕事をしなさい お客さんは他に一杯いるでしょ
私はこの係長と話をしているの」
課長は なんだこの女と思い 顔をみてビックリした
「申し訳ございません 田所部長」
「なに あなたも私を分らなかった?」
「はい 神山部長が素敵なご婦人をお連れになっていたものとばかりで」
「はい 分りましたよ しかし残念ね 素敵なご婦人でなくて」
「いえ はぁ 申し訳ございません」
「ねぇ 似合うでしょこのシャツ 今の格好に」
「はい 全然いいです」
「なんだ 全然いいとは 服で仕事をしているんじゃないぞ
頭で仕事をするんだ 僕は」
怒った神山を洋子が宥めた
「課長 そう言う進め方がありますか もっと勉強しなさい分りましたか」
「はい 大変申し訳ございません」
課長は居場所が無くなり 元気なく去っていった

洋子は係長に あなたならどう勧めるか と言われ
「はい では言わせて頂きます 
今 着ていらっしゃいます Tシャツはシンプルで尚且つ活動的で
大変 着易いと思います しかしおしゃれと 言う部分では
少し物足りません そこでこのスタンドカラーのシャツを
お召し下されば おしゃれ度がぐんとアップ間違いないです
以上 ですが どうでしょうか?」
「良いわよ 99点 どう神山さん そう言う事です」
「ありがとう 課長よりましだ なんだ課長は だからホテル催事でも
何時も売上がギリギリで言い訳ばかりしているんだ 困ったもんだ」
「そうしたら これ頂くわ 着替えも含めて 5枚ちょうだい」
「カードは」
「いえ現金よ お幾ら?」
「5枚で 10万円です」





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