2011年4月1日金曜日

Vol.265 青葉 -6-20


だれが観るの?」
「ええ 田中君が行きます」
「分った 何時頃から入りますか?」
「うん 多分お昼を過ぎますが 今会社で図面を起こして 
明日 僕がチェックして それからになります」
「そうすると 僕もその図面を見られるわけだ」
「ええ そうすると 早いですよ 観ていただけると」
「備品類の配置もしてあるの? それと幸三君は何時頃来ますか?」
「ええ 一応は入れておきます 幸三は10時頃か10時30分頃でしょう」
「分った そうしたら 明日が楽しみです 今日と同じ位に行きます」
「了解 床綺麗に仕上がっていますよ」
神山は歩きながらはなした携帯をポケットにしまうと
「明日 辞令交付の後は?」
「ええ 引継ぎですが 大して在りませんよ」
「わかった 明日辞令のあと 10時半に上原の現場に来て下さい
住所はあとで教えます それとタクシーはこのチケットを利用してね」
「はい 分りました しかしなぜ上原に?」
神山は上原の高橋が責任者である事と次長室のレイアウトチェックが
明日10時30分頃から行われる事を伝え 出来るならば
使い勝手とか色々含め 洋子に観てもらい決定すれば 二度手間
三度手間にならず早く仕事が進む事を伝えた

「はい 分りました しかしそこまで考えて行動する人ははじめてよ」
「そうかな 僕にとっては普通だけどね」
真剣に話しいる二人はみなと段々離れ 気が付くと二人だけになった
神山がきょろきょろと探していると 路地から皆が出てきて
「お二人さん なに話していたんですか? 怪しいな?」
杉田がニヤニヤ言ってきた時
「杉田君 神山部長に失礼です 撤回しなさい」
急に言われ 翔は後ろに立っている皆を観ると 頷いているので
「すみません」
「違います 神山部長すみませんでした 以後言葉を慎みます でしょ」
元気を無くした杉田はもう一度
「神山部長 すみませんでした 以後言葉を慎みます」
きちんとお辞儀をしたら 今度は皆に
「皆さんも意地悪しないで下さい 余計な詮索は無用です 分りましたか」
「おう 洋子ちゃん 分ったから 怒るなよ なぁ ごめん 誤るよ
二人が 話しに夢中になっているので やきもちを焼いたんだよ
だから ごめんね」
「はい 分りました 明日の件で話をしていたんです 
ちゃんと考えて 取引先をコントロールしているんですよ
それを やきもちだなんて 失礼です 神山部長に」
「田所さん ごめんなさい 悪気は無しなんだ だから機嫌を直して」
「そうですね 悪気が有った訳では無いし 機嫌を直してください」
「神山さんが そう仰られるなら 今回は許します」

奥村がホッとして暫く歩くと 綺麗な居酒屋に入った
座るとおのおのが好きなものを頼んだが 洋子だけは注文しなかった
「どうしたの 注文しないで 具合でも悪いの?」
「いいえ こう言う処 余り来た事ないんです だから味とか
量とか だって頼んで残したら失礼でしょ 神山さんのが来てから
注文しようと思っているの」
「うん わかった そうしたら由香里姫 枝豆を追加してくださいな
それから美味しい 冷奴もお願い」
「は~い わかったわ」
最初にビールが来たので 奥村課長が 翔 乾杯の音頭を取れと言われ
「え~ 先ほどは我社の繁栄をご相談されている所へ ちゃちゃを
いたしまして 申し訳ございませんでした 乾杯」
みんなで乾杯して ホッとしていると
「杉田さん お上手よ 今のスピーチ 99点よ 頑張ってね」
皆が笑った 当の杉田は
「なんで100点じゃないんですか?」
「そうね 一言で言えば 神山さんのように心がこもっていなかったわ」
がっかりした杉田は俯いてしまった
今の言葉も 一所懸命考え 言葉を選んだつもりだった
「おう 翔 良かったぞ 99点で満点だ 今の翔では上出来だぞ」
「そうだ 落ち込むな 田所さんに99点貰った事ないから 
俺なんか何時も 70点とか60点とか酷いもんだ 元気出せ99点」
みんな笑った
「そうね 私も99点なんて洋子から貰った事無いわ」
「何言っているの由香里は100点有ったじゃない 何回も」
「いいの だから99点は貰っていないの わかった 翔くん」
「はい 分りました がんばります」
そう言いビールをぐいぐい呑んだ





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