洋子はお金を渡し
「ここで着替えたほうが良いと思います」
洋子に言われ 試着室で着替え Tシャツを店員に渡した
「悪いけど これ催事課に届けてください お願いします」
「はい 直ぐに届けます」
紳士服売場を後にすると 洋子が
「素敵よ あなた」
「うん ありがとう」
洋子が靴を買いましょうと言い紳士靴売場に行った
カジュアルシューズを探していると
「あっ 神山部長 いらっしゃいませ 先日はハンドバッグの件で
大変お世話になりました ところで今日はどのような感じの
靴をお探しですか」
「うん この格好で歩ける シンプルなデザインで
出来れば 皮で軽いのがいいな お願い」
「はいかしこまりました 少々お待ちくださいませ」
係長は言われたイメージに近い靴を3足持ってきた
いろいろ説明をし
「やはり 最初に説明した靴が一番履きやすいかと思われます
自身も 使っていますが 全然疲れません 軽いのが良いですね」
そう言って3足を神山に渡し 軽くてデザインも良いので
「これ履いても良いですか?」
「はい こちらでどうぞ」
鏡がおいてある所で履くとGパンにぴったりした
「うん これにする」
「はい ありがとうございます カードは」
そこで洋子が
「あなたは 接客が上達したわ」
「あっ 田所部長 ありがとうございます しかしびっくりです
田所部長とは全然気が付きませんでした 申し訳ございません」
「いいのよ それで 接客の基本を守っているわ
それで そちらの靴はどうなの」
「ええ お決めになってくださった 靴より少し重たいですが
逆に頑丈です 雨などの時はこちらの靴がいいと思います
こちらは 牛革で お持ちのはシープです」
「デザイン的にもいいし 2足下さい 神山さん シープを
お履きになられたらどうでしょうか
今のファッションに合っていると思うわ」
「うん そうしよう そうしたら この靴とその牛革は
お手数掛けて申し訳ないが 催事課に届けてください」
「はい かしこまりました」
「2足でおいくら?」
「7万円になります カードは」
「いえ 現金よ」
洋子は7万円を係長に手渡し 靴売場を後にした
「ねぇ あなた あと46万円です」
「うん なんとかなるさ」
「でも そうだこのまま おじ様の所行かない ねぇ」
「うん きちんと報告しよう 喜んでもらえるな」
洋子は携帯電話で 秘書室に連絡をとるといると言われた
「おじ様いらっしゃいます 行きましょう」
二人は背筋を伸ばして歩いていると 周りの係長や課長達が神山には
気が付くが 洋子とは気が付かず 深々と挨拶をしてきた
「なあ 洋子 僕は分るが君は分らないらしいな この様子だと
そうすると 明日当りまた僕の噂で持ちきりになるね 困ったな」
「良いじゃない だってまだ関係してないから」
洋子はしまったと思ったが 顔を真っ赤にしてしまった
少し俯いたのが横目で見えたので 横顔を見てみると綺麗だった
神山はあえて何も言わないでいると 小さい声で
「良いでしょ もう一蓮托生よ だから 何を言われても大丈夫よ」
神山はまた黙って聞いていた
(この人 私をどう思っているのかしら こんなに言っているのに)
(まずいよな~ そんなに誘われても 困った どうしよう)
神山は何も告白できないまま 本社のエレベーターへ向かい乗った
突然洋子が神山に
「大好きです 愛しています」
そう言ってほほにキスをした そして手でマークを丁寧に落とした
神山はきょとんとし エレベーターの扉が開いても降りなかった
洋子が後ろから押して 明るい声で
「おじ様 驚くわよ きっと」
にこにこしながら 事務室に入った
事務室で最初洋子と分る人間がいなかった
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