2011年1月30日日曜日

Vol.204 青葉 -3-17


この様な斬新なアイデアを盛り込んだプランを出した
最初 旧経営陣は反対したが 一哉の熱心な意気込みを感じOKした
以前の社員寮は小田原駅よりまだ南に位置し海岸が近く
レジャーとしては良い場所だが 通勤には苦労した
駅まで徒歩かバスで着き そこから会社専用の送迎バスに乗り換える
と言う手段で通勤をしていた
昼食にしても午前中に仕出し弁当屋に注文し昼には各職場で食べていた
一哉も当然同じ環境で生活したが 作業員が喜んで
作業していない事はすぐに分った
現在 社員寮は工場敷地内にあり 食事も工場内で賄えるし
居酒屋など アルコール類も工場内にある
勤務体勢も24時間制だがフレックスタイムを取り入れ
生産効率を上げている

「そうすると 従業員の人達はどうなんでしょうか?
少し 窮屈に感じないですかね?」
「ええ 多少は感じる所は在るでしょう
しかし 食事に掛かる経費は実費だけ
それに うちのフレックスは月間の規定実働時間を
自分の都合に合わせたシフトが作れます」
「へぇー」
「勿論 今回のように仕事が詰まっている時は 
事前調整をしますがね」
「それにしても 素晴らしいですね」
神山たちが話し込んでいると 板前が
「今朝 上がったばかりの魚です
お口に合うか分りませんが どうぞお召し上がりくださいませ」
「さあ 神山さん どうぞ召し上がってください」
神山は鮮魚の盛り合わせを一口したとき 美味しいと思い
どこかで食した新鮮な味だと感じた
「凄く美味しいです」
「喜んでいただけて 良かったです」
板前がニコニコしてカウンターに戻ると 今度は日本酒を運んできた
「こちらも 喜んでいただけると思いますが どうぞ」
「えっ 日本酒ですか、、、」
これから3時に桜川亜矢子と合うのに
大丈夫かなと思いつつ口をつけると
「あれっ 美味しい しかし、、、?」
「さすが 神山さん 分りますか?」
「、、、 もしかして 御殿場?」
「そうです 御殿場グランドインの地酒です」

「へぇー 凄いですね」
「ええ 社長が大変気に入りましてね 置いてます」
「しかし こんなに美味しいと皆さんの財布はどうなんですか?」
「そこなんですが 結構みんな呑んだり食べたりしていますよ
社員は 食材料費を実費で払うだけです
それも 先月会社が支払った分だけです」
「そうすると ここで働いている板前さんなんかは?」
「ええ 勿論会社の福利厚生の一環として働いてもらっています
ですから ちゃんとお給料は出ますしね」
「へぇー 凄いですね」
「もっと凄いのは 各飲食店のランキングもあるんですよ」
「ナンですか?」
「それは どこのお店が一番人気があるかなどです」
「それも変っていますね」
「ええ この様な方法を取り入れると いろいろな部分で
切磋琢磨します 例えば 新鮮な食材探しや新しいメニュー開発など
勿論 新鮮な食材を取り入れると言っても やはり食材予算があり
予算内で美味しく新鮮な食材を探さなければいけません」
「ええ」
「そして 1ヶ月間でどこの店舗が一番売上があったかなど
データーに現れます その月の上位3位までが会社から金一封を
頂けるし 年間売上ポイントで最優秀店にはまたまたご褒美が
待っています 結局の所 安くいい食材を美味しく食べて頂く事です 
勿論 接客マナーも重要ですね
その様なシステムがあると お店側としては従来からある
従業員食堂の考え方とスタンスを考え直さないと出来ませんね
それから もっと驚かれる事があるのですよ」
「どんな事ですか?」
「これも私自身驚いたのですが
連続で同じお店で食事が出来ないようになっているのです
例えば お昼にここで食事をすると夕食事は違うお店を
利用するとか栄養摂取が偏らないよう色々と社員の健康まで





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