2011年1月20日木曜日

Vol.194 青葉 -2-16

今日の祥子は紫陽花をイメージした彩りだった
「祥子 素敵だよ」
神山は素直な思いを告げた
色白の肌にパステルパープルのジャケットが良く似合っていた
上原の駅に向かうまでいつものように腕を組んで歩いていた
駅前のブティック現場前に着くと 
「では 先に銀座に行っていますね」
「うん 改札口まで送るよ」
神山は現場を過ぎ改札口まで祥子を送った
祥子はこちらに見える程度に可愛らしく
小さく手を振りながらホームに消えていった
神山は見えなくなったところで改札口を離れ現場に向かった
歩いている間 祥子の昨日の話や今朝の態度が気になった
現場の進捗状況は良好だし 筒井さんとの仕事上の事か?
神山は自分の女性関係が知られたのか、、、
色々と考えている間に現場についた
「おはようございます」
「、、、」
「山ちゃん? おはよう」
「、、、」 
「どうしたの ねえ 山ちゃん」
現場の前で待っていた高橋が 
うつむいて歩いてくる神山を見て挨拶をするが 返事がなかった
神山が現場を通り過ぎようとしたので 腕をつかんで
「どうしたの 山ちゃん?」 
「あっ ごめんごめん」
「本当に 夢遊病者だったよ 何があったの?」
「あっ うん なんでもないよ」
「そうか 仕事のし過ぎかな」
「うん ちょっと考え事をしていて ごめん」
「山ちゃん 大丈夫?」
「うん 大丈夫だよ」
「もう 床材が来ていて 敷き詰めているよ」
「ほんと 早いね」
「今 丁度 自然光が綺麗に入っているから見てください」
神山は高橋の案内で店舗の外から床材を眺めた
床材が少しだけ敷き詰められた場所を見たが納得した
やはり自分が思ったとおり自然光に対応した色を
選択した事に間違いはなかった
神山は今まで構築した物が役立ったと思った
段々と自信が表に出てきたのか明るい顔に戻ってきた
現場の中はまだ床材の糊があったりで入れない状態だったが
神山は高橋に什器の提案をした

「ねえ 孝ちゃん 柱周りの什器だけど」
「うん?」
「アクセントでメタリックを使ってみない?」 
「えっ? どのように?」
「うん 今考えたんだけどさ 柱の所にもう少し立体感を出す為に」
「具体的には?」
「うん この床材を生かす為に 什器の立ち上がり面に
メタリック塗装を施すと 多少でも反射して奥行きが出るでしょ」
「うん そうですね それはいい考えですね しかし、、、」
「うん 僕がこれからニーナ・ニーナに連絡を入れます
什器の塗装はまだ 大丈夫でしょ」
「そうですね どちらにしても メタ塗装は最後になりますから」
「分りました」
神山は祥子に携帯で連絡を入れた
しかし まだ地下鉄に乗っているらしく出なかった
今度は筒井と連絡をとった
「おはようございます 神山です」
「やあ おはよう いつもありがとう」
「ところで 筒井さん 現場の柱巻き什器の件ですが、、、」
神山は筒井が納得するよう塗装変更について説明をした
「分った 山ちゃんの考えたとおりに進めてください」
「ありがとうございます」
「ただし 余り予算をオーバーしないようにお願いします」
「分りました 久保さんには後で連絡をします」
「うん こちらからも一応しますがお願いします」
神山はメタ塗装が決まったので高橋に頼んだ
高橋は直ぐに小田原工場の塗装部門に変更の連絡を入れた
「山ちゃん 大丈夫だよ 間に合ったよ」
「それは良かった 孝ちゃん 予算の件だけど、、、」
「大丈夫ですよ このぐらい 何とか成るでしょう」





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