2011年1月9日日曜日

Vol.183 青葉 -1-15

神山は随分と安くなったのでお得な気分で現金を払った
プレゼント包装されたブレスレットを受け取り店内を見渡していたが
祥子に似合うバングルを見つけた
よく見るとホワイトゴールドに誕生石が埋め込まれていた
祥子の誕生月は2月なのでアメジストだった
シルバーの色に良くあった紫色が輝いていたが
値札を見てみると60万円と書いてあった
神山は店員にこちらの商品も割引になるか尋ねると 
「はい 限定商品ですが割引をさせて頂きます」
販売員の女性は押し付けがましいスタンスではなく
尋ねられた事に関しては顧客平等に親切な対応をしていた
神山はこちらのバングルも購入する事にした
「こちらのバングルも頂けませんか プレゼント包装でお願いします」
「はい かしこまりました 少々お待ちくださりませ」
カウンターで販売員がプレゼント包装をしているときに
「神山様 こちらはカードの割引の後30%OFFとさせて頂きます」
「そうするといくらになりますか?」
「はい 消費税込みで37万8千ですが 37万円でお願いします」
「そんなに安くして頂いて 大丈夫ですか?」
「ええ このように何回も来て下さるお客様には特別です、、、」
神山は銀座の店舗には行ったことが無いが こんなに安くなるならば
これからここを利用しようと思った
神山が商品を受け取った後に女性客が会計をしていたが
別に割引の事は話していなかった
やはりプレミアムカードの威力かと思って店を出たが
12時にはまだ時間があったので他のブティックも覗いた
昨夜からの謝礼金はお酒やブティックの収支を考えると
丁度プラスマイナス0になった
愛している人に自分の気持ちを伝えるのに
ある程度の金額が必要だと思ったが 果たして、、、
いくら金額ではないと言っても 贈った物に差がついた事を考えた
亜矢子が80万円 祥子が60万円 由香里が30万円
果たしてこんなに差別をしていいのか否か、、、
しかし 済んだ事だから気にしない事にした
神山はブランド名を知っているブティックもあり楽しくなり
ウインドーショッピングをした
一通り見て廻ると12時10分前になったので玄関に行くと
橘と矢田部 愛が見送りにきていた
ホテル側で用意したタクシーで御殿場に行く事にした
車に乗ると橘と矢田部がお辞儀をして見送ってくれた
神山は車の中から二人に軽く会釈をした

タクシーが御殿場駅に着くと亜矢子はすでに来ていて待っていた
「ごめん 遅かったかな」 
「いいの 早めに出ないと 出る機会を逃してしまうから、、、」
「ありがとう ところでお昼はどうしますか」
「考えていないの あなたはどうされますか?」
「うん 先日の叔母さんの所は時間が近すぎるしご迷惑かなと、、、」
「そんな事ないわ 叔母さん喜んでいたわ」
「亜矢子はあそこでもいい?」
「ええ 全然構わないわよ」
「それとも お肉どうかなと思っているんだけど、、、」
「焼肉ですか?」
「うん ステーキを一緒にどうかなとも考えていました」
「う~ん うちのホテルより美味しい所は、、、 ありますよ三島に」
「えっ ほんと そうしたら今日は三島のステーキで決定だ」
亜矢子は微笑み頷いた
早速 御殿場線沼津方面のホームに行くと電車が入ってきた
乗っている人はまばらで ボックスシートを2人で独占した
「では これ」
神山は キオスクで買った地ビールを亜矢子に渡し乾杯をした
亜矢子は神山の目を見ながら嬉しそうにビールを呑んだ
この間同じ様に呑んでいた時と全然顔色が違った
12日には由香里が同席していた事もあり
それにまだ男女の関係になっていなかったから
当然と言えば当然であった
今日が15日だからたった2日しか空いていないのに
長い間逢っていないような気もするし 昨日逢った気もした
このままのペースで亜矢子に逢えるとは思っていなかったが
しかし亜矢子と直ぐに結婚をする事を考えてはいなかった

「ねぇ どうしたの さっきから聞いているのに、、、」
亜矢子は神山が考えている時に 昨夜の事を尋ねていた
「ごめん ちょっと気になったから そちらを考えていた ごめん」





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