2011年1月10日月曜日

Vol.184 青葉 -1-15

「また お仕事の事?」
「うん、、、」
「ねぇ 昨夜はどこに行かれたの? あそこですか?」
「あそこって?」
「2階にあるナイトクラブですよ 知っていますよ 在る事は」
「それはそうだよね 従業員だし、、、」
「そんな事は聞いていません 行かれたのでしょ」
「うん 連れて行かれた ショーが楽しかったよ」
「それで?」
「それだけだよ 内藤夫人や椿夫人と一緒に楽しんだよ」
神山は亜矢子が二人の女性に付いてなにか知っているのか否か
「なんでそんなに聞くの? 何かあるのあそこに」
今度は亜矢子がご婦人の素性を明かすか否か考えた
神山は内藤と椿から半ば強制的に言われた事を
守らなければいけなかったので嘘を言った
「ショーは衣装を付けた男女のコミカルだがエロティックなものよ」
「本当にそれだけ?」
「どうして?」
「実は他のお客様から聞いたのですが、、、」
「うん それで」
「言いずらいけど ご婦人達が遊んでいるとお聞きしたものですから」
「だって別にショーを楽しんでいるだけだったら いいじゃない」
「それが ショーがクライマックスに近づくと 
カーテンが降りて来てボックスシートが見えなくなるように
工夫されているそうです」
「へぇ 凄いね、、、」
「そのお客さんが言っていたのは カーテンが閉まった後に
男性ダンサーがそこに入り暫くすると 女性の喘ぎ声が響き渡ったと
言われていたんです だから心配で、、、」
「何が心配なの?」
「だって あなたがするはず無いと思っていても ご婦人達と、、、」
神山は亜矢子が聞いたことはまず間違いないと思うが 少し大げさに
亜矢子に伝わっていると考えた
あのホールで大きい声を出してもそんなに他人に分るわけではないし
カーテンで仕切られた空間をどのように想像してもかってだし
「まず 考えられる事は そのお客さんの嫉みじゃないか」
「なんで」
「だって カーテンで仕切られた空間で何が起きているのか
そのお客ははっきり見たわけかな それにホール全体が
大きいボリュームで 音楽が流れているのに 
喘ぎ声が響いたと言うのも可笑しいよ」
「ふ~ん そうよね あなた達はカーテンが降りてきたの?」
「ううん 確かにカーテンが降りてきている所も有ったが、、、」
「そうしたら ご婦人達とは何も無かったのね」
「なにそれ?」
「だって 心配だもの あなたが素人の方と遊ぶの」
「じゃあ 商売している人だったらいいの」
「それも嫌だけど 仕方ないでしょ 素人よりましだわ」
「ふ~ん しかし何でそんな噂を信じるの?」
「ええ ごめんなさい 一人や二人じゃないのよ
だから椿支配人にも何回か言ったわ」
「そうしたら」
「うん 分った 今後誤解されないようにする と仰っていたわ」
「椿支配人も大変だな 変な噂が流れると、、、」
「ええ 私もそこが心配です」
「亜矢子はさっき僕が心配って言っていたぞ」
「それは優先順位で あなたが一番よ当たり前でしょ
だけどあそこが無くなったら
こんなおばさん雇ってくれるところ無いでしょ」
「まあ それはそうとして おばさんなんかじゃないよ まだまだ」
「そうね まだ36ですものね」
二人は笑いながら乾き物のおつまみを食べながら地ビールを呑んだ
神山はなるべく亜矢子に集中するように考えていたが
時々 昨日のご婦人達の行動がちらついた
いい方向に転ぶのか 悪い方向に転ぶのか
単なる遊び相手で終るのか否か、、、
亜矢子とおしゃべりを楽しんでいると沼津駅に到着した

三島のステーキハウスまではタクシーを利用した
丁度 亜矢子のマンションと三島駅の中間に在った
玄関をくぐると ホテルと同じ様な造りでびっくりしてしまった
先ほど御殿場駅で亜矢子が予約をしていたので
カウンター席につく事が出来た
カウンターの中で他のコックに指示をしながら




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