神山は高橋と少し離れて 亜矢子に電話をした
「神山ですが、、、」
「私です 昨日はありがとうございます」
「どういたしまして ところで亜矢子さん」
「はい」
「連休の件はどうなりましたか?」
「喜んでください」
「えっ」
「あのね」
亜矢子は回りに気を使っているのか小さい声になった
「22日から24日までお休みが取れたの」
亜矢子は細々とした声だったがはっきりと伝えた
直ぐ傍で話をして居る時の笑顔が浮かんだ
「よかった そうしたら24日まで連休しましょう 合わせます」
「だけど 本当に大丈夫ですか お忙しいのに、、、」
「大丈夫 そんな事より 22日まで元気でね、、、」
「ええ あなたも、、 又連絡を下さいね」
「わかった 連絡をします」
神山は携帯電話をしまうと高橋の所に近づき店内に向かった
店内の受付に行き名前を告げると 奥の席に案内された
4人がけのテーブル席だが隣りとは衝立で仕切られていた
二人はビールを頼み うなぎの骨をから揚げしたおつまみも頼んだ
うなぎ屋だが簡単な鮮魚のおつまみもありそれも一緒に注文した
「それでは 床材の成功で乾杯」
高橋が 神山に向かってジョッキを突き出し神山と乾杯をした
床材に対してとりとめのない話をしていると 鮮魚のおつまみが来た
たこ えび いか あわび 鯛の切り身 などなど
「凄いですね 山ちゃん こんなにたくさん、、、」
「そうですね それに色も良いし 美味しそうですよ」
「では 頂きましょう」
「そうですね 頂きましょう」
神山と高橋は 美味しい鮮魚に満足し箸を進めた
「ところで孝ちゃん 上原の受け渡し日はいつになったの?」
「うん それがやはり4月25日土曜日におおむね決定です」
「ニーナ・ニーナには 連絡をしてあるの?」
「うん、、、」
「どうしたの?」
「実は 25日だと夕方になってしまいそうなんですよ」
「そうか でも一日でも早いほうが先方も喜ぶでしょ」
「そうですよね、、、」
高橋はいつになく暗い表情になっていた
「何が心配なの?」
「什器の搬入が遅い為一日ずらそうか考えているのです」
「製作がぎりぎりなんだ」
「そうではなくて、、、」
「なんだよ 孝ちゃん ちゃんと教えてよ」
高橋は神山に見つめられ事実を話す決心をした
「什器の製作は充分間に合います 配送の手配が上手くいかなくて」
高橋はそこまで言うとうなだれてしまった
「そうか だけどなんで?」
「ええ ちょうど横浜の百貨店とバッティングしていて、、、」
「そうか 横浜と当っているのか」
神山は 横浜東口に今度出店する百貨店を考えた
「ええ 車さえあれば25日の朝に引渡しが出来ます」
「そうすると 24日の夜に搬入か」
「ええ 本当に車がないんですよ 横浜に取られています」
「このような場合は フリーの業者まで横浜に行くものなの?」
「ええ 色々当ってはいるのですが
なかなかまとまった台数がなくて」
「孝ちゃん そうしたらさ 僕がこれから車を当ってみるよ」
「ええっ そんな」
高橋は神山に言われても自分の裁量ではどうすることも出来なかった
神山は銀座の倉元に電話をし確認すると神山の意見に賛成した
結局 リース.レンタル什器専門で
大手の吉本が使っている運送業者に頼む事にした
吉本はもともとファッションマネキンの大手だが
この頃は店内改装を手がけるほど大きくなってきていた
物流に関してはいつも使っている第二貨物がメインであった
神山は吉本に訳を話し第二貨物を借りる事にした
吉本のほうも横浜に納品があり渋っていたが神山の熱意に負け
「分りました しかし少し割高請求になりますがいいですか」
「うん 絶対に24日の金曜日は抑えてくれ」
.