2011年1月27日木曜日

Vol.201 青葉 -3-17


「そうね しかしその話だけど 筒井は知っているの?」
「いやまだだよ 最終引渡しの話も今日決まった話だからね」
神山は引渡し日の経緯をかいつまんで話し
4月22日の什器確認の必要性を納得してもらった
「引渡しの日がそんなに早くなったなんてうれしいわ 本当よ」

祥子は神山の出張より上原が早くオープンする事に興味を持った
勿論 ニーナ・ニーナでも4月25日の引渡しを前提にし
商品手配や人員配置などを進めてきたが
4月24日に什器が入ってくるとすれば
商品などは24日の夜には配達を済ませておきたいと祥子は思った
「ねえ 24日の夜に商品のダンボールは置けるかしら」
「うん 置けないことはないけど 最終的に25日の引渡しだからね」
「そこを何とかできないかしら、、、」
「う~ん」
「ねっ お願いだから 何とかして」
神山はアルタの高橋と電話連絡をとった
「今ね ニーナ・ニーナの久保さんと打ち合わせをしているんだけど」
神山は24日夜の引渡しが出来るか否かを相談した
「ええ 何とかしましょう しかし什器については
現場での微調整など出てきますから 実際の飾りつけは
25日の朝からにしてもらうと 大変助かります」
「了解です」
神山は祥子に24日の引渡しと
飾りつけは25日朝から出来る事を伝えた
「わ~ぁ 嬉しいわ ありがとうございます
早速 これから筒井に連絡をしますね」
祥子は携帯電話で筒井と話した
勿論祥子は喜んでいるが雰囲気からして筒井も喜んでいた
「よかったわ 筒井が貴方に ありがとうございますと言っていたわ」
「しかし 什器が搬入される前にダンボールがあると辛いな」
「そうね、、、何とか考えるわ お仕事の邪魔にならないように」
「そうだね 僕も24日夜には上原に帰ってくるよ」
「わ~ぁ ほんと 助かるわ お願いします」
祥子は上原の件が決まった事が嬉しいのか 上機嫌であった
神山は引渡しまで何があるか分らないので
祥子のようにもろ手で喜べなかった
しかし この一件で小田原や御殿場出張の話題からはずれた
祥子は多少なりとも不信感を抱くかもしれないが
大義名分が出来た事に間違いはなかった

翌日 祥子から電話があり
「昨日話をした浜野の件だけど、、、」
「どうなった?」 
「ええ 筒井が浜野を本社まで呼び出し 忠告をしたわ」
「そうなんだ それで、、、」
「ええ 結局 浜野が筒井に謝罪をして一件落着です」
「よかったね さすが筒井さんだ」
「ほんと 私も気が楽になったわ」
「よかった これで上原オープンに本腰を入れられるね」
「はい ありがとう 助かったわ」
「うん」
「それから 上原の件だけど 今良いですか?」
「大丈夫だよ」
「商品ダンボールなどをバックヤードには置けないかしら?」
「うん 大丈夫だと思うけど 確認しておく」
「そうすると助かるわ」
「また後で連絡をします」
「はぁ~い 待っています」
浜野の件が一件落着したことにより 声が明るくなった
時々見せるくらい表情を見る神山自信も辛かった
筒井のジャッジで以前の祥子に戻った事が神山には嬉しく思えた


4月22日 水曜日
「次の停車駅は小田原です、、、」
車内の案内アナウンスで目がさめた
もうすぐ小田原駅到着なのか 新幹線のスピードが遅くなり始めた
身の回りを確認し出口に行き到着を待つと
ビジネス客や家族連れなども降りる準備を始めた
こだま号がホームに着き扉が開くと 家族連れも結構多く降りた
この先には 箱根登山鉄道を利用すれば温泉が多く頷ける 
神山は 指示されたバスロータリーで待っていると 
正面から 体格が良く日に焼けた顔の40代の男が寄ってきた





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