神山は高橋と床材の件や壁紙の事で話をしていると
これから出勤する女性達が
どんなブティックが出来るのか話をしていた
「素敵なお店ね オープンしたら来て見たいわ」
「そうね 私も覗いて見ようかしら」
「なにか自然な感じで 明るいわ 楽しみね」
この時間の出勤なので近場の新宿辺りか
渋谷辺りの女性達だろうと察した
果たして渋谷や新宿の女性達が振り向いてくれるか否か
銀座鈴やに並んでいる商品郡で太刀打ちできるか
神山は少し心配になってきた
このブティックのコンセプトはあくまで
アンテナショップであり 販売が主ではない
しかしいくらアンテナショップであっても
情報が偏ってしまうのではないかと危惧していた
通常の営業時間帯では遅い時間帯の人達からの情報が集められないし
どのように運営をしていくのか筒井に聞いてみようと思った
床材が敷き詰められた頃 丁度お昼時間になった
「なかなか綺麗で 明るくて落ち着いた雰囲気になったね」
「やっぱり 山ちゃんが居てくれるからでしょ」
「いやいや そんな事はないよ」
「ところでお昼ですが もう少し待ってくださいね」
「うん?」
「ええ のりを乾燥させるので換気のためシャッターを
閉められないので もう直ぐ応援部隊がきます
それまで待っていてください」
「了解ですが 誰が来るの?」
「田中君が来ますよ もうすぐ来ます」
「内野君は?」
「ええ 御殿場のホテルに行っています」
「そうか 御殿場は内野君が担当ですよね」
「ええ 10時の打ち合わせなので早めに出て行きました」
「それは大変だ、、、」
「しかし 御殿場は最終確認なので楽ですよ」
「椿支配人も喜ぶでしょう」
「そうですね 何しろ内藤がほれ込んだ山ちゃんの仕事だから」
「またまた そんな事はないですよ」
二人が話していると田中が駅の方から走ってきた
「すみません 遅くなりました」
「やあ 幸ちゃん ご苦労さんです」
「すみません 神山さん 遅くなりました」
3人で挨拶をしていると もう一人後ろから付いてきた
神山に対し深々とお辞儀をし
「神山部長 私 アルタの梅崎と言います」
「神山さん 田中君のグループで働いている梅崎君です」
「やあ 神山です よろしく」
「神山さん 梅崎君は今年多摩美を出たばかりの子です」
「そうすると ご夫人と同じ出身校ですね」
「ええ 期待されていますよ」
「そうか 頑張ってください」
「はい ありがとうございます がんばります」
梅崎淳一は神山に対し 再び深々とお辞儀をした
「それでは 田中君 頼むよ」
高橋は田中に対し留守番を頼み神山と出た
「山ちゃん 今日はどこにしますか?」
「うん 別にどこでも良いけど」
「駅前は毎日通っているし どこか場所を変えましょうよ」
「そうですね、、、」
神山は表参道のうなぎ屋に行ってみたくなり
「そうしたら 表参道のうなぎ屋おおたに行きましょうか」
「ええ あそこは美味しいですよね 行きましょう」
神山は早速携帯電話で予約を入れる
受付によると30分ほど待つ事になるといわれたが了承した
高橋と神山はタクシーを拾って表参道に向かった
表参道に着いた時には まだ時間が充分在ったので
ウインドーショッピングをしながら店に向かった
行き交う人のファッションを眺めていると
おしゃれな若者達が多かった
女性達も何処か高級感を漂わせ表参道を飾っていた
ゆっくりと歩いていると『うなぎ屋おおた』についた
店の外にはいつものように縁台に緋毛氈が敷かれて
順番待ちで座れなくなっていた
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