2011年1月23日日曜日

Vol.197 青葉 -2-16


「はい 神山さんのお願いだと断れないですよ」
「うん ありがとう 恩に着る」
「では 請求書関係は又後で 直ぐに抑えます」
神山は高橋に吉本で使っている第二貨物を動かせる事を伝えた
「ええっ では24日の金曜日に搬入できるのですか」
「うん 多分 大丈夫だよ」
高橋は神山を信じられない眼差しで見ていた
「どうしたの そんな なにか付いている」
「いや だって やっぱり凄いや 山ちゃん
一つの器でしか動かせないから、、、 凄いよ」
「そんな事ないさ 吉本も動いてくれるし
第二貨物の常務を知っているから
例えば吉本がだめでも第二の常務に連絡すれば何とかなるさ」
高橋は改めて神山の大きさを知った
神山は携帯電話で銀座の奥村課長に連絡をして
事の経緯を説明し理解納得してもらった

「ところで 孝ちゃん お願いがあるんだけど、、、」
「うん?」
「ちょっと私用で来週の22日から24日まで
行方不明になりたいんだ」
「、、、」
「何か いいアイデアないかな」
「、、、」
「出来れば熱海とかがいいんだけど」
「いいよ なんとかする」
「ありがとう 助かるよ」
「ところで どんな女性?」
「うん 実は御殿場のホテルで知り合ったんだよ」
「えっ 早いね、、、でっ どうなの」
「うん 純情で可愛らしく 今のところ順調です」
「しかし 山ちゃん 久保さんも居るだろ 大丈夫?」
「えっ 何故知っているの?」
「だって 傍目で見ていても分るよ 彼女の動きを見ていれば」
「そうか これは内緒だよ お願いだからね」
「はい了解 ところで具体的にはどうするの?」
「うん アルタに迷惑を掛けたくないし、、、かと言って催事課には
内情を知られたくないし、、、」
「なるほど、、、」
「そうなんだよ、、、」
「そうしたら 山ちゃん」
高橋は残っているビールを一息で飲み干し
「ねえ うちの小田原工場見学はどう?」
「小田原工場?」
「今度のニーナ・ニーナ什器製作は小田原工場が担当なんですよ」
「うん それで」
「だから いつでも良いでしょ 見学日は」
「そうか だけど上手く行くかな?」
「大丈夫だって 工場長にそれとなく話しておくから」
「うん そうしたら実際に行きますよ そのほうが良いでしょ」
「時間はあるの?」
「うん そうしたら22日の午前中に伺いますよ」
「だけどその後は、、、」
「うん 自由行動で なんとかするさ」
「そうですね 頑張ってください」
神山と高橋は一応の結論が出たところで卓にある鮮魚を食べた
しかし高橋が久保との事をどこまで知っているかは別として
抜き差しならぬ仲と見抜いたのには驚いていた
今回の旅行には色々と煙に巻かなければいけない人物が頭をよぎった
浮かない顔をして箸を勧めていると高橋が
「どうしたの 嬉しくないみたいだね」
「そんな事はないけど なにか、、、」
「スーパーマンでも 弱点はあるのですね」
神山と高橋はお互いの顔をみて笑った
ようやく二人の不安が払拭されたので箸が進み
鰻の蒲焼定食を運んでもらう事にした
ここ うなぎ屋おおたで使っている鰻は
特別に愛知県の三河で獲れる天然鰻を出していた
養殖でないので身が引き締まっていて柔らかく
更にあぶらも適度にあり最高に美味しかった
タレは関東人に合わせあまり濃い味ではなく食べやすかった
神山はメニューを見てみると美味しそうなお土産があったので頼んだ
二人は卓に並べられた鰻を綺麗にし後にした
「ごちそうさまでした」                                          197ov
「いえいえ こちらこそ 山ちゃんはどうするの これから」
「うん 銀座でお仕事してきます 何かあったら携帯まで」
「了解です」
「では 22日の件 お願いします」
「ええ 住所などは後でマンションにFAXしておきます」
「了解です お願いします」
神山と高橋は別々のタクシーに乗り別れた





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