考えているのです アルコール飲酒も一日の量が決まっていて
それ以上呑む場合は 原価プラス違反料金が加算され
その違反分も上限が設定されています
分りやすく説明しますと アルコール資質指数85が限度です
この数値の出し方ですが 例えばアルコール分5%のビールだと
500ccの中ジョッキ1杯で指数25になります
ですから 中ジョッキ3杯呑むと指数75で
もう限界に近くなるわけです」
「へぇー凄いですね まあ 普段は余り呑まないとしても
飲みたいときも在るでしょ そんな時はどうされるんですか?」
「ええ 寮にある自販機を利用するのですが
それも上限が決めたれています」
「そうすると お酒好きの人にとっては
結構窮屈ではないですか?」
「そうですね この話を聞かれた方は窮屈に
感じるかもしれませんがこのシステムにしてから
苦情はありませんし 健康面でも問題無しです」
「そのお酒の量とか
食事の栄養とかどのように管理しているのですか」
「ええ 社員カードを店に入る時にスキャンさせます
そこで まず最初のチェックがあります
店利用が連続でないか否かOKだと入店できますが
OUTだとブザーが鳴って入店できません
更に着席すると テーブルの脇にあるカードBOXに
社員カードを差し込みます
注文はこのタッチパネル式のモニターで行い 料理が出てくる
仕組みです その時に 料理に使われた材料の栄養価や
アルコール指数なども管理され
例えば2日間野菜摂取が最低ラインを割っている人には
サラダの盛り合わせがついてくるとか
アルコール指数オーバーの場合は
このモニターで問い合わせが来ます
【制限近し 違反しますか?】と」
「凄いですね だけど今 赤坂さんのところは何も無いですよ」
「ええ VIPの時カードは外せますが
私のデーターは全部カウンターの板前が入力しています」
「全ては社員の健康管理を基に考えられている事ですね
素晴らしいですね」
神山はこのシステムを考えた内藤一哉を改めて感心した
「そうすると カレーが好きでも毎日はだめで
野菜の摂取が少ないとサラダの盛り合わせが付いて来る訳ですね」
「そうですね まあ色々と考えなくともきちんと管理されているので
楽と言えば楽ですね」
「良いですね 私も少し考えます」
神山と赤坂はこのシステムや工場の事について話しながら箸を進めた
食事を終えると赤坂が
「コーヒーでも如何ですか?まだお時間は大丈夫ですか?」
神山はロレックスを覗くとまだ充分に時間が有ったので
「はい 頂きます」
赤坂は部屋を出ると一番隅に位置している部屋に入った
そこは従業員達も利用していて 半分ぐらいの席が埋まっていたが
ちょうど窓際の席が空いていたので座った
周りの社員達は工場長が居るという事での緊張は無く話しに夢中だが
挨拶だけはきちんとしていた
神山が赤坂に窓から見える景色を案内されていると若い社員が
「う~ん これはいい匂いだ
匂いの元は後ろに座っている常務かな?」
神山と赤坂は日本酒を2合づつ呑んだだけだが
結構匂うのかと思っていると
「そうです 私が犯人です 2合呑みました」
赤坂は詫びる事無く 後ろの若者に伝えた
「しかし常務 今夜は4月中期の打ち上げが在るのでしょ
今からそんなに指数を上げると罰金ですよ」
「うん 分っている 明日は休みなので罰金でもなんでもこい
今夜は今夜だ さあ しっかりと働いておくれ」
「は~い そろそろ出よう」
若者はテーブル席の仲間に合図をし立ち上がりこちらに振り向き
「神山様 工場見学をして頂きましてありがとうございます
今後も 我アルタをよろしくお願いします」
深々とお辞儀をしたので神山も
「いえいえ こちらこそ突然お伺いしまして 申し訳ないです
赤坂工場長から色々とお話を お伺いし皆様が羨ましいです」
「はい ありがとうございます
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