2013年12月27日金曜日

Vol.1266 百日紅 -9-70



神山がニコニコしていると洋子が   
「どうされたんですか?」
「ほら 先日のゴルフ ホールインワンのカップだよ 出来たんだって」
「わぁー 嬉しいわ」
「それで 翔から電話があったんだよ もう直ぐ来るよ」
神山がソファーで寛いでいると 杉田と安井奈々子が台車にダンボールを
乗せて次長室に入ってきた
「わぁー 翔 こんなに一杯持って来て どうするんだ もう」
「先輩 だって 御殿場の庄司由紀枝さん 桜川亜矢子さんでしょ
近場の人はいいけれど 配送は先輩の処でお願いしますよ」
「そうですよ 神山さん 翔ちゃんだって考えているんですよ ねぇー」
「あはは 分かりました ゴメンゴメン そうだな そうすると
洋子の分はどれかな」
「ええ これです」
杉田がダンボールから化粧箱を一つ取り出し洋子に渡した
受け取った洋子は化粧箱を開けるとエンブレムが綺麗にデザインされた
カップが出てきて色々な角度にしながら光にあて見ていた
「わぁー 素敵ね 杉田君 ありがとうございます 嬉しいわ
凄く素敵なカップね ふふふ」
「でしょ 先輩 何しろこのデザイン ボランティアですよ ねぇー」
「そうですよ 先輩 翔ちゃん 寝ないで考えたんですよ ねぇー」
聞いていた神山はニコニコしながら
「おいおい 分かったよ ありがとう」
神山は自分の席にいき引き出しから大きな包みを出し
「はい 翔 これご褒美だ いいね奈々子ちゃんと美味しいものでも食べて
今後もいいデザインをお願いしますね」
奈々子と杉田は顔を見合わせニコニコしながらお辞儀をした

「しかし 素晴らしい輝きだね 目が眩むよ」
「そうでしょ これにはちょっと訳がありまして」
「なんだよ おい」
「実は 鉛の量を多くしているんですよ」
洋子は改めてカップを持つと確かに重く感じられた
「そう言われると 重たいような気がするわ」
「多分 普通に作ったものより 20%位重いはずです」
「へぇー それでこの輝きが出るんだね 凄いな」
「凄いでしょ 先輩 翔ちゃんは自分で200万円出資しているんですよ
鉛を多く入れるのに 材料費って事で」
「こらっ奈々子 言わなくていいの もう」
「そうか なるほど 翔もそうなったんだね 分かった」
神山は洋子に包みを出すよう指示して杉田に渡した
「これは洋子からのお礼だよ いいね」
二人は洋子にお辞儀をして包みを貰った
「しかし 翔 一人50客で これだけ?」
「もう先輩 いやだなぁー 全部入らないから 僕の部屋にありますよ
洋子先輩の分と後は1客ずつ持ってきました」
「だよな なんか300客だとすると 少ないような気がして」
皆で大笑いをした
「ねえ 杉田君 このシリアルナンバーだけど 51/50ってなあに?」
「ええ 本来は50客ですが ご本人用で51番です」
「あーあ なるほど ありがとうございます さすがね」
「いえいえ 少しばかりの気持ちです」
「そうすると 送金した金額で足りないじゃないか 大丈夫か」
「ええ その分は奈々子ちゃんが処理をしてくれました はい」
「なるほど ありがとう そうしたら 御殿場の2名分はこちらに部屋に
持って来るよ この分が全部じゃないでしょ」
「へへへ 大丈夫です 外に持ってきていますよ」
「さすがぁー」

神山と翔は部屋の外に置かれた 由紀枝と亜矢子の分が入っている
段ボール箱を次長室の中に運んだ
洋子はゆうぱっくの伝票に必要事項を記入していた
員数を確認し 洋子と二人で郵便局へ運び発送の手続きを終えた
「喜ぶ顔が見たいな」
「ふふふ 由紀枝さんの分だけでも今夜渡せばどう?」
「あっ そうかぁー しまった 全部送って仕舞った ははは」
「ほんと あなたって気が利かないのね」
「そうだ 言われるとおりです」
「ねえ 一応 配達の伝票番号を伝えておいた方がいいんじゃないの」
神山は由紀枝と亜矢子に電話をして伝票番号を伝えると亜矢子は
「ありがとう 嬉しいわ」
「多分 2日には届くと思います」
「ありがとうございます 楽しみにしているわ
そうそう ねえ 明日の棟上式だけど」