2013年12月23日月曜日

Vol.1262 百日紅 -9-70



暫く沈黙が続いた後 内藤が
「時田さん そうしたら我が社と鈴やさんで共同出資をして 新しい
会社を設立して そこの社長にしませんか」
「おぉー そうだな それもありだ なるほど うん」
「時期は 御殿場が済んでからが良いでしょ どうでしょうか?」
「そうすると 鈴や食品の感じかな」
「うーんと 我が社も出資しますから もう少し変わります
代表権が山ちゃんになり 決定権も山ちゃんです そこですね」
「そうか うん 上手く行けばそうしよう」
聞いていた加藤が
「私に出来る事は お任せください」
「ははは 加藤さん まだ早いよ もう」
「ははは そうですね でも私どもも出資を考えますよ 大丈夫です」
「えっ 加藤さんの所もですか」
「ええ だって山ちゃんの考える所は 私たちの分野でも充分出来ますよ
それに今回の御殿場にしても アレだけの仕事ですよ 大丈夫です
彼には纏める力があり 通用しますし実行できますよ」
「そうだな あーあ しかし いい嫁はいないのかな 困ったものだ」
「ははは 時田さん そればかりは私にもどうにも出来ません」
時田や加藤 内藤は共同出資で会社を立ち上げたいと考えていた

「クシュン クシュン あーあ なんだよもう クシュン」
神山がくしゃみをしていると祐子が心配をして
「どうされたんですか 珍しいわね」
「もう 誰かが悪い噂でもしているんでしょ もう クシュンクシュン」
「ふふふ まずここに居る女性じゃないわね」
「おいおい なんだよ もおぉー」
「だってここに居ない女性だって 一杯いるでしょ ねぇーみんな」
「そうよ 初めての人や 社長夫人だってねぇー そうでしょ」
神山は言われてみればその通りだったが 果たして誰が噂をしているのか
全然見当が付かなかった
「そろそろ お開きにしましょうか」
「そうですね スポーツした後って 美味しく食べられるわ」
「ふふふ ほら【空腹は最高の調味料】って言うじゃない」
「そうですね 神山さーん ご馳走様でした」
7名の美女達と神山は明日の仕事を考え お店を後にした


9月1日 火曜日 快晴 御殿場 由紀枝のマンション
「あーあ 良く寝たな」
隣にはあどけない顔を残している由紀枝がまだ寝ていた
ゴルフが終わってからも忙しい毎日をこなしてきた
今日は亜矢子の新築する家の棟上式が行われる為 昨夜由紀枝の部屋に
泊まりに来た
本来ならば亜矢子と一夜を過ごしたかったが 夜勤が入っているために
勤務をずらす事が難しかった
神山はテラスに出てビールを呑みながらタバコを吹かした
御殿場は9月になると流石に都会より涼しくなり 少しずつ秋の気配を
感じるようになる
「わぁー 早いのね ふふふ」
「やあ おはよう」
「おはようございます 今日から9月ね 早いわね」
「そうだな あっという間に半年が過ぎたよ 自分でも驚いているよ」
「ねえ 簡単なお食事で良いかしら?」
「ははは お願いします」
今朝の由紀枝はニコニコと機嫌が良く 料理を始めた
ゴルフ以来の逢瀬で神山に一杯愛してもらい 寝たのが3時を廻っていた
暫くすると由紀枝が神山を食卓に呼び 朝食を食べ始めた
「いつ来ても美味しいよ ありがとう」
「まぁー 何も出ませんよ でも亜矢子さん これで御殿が出来るのね
羨ましいわ ふふふ」
「そうだね それとね お母さんの具合が良くなって来ているんだって
そちらの方も嬉しい事だよね」
「ええ この頃亜矢子さん いつもニコニコですもの 明るいですよ
やっぱり 嬉しいのよ ほらダブルでしょ ふふふ」
「そうだね 亜矢子だけじゃないけれど 皆がニコニコしてくれると
僕も元気になるしね 嬉しいよ」
神山はそう言うとビールを飲干し冷蔵庫からもう1本取り出し呑んだ
今日の棟上式には由紀枝も招待されていて あとはホテルの椿総支配人も
出席する事になっている
「もう 私が運転するからって そんなに呑んでいいの もう」
「ははは 大丈夫だよ ほら少し寝るから ねっ 今日は目出度い日だよ」
「ふふふ いつもお目出度いんでしょ もう」
他愛無い話をしながら食事を終えると いつものように30分寝た


8月20日 銀座鈴や
「先輩 朝早くから申し訳ございません」
「ははは おはよう 昨日は大変だったな お疲れ様」
「いえいえ 僕が蒔いた事ですから はいこれがホールインワンの
記念カップです」
昨夜 杉田がクリスタル大和にいき大森社長の勧めた記念カップだった
「おぉー 素晴らしいじゃないか うん これだったら充分だ
あとはデザインだね うん」
杉田は家に帰った後 ラフスケッチを何枚か書きそれを見せた