2013年12月22日日曜日

Vol.1261 百日紅 -9-70



「ええ あの後 そのまま工場に来ました」
「わかった では皆が喜ぶデザインを頼むよ」
「はい 了解しました それで奈々子はどうしましたか」
「うん 泰子が有楽町駅まで送ったよ 大丈夫だ」
「ありがとうございます 詳細や見本は明日お持ちします」
「うん わかった お願いします」
携帯電話を切ると祐子が
「タクシーが来ました 行きましょう」
そういって 皆でスタジオを後にした

「あれっ 誰も来ていないよ 祐子 大丈夫?」
「だって 私たちのほうが早いでしょ もう 神山さんって」
祐子はカトリアーナとクスクス笑いカウンターに座ったが
「そうだ 人数が多いから 向こうの座敷に行こうよ ねっ
大将 人数が多いので 向こうの座敷にさせてください」
大将が頷き女将がお手拭などを座敷のテーブルに用意した
「何にされますか」
「鮮魚の盛り合わせと 照り焼きって出来ますか」
「ええ 今日は美味しいのがあります」
「そうしたら あとサラダも欲しいなァー」
「簡単なサラダでいいですか」
「ええ お願いします」
「何人前ですか?」
「えーと 全部10人前でお願いします」
女将はニコニコして大将に伝えたが 祐子が
「えっー10人前ですか 誰が食べるんですか もう」
「ははは だって 8人だよ 直ぐに無くなって追加になるよ」
「そうか 8人ですねぇー」
生ビールが運ばれてくると 由貴と桃子が表れた
「わぁー 祐子さんおめでとう ふふふ」
「わかった はいはい 席に座ってね」
その直ぐ後に 香織と安堂真由美もお店に来た
「わぁー 祐子さん おめでとう 凄いわね」
「まあまあ 席に座ってね」
直ぐに泰子が席に着くと神山が
「では お疲れ様とおめでとうでかんぱーい」
8人はみんなでグラスをカチンと合わせ乾杯をした

女性軍は何が楽しいのか キャッキャ言いながら楽しみ呑んでいた
神山は改めて眺めていると 自身が知らない間に 異業種の仲間と
話していると嬉しく思った
「どうしたんですか 神山さん 箸が動いていませんよ」
「ははは 美女に見とれていました はい」
神山が言うように 7名の美女はグラビアやファッション誌から
飛び出てきた様な綺麗な美貌の持ち主で 周りの客もチラチラと見ていた
その異常な感じをカトリアーナが察し 直ぐに英語で話しだすと
皆も英語やフランス語で会話を進めた
神山はここに居る7名をどれだけ自分で大切に出来るか分からないが
出来うる事はしてあげようと 改めて考えた
「どうしたの 神山さん 全然進んでいないよ もう ねぇーみんなぁー」
「ほんと これからカトリアーナとの事考えてるんだろ もう」
「ははは いやいや 美しいからほんと見とれていたんだよ」
「まぁー 亜矢子さんと由紀枝さんの事考えていたんでしょ 駄目よ」
「そうよ ここに居る7名の事を考えてね ふふふ」
泰子の最後の言葉は心臓に突き刺さり
「だから ここに居る美女の事しか考えていないよ ほんと
じゃないと 皆に失礼だろ 僕が同じ立場だったら帰るもの」
みんなは神山のこの言葉で 少し沈んだが 泰子が話題を切り替え
「祐子さん よくホールインワン達成したわね 改めておめでとう」
この言葉で 他の女性も話題をゴルフに切り替えた

一方 内藤、時田は加藤の隠れ家で呑んでいた
「しかし山ちゃんは凄いなァー 参ったァー」
「ははは 時田さん 良い部下が出来て嬉しいじゃないですか」
「うん でもな この頃思うのだが ほら なんか 鈴やから
離れて行くような気がなしてならないんだよ あっ アルタって
事ではなくて うーん 自分で会社を作るんじゃないかな」
内藤も薄々感じている事なので
「そうですね 私も もう私の会社の人間じゃない所にいる感じです」
「やはりそうか なにかでか過ぎるんだよ ははは」
加藤が頷きながら
「まあ そこが山ちゃんの良いところじゃないですか 例え鈴やを離れても
私は絶対に鈴やと戦わないと思いますよ 彼ってそうですよ」
「まあ そこは心配していないがな しかしでかすぎるな」