しっくりしていなかったときに神山の助言だったので助かったと思った
神山は洋子に頼み キャディーマスター室でクラブのマーカーを確認し
各自間違わないようにした
「ふふふ 大丈夫ですよ もう みんな慣れたみたいで 自分で工夫して
マークしていましたよ」
「良かった ねえ 間違えるとキャディーさんの責任になるしね」
「そうね それでどう 調子は」
「うん 72がぎりぎりかな 今日はピンの位置が難しいでしょ
ほら 15番や6番のショート あそこは縦に40ヤード以上あるでしょ
下手に乗せないほうがいいかもね 逆に女性に有利だよ」
「そうね あそこばかりは 女性のほうが有利かもね そうそう内野誠二君
昨夜は中々寝られなかったみたいよ 大変ね」
「あーあ 前夜祭で野次られていたからね ははは」
「それでね奈々子ちゃんが 誠二ちゃん頑張ってねって応援したんだって」
「ははは いいねぇー 同じGプロだしね うん いい事だ」
神山の周りに人が集まり話していると場内放送でスタート準備が告げられた
1組の順番をステンレス棒のカランカランで順番を決めた
「えー 本日は開催をお祝いして 鈴や副社長の時田さまに
スモークボールで開催宣言をしていただきます」
突然言われた時田は少し戸惑い スモークボールをティーアップし
ドライバーを数回素振りすると 地を這うボールでみな拍手した
「ありがとうございました では行って来まーす 最終組の方
フラッグの回収をお願いしますね」
「はーい 了解でーす 頑張ってね」
1番 RT420y LT400y パー4
緩やかな打ち上げで250y前後には左も右もバンカーがあり
正確なショットが要求されるホールで 左ドッグレッグしている
最初は泰子が一番で 軽くスイングをすると右に出るが フェアウェイに
戻り距離が出た みんなはあっけにとられ拍手をした
「すごいね 泰子 飛ばしすぎだよ 最初から」
「昨日の練習のお陰かな ふふふ」
2番目は景山英美子の番で こちらも軽くスイングをすると 泰子同様
右に出し フェアウェイに戻してきた 飛距離は泰子の方がでていた
「おぉー 景山英美子さんも凄いね」
「ふふふ お上手なこと 今日一よ 多分」
3番目は神山で スイングすると低い弾道で右に出て行くが だんだんと
左に軌道修正しフェアウェイど真ん中 残り60yまで飛ばした
このショットには 全員が凄いといい盛大な拍手が沸いた
「山ちゃん 凄いね 参ったねぇー 最初から見せ付けられると」
加藤はスイングすると神山のアドバイスを思い出し振りぬいた
ボールは真っ直ぐ左の林方向に飛び出し ボールを捜すことになった
加藤武雄のボールは林の奥にあり フェアウェイに出すのに2打も打った
4打目でグリーン傍に寄せたが 5オン3パットの8で上がった
景山英美子は確実に3オンさせたが グリーンがなじまずに3パットの
ダブルボギーであがった 泰子は距離をあわせ2オンさせると2パットの
パーであがりドラコンフラッグを立てた
「こちら1組 泰子でーす ドラコンは私と神山さんです どうぞ」
「2組了解でーす」
神山のセカンドはピン横4mに付け 2パットのパーであがった
「ははは 山ちゃん力んじゃったよ もう あんな凄いの」
その時に泰子が
「大丈夫ですよ 神山理事も膝の移動を上手に動かし克服しましたから」
このアドバイスが加藤武雄と景山英美子のスイングを更に狂わす事になった
「神山さん どうしたの ドローボールって凄いじゃない」
「うん 先日ねちょっことヒントが分かったんだ それで試したのさ」
「ほんと 綺麗な弾道だったわ 惚れ惚れしたもの」
「泰子に褒められると 余計にプレッシャーがかかるな 泰子だって
以前よりよくなっているよ」
「ふふふ 昨日打ち込んだせいかしら ありがとう」
神山と泰子はお互いのスイングを褒めながら2番に向った
2組 時田 筒井 浮田慶子 安井奈々子のパーティー
時田が自動的に1番で打つ事になり素振りをした
先ほどのスモークボールが 地を這うような失敗をして 少し自信を
無くしかけていたが やはり思うように飛ばす事ができず 左の林を
直撃した 奈々子と慶子は悲鳴をあげボールを捜す事になった
次は浮田慶子が素振りをして打つが 時田のところに同じようなボールで
林に打ち込んでしまった
「いやぁー 浮田君 ごめんごめん」
「いいえ 私がいけないんですよ 副社長のせいじゃありませんよ
ご心配しないでくださいね 頑張りましょう」
この一言が益々時田のスイングを可笑しくしていった