神山がゆっくり本線に入ると洋子もピッタリついて入線した
真紅のポルシェがスピードを上げると洋子も付いていき離されなかった
神山はエンジンの回転数を確認するとまだ余裕があることを確認した
少しずつ回転数を上げていくとなるほど気持ちよくターボが効いて
スピードが乗ってきた
暫く走り静岡ICを出て北上をすると静岡県庁についた
約束の15時までには充分時間があまり神山と洋子は安心したが
高橋と佐藤は別の意味で安心した
洋子も運転中は余計な事を話さないので佐藤が神山に
「ねえ 山ちゃん 一体なぜ2台で走るの」
「ああ 済みませんでした 僕はこのあと用事があり
帰りは洋子の運転で銀座まで戻って頂きます」
「えっ そんな」
「ええ 心配ないですよ 上手な運転ですよ」
高橋と佐藤は顔を見合わせて神山に
「ねえ山ちゃん 気を悪くしないでね タクシーで帰るよ お願いします」
「ははは いいですよ 別に」
神山は10万円を出して佐藤に
「では これを使ってくださいよ 領収書は不要です」
「いいよ 山ちゃん こちらの我侭なんだから なあ高橋君」
「でも部長 山ちゃんが言っているので頂きましょうよ ねっ」
佐藤はしぶしぶ神山から10万円を受け取り
「山ちゃん 本当に申し訳ない」
「ははは 最初はだれも驚きますよね いですよ
洋子 孝ちゃんと佐藤部長だけど帰りはタクシーで帰るって」
「まあ 残念ね」
「洋子 そうしたらその真紅のポルシェを赤坂に置いてフェアレディーZで
銀座に戻ってくれる」
「ええ いいわよ」
「そうしたら 祐子に電話をして鍵を用意しておくよ お願いしますね」
「だったら 祐子さんと夕飯を食べようかしら」
「うん じゃあこれを使って タクシー代と一緒」
神山は10万円を出すと洋子に渡した
「だけど Zをホテルの駐車場にいれてからだと遅くならないかな」
「大丈夫よ ここを5時に出ても7時前には着くでしょ」
「うん そうしたらこれから電話をしておくよ」
神山は祐子に電話をしてフェアレディーZの鍵の件と夕飯の事を話すと
喜び楽しみに待っていると言った
「洋子 OKだよ そうしたらZで銀座まで一緒にいってそれから
どこか美味しい所に連れて行ってくれる」
「ええ 任せて」
4人は静岡県庁国土開発課のロビーで待っていると山城恵子が
御殿場アウトレットプロジェクトの部屋から出てきた
「お待たせしました 神山様 お久しぶりです」
山城係長はニコニコして神山達を部屋に迎えた
「やあ神山さん お久しぶりです」
「竹内さん お久しぶりです」
4名が椅子に座ると神山が竹内に
「早速ですが 各ブースのスケッチが出来上がりました
まだクライアントの了解は取ってませんが そこでこの方向性でよければ
このまま進める事にします その判断をお願いしようとお持ちしました」
リーダーの竹内と山城は各ブースの外観パースを見ると驚きながらみて
展開パースも頷きながら見ると神山に
「大丈夫ですよ しかし大胆な発想ですね」
「ええ ありがとうございます 何しろリピートの事を考えました」
竹内達の細かい所の指摘に神山や高橋が答えていき方向性について
問題なく原案がとおった
「竹内さん ありがとうございます」
神山と竹内は握手を交わし山城に
「貴方のお陰で工事がだいぶ早く着工出来そうです ありがとうございます」
「よかったわ 少しでもお役に立てて」
4人は県庁をでるとまだ夏の日ざしがさしていた
神山が佐藤部長に
「部長 良かったですね」
「ええ これでようやく進みます」
「各クライアントに対して基本的にはこのパースを使うとして
あと 県から指摘の有った部分を修正していきましょう
展開パースも指摘があったところは修正をしてください
来週に入ったら各クライアントと打ち合わせをするようにします」
高橋と佐藤はタクシーを拾い運転手に行き先を伝えると何台か断られたが
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