「えっ だってパターを入れて135万円のセットでしょ」
「うん キャディーバックとポロシャツも一緒に送りましたよ」
「わぁ~嬉しいわ ありがとうございます」
「そのうち皆で出来るように時間を調整するよ」
「ええ 事前に分れば由紀枝さんと一緒に休めるわ お願いします」
神山は電話を切ると洋子に
「洋子 よかったよ 亜矢子もあのクラブを買おうとしていたんだって」
「良かったわね 喜んでいたでしょ」
「うん 大喜びさ 良かったよ」
神山は次長席でタバコを吹かし冷蔵庫から缶ビールを出し洋子に渡すと
「まあ 少しは進んだね 乾杯」
神山はソファーに座り寛ぐと洋子が
「ねえ あの風呂敷包みはなに さっき協会から来た時に持ってきたわ」
「あっ忘れていた」
神山は洋子に田中製缶の社内不倫や社内売春の件を掻い摘んで説明し
「まだ開いていないんだ いけない」
神山は包みを開くと現金と人事命課のコピーで日付が空白の書類が
同封され 書類の空欄にはメモがあり総務人事担当顧問で
迎えたいと書かれていた
給料は150万円 顧問手当てが300万円 賞与7月10日と
12月10日の2回 各5ヶ月分
神山は洋子に見せると
「いいお話しね でも解決策はあるの?」
「うん 食品協会の眞鍋香織とも話したけど出てこないよ
彼女も言っていたけど 体を売れば安易にお金が入るし
SEXしたければ妻子がいても求めてしまう
そうすると我慢している人はばかをみるようで自分もその仲間に入る
その輪が大きくなっている そんな構図ですかねって」
「そうね 女子社員が我慢する事を覚えて男性も自粛するのね」
「でもね どうやって我慢させるかだよね もしかして女子社員のなかで
音頭をとっている人間がいれば簡単だけどね 親分潰せばいいことだし」
「でも その裏に男性社員がいると怖い話しね」
「うん やくざの世界だね でも可能性は高い確率であるね」
洋子はPCを操作していたが神山に
「ねえ 田中製缶でしょ」
「うん なにか出てきた」
「いいえ 何も出てこないわ そうすると秘書課とか総務が握りつぶして
報道されないようにしているのね」
「業績はどうなの」
「ええ 悪くはないわよ だって関東では1位か2位でしょ
表面に出てこないわよ」
神山は再びソファーでタバコを吹かし考えた
「洋子 辞めよう 怖い話は止めておこう これは僕の仕事じゃないよ」
「そうね 相談するところが違うわね
でも どうしたらいいのか あちらさんも分らないわね」
「仕方ないよ 電話をするよ」
神山は田中製缶の社長 山下敬三に電話をした
「はい 山下ですが」
「食品協会の神山です 今日はわざわざ協会にきて下さって
ありがとうございます」
「あっ神山理事ですか メモを読んで頂けましたか」
「ええ 結論から申し上げますと この話はお受けできませんね
結構 裏があるようで怖いですね」
「そうですか 私も何かあると思っているんですよ
普通の社内売春ではないような気がしているんです」
「失礼ですが山下さんはまだお若いですよね」
「ええ 先代の社長が私の父親でして早くに亡くなったものですから
私が急遽社長に抜擢されました」
「考えられるのはそこの会社で実力を持っている人が怪しいですね
それで提案ですが探偵を雇ってみるといいでしょう
ここに有るお金は全てお返ししますから調査費で使ってください」
「いえいえ それは私の個人的なお金ですから受け取ってください
それに今言われたアドバイスを聞くことが出来ましたし」
「それでは頂きます あとはその探偵が駄目な時は警察に報告をして
助けて貰うしかないと思いますよ」
「そうですね」
「探偵と言ってもぴんからきりまでいますから充分信頼がおける人間を
探されるといいと思います
あと個人でなくて会社の方がいいかも知れませんね」
「そうですね ありがとうございます 早速探します」
「ええ ご期待に添えなくて済みませんでした」
「そんな事はないですよ いいアドバイスが頂けましたから」
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