2012年8月1日水曜日

Vol.753 紫陽花 -2-47



クラブのよさを話しているとアレックスジャパンの派遣社員がきて
「こちらのクラブをお持ちですか」
「ええ いいクラブですね ただ120%の力で打つと曲がるんですよ」
「ええそうですね みなさまそう言われますね ただこれは私共の
OEM商品で 元々はこちらのクラブでございます」
神山は派遣店員の案内するクラブを手にとるとなるほど同じバランスで
振りやすかった
「こちらの商品は 今月新発売したクラブです
従来品より10ヤードは出ますね 大変好評を頂いていますよ」
「そうすると今までと同じ力加減でいいのかな」
「ええ もう少し早くしてもヘッドは戻ってきますよ
結局 クラブヘッドの改良ですね 角度やバランス 重さの見直しで
充分耐えられるようになりました」
神山は試し打ちで素振りをするとシャフトがほんの少し固く感じられたが
実際に打つと結構いいタイミングで捕らえていると思った

「決めた これでレディースはあるの?」
「はい 揃えてございますよ」
神山は金額を聞くとパターまで入れたセットで135万円した
OEMが150万円だから安くていいクラブを手に入れたことになる
レディースのクラブも同じ金額だった
神山はこの際だからアレックスの商品で揃えようと由紀枝に話して
キャディーバッグも新製品の同じデザインで色違いを購入した
キャディーバッグも10万円と高かったが 会社の繁栄と思った
由紀枝のシューズやスカートそしてポロシャツ
神山のシューズやスラックス由紀枝と同じデザインのポロシャツなど
全てアレックス商品で揃えた
シューズは神山が12万円で由紀枝のが10万円だった
スカートが5万円 ポロシャツが4万円で由紀枝の分が164万円で
スラックスが7万円 ポロシャツが5万円と神山分が169万円になった
合計333万円をギフトカードで支払うと派遣店員は従業員と一緒に
枚数をかぞえ終ると
「確かに333万円ございます ありがとうございます」
二人はキャディーバッグにゴルフセットを仕舞い駐車場の車に入れた

蒼いBMWに乗ると由紀枝が
「楽しみだわ 高いクラブだけあってフィーリングが良かったわ」
「うん 女性には特にいいかもしれないね」
マンションに近づくとしゃぶしゃぶ屋が見えてきて駐車場に止めた
店内は11時30分すぎだったので余りお客は居なかったが
エレベーターで会った女性が注文を聞きに来たので神山が
「どうも 先程は」
女性はニコニコして
「先程はどうも失礼をしました 何にされますか」
「ええ ランチメニューで牛肉を追加で300gほどお願いします
あと生ビールをお願いしますね」
「はい 畏まりました 私 ここのオーナーで 小野貴子と申します
これからも よろしくお願いしますね」
そう言うと魅力的なお尻を神山に見せ付けて厨房にオーダーした
「ねえ 由紀枝 7月から本勤務になると公休前日は12時上がりでしょ」
「ええ 嬉しいわ そうしたら昼寝をして夕方ゴルフの練習場ね」
「うん いいね 僕も来て一緒にコースに出ようよ」
「いいわね そうしたら練習場の会員になろうかな 安かったらね」
話をしていると小野貴子が生ビールとしゃぶしゃぶのセットを運び
「でも 羨ましいですわね 聞こえましたよ テラスで ふふふ」
神山と由紀枝は顔を赤くして
「ええ 天気がよく気持ちが良かったので すみません」
「ふふふ 元気があっていいわね 私 一人だから大変よ いい声聞くと」
小野貴子はニコニコして神山と由紀枝に名刺を渡し
「ここは私が出ても出なくてもいいの スタッフに任せているのよ
今日は天気もいいのでお手伝いにきたのよ
今度 私のお部屋に遊びにきてくださいね 美味しいしゃぶしゃぶを
ご馳走するわ」
「ありがとうございます」

小野貴子は自宅の電話番号と携帯の番号を教えカウンターに戻った
「へぇ~ 由紀枝 一人だって 凄いね お店を持ってね」
「ええ なにかここだけじゃない雰囲気ね」
「確か 昨日もあの人とすれ違ったようだけどな」
「何処で」
「うん エントランスで エレベーターを待っている時にね」
「ふ~ん そうなんだ 夜は忙しいのにね」
「でも ほらオーナーってお店を任せる人がいるからね そっちでしょ」
二人は小野貴子のことを話しながら食べていると神山の携帯電話が鳴った





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