2012年8月25日土曜日

Vol.777 紫陽花 -3-48



「は~い 分りました 明日はどうですか」
「うん 桃子の引越しでどうなるか検討がつかない 分り次第連絡をするよ
何かあったら携帯に連絡を下さい」
「大丈夫ですよ ご安心下さい 気を付けて行ってらっしゃい」

神山は蒼いBMWをガレージから出すと銀座に向った
車をホテルの地下駐車場に止めると警備員が挨拶をした
神山は次長室に戻ると洋子に真紅のポルシェの鍵を渡した
「洋子 ガソリンだけど多分向こうまで持つと思うけど念のために
満タンにしておいてくれるかな」
神山は蒼いBMWの鍵も渡した
洋子は車の鍵を持ちニコニコしてすぐに部屋を出て行った 
神山は御殿場プロジェクトチームに提出する書類をもう一度点検し
不明瞭な所に印をつけるとコピーを取った
暫くすると洋子が戻って来て
「両方とも満タンにしておいたわ でも凄いわねBMWアルピナB12って
アクセルを吹かせなかったわ」
「うん そうだろう 高速に入ると気持ちがいいよ
200なんて苦にならないからね まだ余裕があるもの」
「そうでしょうね」
「どうだい 買う?」
「ううん 駄目よ 母の目が黒いうちは」
「まあ 時間があるときに使いなよ」
「ほんと 嬉しいわ」
神山は鍵を受け取ると書類を洋子に渡し読んでおくように指示をした
11時30分少し前になると洋子が先に部屋を出てタクシーを拾い待った
神山が下に行くと丁度全員が集まり3台のタクシーで
銀座築地 寿司屋いせ丸に向った

暖簾をくぐりガラス戸を開けると女将が丁寧にお辞儀をして
いつも利用している奥の座敷に案内してくれた
座卓に着くと佐藤部長が神山に
「これで上手く行けば後はクライアントですね」
「うん そうですね まあどこもこちらを信頼してくれているから
そんなに大きな問題は無いと思いますよ」
女将が鮮魚のおつまみとビールを運んできた
洋子やアルタの若いのが皆のグラスにビールを注ぐと神山が
「まずは第一歩 かんぱい」
アルタの面々は一応一安心した
高橋が神山に
「山ちゃん 今度の20日のゴルフだけどハンデはどうするの」
「大丈夫ですよ 男性はオールスクラッチだよ」
「へぇ~ 本当ですか」
「まあ 女性軍が頑張るから応援しようよ」
それを聞いた内野は
「あのーそうすると貯金をおろさないと不味いですね」
「まあ 頑張ればおろすことないだろう 貰えるよ」
「あ~あ やっぱりおろしておこう」
内野は先々月の池ポチャの後遺症が残っているのか話が弾まなかった
田中は小谷美佳のスコアを聞いて
「そうすると92で廻ってハンデ16を引くと76 えっ そうすると
80で廻っても負けになるのか わぁ~大変だ
神山次長 僕らにもハンデをくださいよ」
「おいおい 幸三ちゃん そんな弱気でどうするの いいじゃないの
負けても それとも何か不味い事でもあるの」
「そんな ほら やっぱり先輩として ねえ」
「ははは 良いじゃないの 拘らなくても 現に 僕も洋子さんに負けるよ
でも それはそれ ねっ」
やり取りを聞いていた洋子が
「たまには先輩が後輩に負けても良いじゃない 潔く負けって」
「そうだよ その方が先輩らしいよ」
話がゴルフで盛り上がっている中 やはり内野は静かだった

神山がリーダーの高橋に
「孝ちゃんね 向こうで前夜祭をするんだよ それでこちらを
早く出てもらいたいんだ 途中で美佳ちゃんを拾わなければいけないしね」
「そうですね それに車も用意しないといけないし、、、」
「車はどうするの」
「ええ 会社のバンを利用する事になっていますが 当日お昼まで現場で
それからとなると危ないので自分の車か 横浜の車を考えています」
「うん 車は早めに押えた方がいいよ
それと 洋子さん 美佳ちゃんの早退は大丈夫ですか?」
「ええ この間電話をした時に人事の武田さんに話をしてあるわ」





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