取締役は株主総会を経てからでないと難しいのですが 次回の株主総会で
取締役顧問になって頂きます 如何でしょうか 是非お願いします
総務人事を担当して頂きたくお願いします」
神山は暫く考えて
「いいでしょう 御社を建て直ししましょう」
中曽根副社長は人事命課を用意していてソファーから立ち上がると
命課を読み上げた
【神山 龍巳 殿 右のもの本日を持って株式会社 大竹組
本社総務人事担当顧問を任命する
平成10年6月8日 株式会社 大竹組 社長 大竹 大詞】
神山は中曽根副社長から辞令を受け取りお辞儀をした
「それで 待遇ですが顧問ですので私の上司になられます
給与はこちらの書類に記載をさせて頂きました 如何でしょうか」
神山は次長席に戻り書類の内容をよく見ると給与は毎月10日に
口座振込み 金額 450万円 賞与 7月と12月の2回で10日に
口座振込み 金額 1回4ヵ月分 口座振込み日が土日祝日は
前営業日に振込み 顧問手当て 毎月10日 700万円 基本的に手渡し
非課税と書かれていた
神山は
「いいでしょう しかし私は毎日出社できませんよ いいですね」
「はい ごもっともでございます 出来れば月に1度出社をして頂いて
他の役員にお話をして頂くだけで構いません
当然 御殿場アウトレットの時にはお忙しくなりますから
お時間を作って頂いてご連絡だけでも構いません」
「ほう そこまでお調べですか 分りました お受けしますよ」
中曽根副社長は神山にお辞儀をして握手をすると
「神山様 秘書はどうされますか」
「お任せしますよ ここの秘書はあくまでここの秘書でこれ以上
仕事を増やせませんよ ですから付けて下さるなら御社でお願いします」
「はい 分りました 早速戻り手配します」
「ありがとうございます 今後は私のいない時にここに来ないで下さいね
今でも私は会社のルール違反をしているのです 分りますよね」
「はい 大変申し訳ございません 以後気を付けます」
「御社の顧問に対して連絡の時は必ず携帯に電話を下さい いいですね」
神山はそう言うと携帯番号を中曽根副社長に教えた
「神山様 ありがとうございます そしてこれは私共の社長からと
取締役からの我社の就任お祝いです 受け取ってください」
中曽根副社長は若い社員からジュラルミンケースを受け取ると神山の
次長席に置いてお辞儀をした
神山は
「はい 分りました しかしあけると煙が出てきて髭が生えるんじゃ
無いでしょうね 白い髭が」
中曽根副社長と神山は笑って
「そうかもしれませんよ 気を付けて空けてくださいね」
神山は一段落したのでソファーを勧め洋子にビールを出すように言うと
「神山様 どうぞ気を使わないで下さい」
「ははは これが私の流儀です 受けて頂かなければいけませんね」
また二人は笑い神山が
「御殿場アウトレットはどこのブースを手掛けられているのですか」
「ええ 今回はアレックスジャパンでしたが アルタさんいや神山さんに
一本取られましたよ」
中曽根は頭をかきながら正直に話をしてくれた
「そうだったんですか でもアレックスジャパンも変りましたよ
あのボーンは強制送還ですよ」
「ええ その情報も知っております 神山さんを襲った副社長ですよね
あの男はダニのような男でこちらも手を焼いていました」
「そうですか ところで御殿場アウトレットの仕事でまだ手付かずが
あるんですよ」
神山は御殿場アウトレットの駐車場に洗車ブースを作る事を
御殿場プロジェクトチームから許可を貰っている事を話した
神山が考えている事を全て伝えると中曽根副社長はニコニコして
「神山さん やらせてください お願いします」
「出来ますか 小さい仕事ですよ
収益も 壁の広告費と洗車代しか入ってきませんよ」
「しかし 神山さん 大竹組と出して良い訳ですよね」
「ええ 多分 そこまでは詰めていませんよ
そうしたら 出しているA案と 出せないB案と両方考えてくださいね
これは収益ではなくいかにリピートを増やすかがキーポイントです」
「はい 本当にありがとうございます ではこの件も早速手配します
今日は お目にかかれてよかったです ありがとうございます」
中曽根副社長は神山に握手をして若い社員と部屋を出て行った
ことの成り行きを見ていたカトリアーナが
「神山さん 素敵でした 本当の神山さんを見ました
勉強になったし ますます神山さんを愛しています 大好きです」
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