「ねえ 築地に行きましょうよ」
「うん そしよう」
二人は銀座に戻り ホテルの地下駐車場に止めるとその足ですぐに
タクシーを拾い銀座築地 寿司屋いせ丸へ行った
洋子が携帯電話で予約をしていたので奥の座敷をキープできた
暖簾をくぐると女将が
「お久しぶりでございます どうぞこちらです」
そう言い いつもと違う部屋に案内された
何時ものようにビールが運ばれ鮮魚のおつまみが出てきた
二人は御殿場の由紀枝が住んでいるマンションや管理人の話をした
「それでね洋子 由紀枝が25、26、27日と休みなんだ
そこで洋子も休んで3人で箱根にいこうと考えている」
「へぇ~いいの そんなに休んで」
「だって 今日これからたたき台を提案すれば忙しいのはここ2、3日だよ」
「でも いいかしら」
「洋子 最高責任者がOKと言っているんだよ 大丈夫だよ」
「はい 分りました ごめんなさい」
「うん それで亜矢子さんも誘ったけどお母さんのところで用事があって
参加できないと言っていた 残念だけどしょうがないよ」
「そう でも大丈夫ですか? お母様は」
「うん 病状は快方に向っていると言っていたよ 大丈夫だよ」
「私の母のように動き回れるようになって欲しいわ」
「うん その関連で介護の件もアルタの内藤社長が進めているよ
もしかしたら 僕も1億出資する事も考えている」
「えっ1億ですか」
「ああ 亜矢子の非営利な考え方に感銘を受けたのさ」
「そうなんですか 亜矢子さんそんなにまで、、、」
神山と洋子は食べ終わると次長室に戻り午後からの仕事に備えた
14時少し前Gプロジェクトの部屋に行くと全員が揃っていて
洋子が午前中のレポートを回収した
神山が全員を会議テーブルに集めると早速神山の書いたスケッチを見せ
「あくまでもたたき台です しかし決まっている事は先程も
話したようになっています ここからが本当の勝負と思い頑張って下さい」
神山は静岡県庁の考えや御殿場プロジェクトのスタンス
各ブースの概算予算など大まかに伝え
「これから 進めていく事は8月に建築設計が出来るように
仕事をしていかなければ全員くびです いいですね
詳細はリーダーの高橋さんと決めて欲しい
まずは スケジュールをどうするか 今日中に決定をしてください
微妙なずれは調整できますが節目は抑える事 高橋さんお願いしますね」
「はい 分りました それで工事着工は何時ですか」
「ええ 10月1日からです したがって時間がありません
しかし 私が選んだプロなので信じています
従いまして 各ブース会社とのやり取りは最小限にとどめ
デザインが出来た順に工事の見積りも同時進行します
今日から大変ですが頑張って下さい」
「関係会社との打ち合わせは3回位みておけばいいですか」
「そうですね 微調整や修正を除けば2回でしょう
1回めはすり合わせ 2回目で決定としたい
8月1日と言いましたが 7月15日と思ってくださいお願いします」
神山はスケジュールを話すと各ブースの詳細をスケッチを見せながら
説明をしていた
色々なアイディアが出てきたがそれは今後仕事で生かして貰うと言い
全て神山の基本姿勢を説明した
Gプロジェクトの面々はやる気を出したが大変な仕事だと思った
話を聞いていたグラフィックデザイン担当の田辺係長や
見積もり資材関係担当の山下らが
「僕達の仕事は何時からですか」
「こら 何を聞いている もう始まっているよ
例えば各ブースの基本となるカラーデザインや敷地に対する
予算振り分けなど一杯あるだろう メモを取っていないの」
「はい 済みません」
「今後 必ずメモを取って横の連絡をスムーズにしてください
今までの会社と違う事を頭に叩き込んでください いいですね」
佐藤部長が
「神山常務の言われる通り でないとこの事業は潰れる
それを肝に銘じて仕事をするように 頼んだよ」
佐藤部長が神山に
「しかし 山ちゃん 時間が無いのに良くここまで纏めたね
いや感心しました これだけ出来ていれば7月の始めにはメドが
立ちますよ ありがとうございます」
「いえいえ しかし一番困っているのがニーナ・ニーナのブースです
予算が無いので既存の箱を使うしかないんですよ
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