5月25日 月曜日 御殿場 快晴
「ねえ あなた忘れ物ない」
「うん 大丈夫だよ 由紀枝は」
「ええ 大丈夫ですよ ちゃんと仕度してあるもん」
由紀枝は神山にモテリコのボストンバッグを見せて
「これ いいでしょ きのう買ったの」
「なかなかいいね 言ってくれれば買ったのに」
「じゃあ 30万円くれる?」
「うん いいよ」
神山は由紀枝に30万円を渡すと由紀枝はキスをして
「ありがとう 私ボストンを持っていなかったから
今日の旅行 どうしたら良いか考えたの それで3階を思い出して
思い切って買ったのよ 素敵でしょ」
由紀枝のボストンは上質の牛革でシンプルなブラウンで取っ手のところに
モテリコのロゴマークが施されていた
知らない人が見ると1、2万円のバッグと外観は同じ様に見えたが
さわり心地や使い勝手が違うし内側にも牛革が張ってあり高級品だった
神山は少し腰が重く昨夜頑張りすぎたと反省していた
寝た時間は24時だったがお風呂から出て3回も由紀枝に付き合った
「うん 素敵だ 由紀枝に似合っているよ 大丈夫だよ」
二人は手を繋いで1階に下り 駐車場に行くと赤いポルシェに乗った
由紀枝は嬉しくてニコニコして神山を見ていた
神山は窓を開けると風が気持ちよかった
御殿場ICで東名高速に入るとまだ車が少なくて飛ばせた
大型のトラックが多かったが神山はかえって走りやすかった
30分もしないうちに渋谷で下りると由紀枝が
「ここが 渋谷ですね へぇ~ 大きな街ね」
都会が初めての由紀枝には何もかも新鮮に見えた
サラリーマンや若者が多くビックリしていた
洋子と待ち合わせたシブヤ ハイアット ホテルのタクシー乗り場には
15分程早く着いたが洋子は待っていて手を振った
「やあ おはよう」
「おはようございます 貴方が由紀枝さんね 田所洋子です 宜しくね」
「おはようございます 庄司由紀枝です 先日はご心配をお掛けして
ありがとうございます 神山さんに一杯甘えて 少し元気です」
「良かったわ」
「さあ 乗って そしたら由紀枝も後ろに行って洋子と一緒で良いでしょ」
「でも、、、」
「良いわよ 由紀枝さん 私が後ろに乗るから」
洋子が後ろに乗ると由紀枝はニコニコして神山を見つめてキスをして
「わぁ~ 素敵よ 嬉しいわ」
由紀枝は洋子を無視して嬉しさを表現していた
洋子も由紀枝の素直な所に何も言えずにいた
赤いポルシェは再び首都高に入り鎌倉を目指し飛ばした
横浜横須賀道路を朝比奈ICで下りると北鎌倉まで行って有料駐車場に
車を止めるた
「さあここが鎌倉だよ 必要な物はこのトートバッグに入れ替えればいいよ」
神山は今日の為に準備したモテリコのトートバッグを2人に渡した
洋子や由紀枝はボストンバッグから必要な物を入れ替えていると由紀枝が
「ねえ神山さん 途中でHしないでね ショーツ足りなくなるから
だって 伊豆の時も帰りはぐじょぐじょで気持ち悪かったから」
洋子が笑って
「由紀枝さん 大丈夫よ ここは出来ないから大丈夫よ」
由紀枝は洋子に確認をしてトートバッグを肩に掛けて足を降ろすと
「わぁ~ 鎌倉の第一歩よ 神山さん」
由紀枝はそう言うと神山に抱きついてキスをした
よほど嬉しいのだろう 神山は照れないでしっかり受け止め
「さあ 思い出に残してね 最初に円覚寺にいこう」
3人は少しずつ増えてくる観光客と一緒に円覚寺に行った
由紀枝は鎌倉文化を勉強していたので 神山や洋子に分り易く話した
道を左に曲がると桜の木が階段を覆い観光客が整列して歩いていた
総門の大きさや立派さに由紀枝は驚いていた
境内を右に歩くと見晴らし台に行く階段があり
まだ蕾の紫陽花が可愛らしく綺麗だった
見晴らしからは丁度東慶寺が見え神山が
「あそこの紫陽花もカメラマンがよくいる所で 有名だよ」
神山はビールを呑みながら由紀枝に説明すると
由紀枝と洋子はデジカメを取り出し撮影を楽しんだ
3人は狭い階段を降りている時に由紀枝が神山に抱きついて
「ぎゃあ~ もう なに いまの にゅろにゅろと出てきたわ こわい」
「ははは とかげだよ 大丈夫だよ そんなに心配しなくて」
由紀枝はそれから神山にべったりくっついて階段を降りた
円覚寺を出て線路を渡ると東慶寺がすぐに見え拝観した
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