2012年2月4日土曜日

Vol.574 ゆり -4-37



そう言い由紀枝は扉をあけて手を振って階段を降りて行った
神山は窓の外に覗く海を見ているとますます由紀枝を愛してしまった
一つ一つの言動が神山の心に新鮮に思えた
窓枠に腰掛けタバコを吹かしていると由紀枝が戻ってきて
「ふぁ~ しぶい~ その格好 映画俳優みたい
ねえ もう一度煙をを吐いて」
神山はにこっと笑ってタバコを吹かした
「ふぁ~素敵 胸が痛くなるわ いいわ~ 神山さん俳優になれるよ」
神山はキッチンでタバコを消すと由紀枝の手伝いをした
「さあ ここの引出しは見たら駄目よ 私のパンツが入っているから
わかった 絶対に 見たら絶交だからね 向こうを見ていて」
神山は本気で言っていると思い窓際に座って先ほど同様タバコを吹かした
「もう良いわよ こっち向いても ねえ神山さん」

神山は由紀枝が言ったので振り向くと 引出しから出した
ブラジャーやショーツを綺麗に並べて見せてくれた
「どれがいい? だけど高い下着がないのよ」
神山はドキドキしながら見ているとタバコを消しに立ち上がったが
手が震えていて灰を落としそうになって自分の手のひらで受け
キッチンで消した
改めて これだけの下着を見るとどれがいいと言われても困った
「しかしこれだけあると迷うな」
「そうしたら ベストワンはどれ」
「うん これだ」
神山は少し大人っぽい感じのブラショーツを選んだ
由紀枝はそのセットをダンボールに入れると
「じゃあ この中でベストワンはどれ」
神山は可愛らしさがあるブラショーツを選んだ
由紀枝はそのセットをダンボールに入れた
こうやって由紀枝のブラショーツを7点ほど選ぶと由紀枝は
「ご協力ありがとうございます あとは捨てていくわ」
「えっ もったいないよ」
「だって 神山さん嫌いでしょ だから捨てるのよ
その代わり 素敵なのを買って 神山さんの好きなブラショー」
神山はやられたと思ったがなるほどとも感心した
これから神山に抱かれる時に神山の嫌いな下着を着けていても
嫌われるだけで神山の好きな下着を着けていた方が好まれると
そう考えて行動した由紀枝だった
「うん 由紀枝と一緒だったら例えランファン売場でも行くよ」
「ふぁ~ほんと嬉しいわ~」
神山は扉が開かれていたがお構いなく由紀枝にキスをした
やはり女子寮なので男性が訪れた時は扉を開く規則になっている
「さあ これで全部よ どうでしょうね」 
「本当に衣類と簡単な食器だけだね」
「ええ 冬物は実家だし 余計な物は要らないでしょ」
「わかった あしたバンで動かそう それとNTTや水道やガスの開栓
電気の通電を申し込みにいこう」
「ええ お願いします」

神山は昨日の不動産屋に電話をして各連絡先を聞き
水道は今日これからメーターの確認と開栓をしてくれる事と
電気も今日中にメーターの確認と通電をすると約束した
ガスは明日11時に安全点検をして開栓その後器具の安全点検
NTTは最寄の営業所で手続きを行うことでOKとのこと
神山は由紀枝に
「よし 終ったよ そうしたらお腹がすいたね」 
「ええ もう12時半ですよ ありがとうございます」
そうしていると廊下が賑やかになって由紀枝の部屋を覗く
寮生がいて
「ふぁ~ 神山さん こんにちわ」
昨日のフロント嬢だった
「やあ こんにちわ お手伝いさ ご飯は済んだの?」
「ええ 終りました 由紀枝いいね 神山さんと一緒で」
「良いでしょ あっ送別会 ありがとうございます」
「いいよ そんな でも私もあそこに行きたいな~」
「試験を受ければ良いじゃん そんな事言ってないでさ」
「うん でも由紀枝みたいに自信ないし」
「当ってくだけろで 落ちたら又受ければ良いじゃん」
「う~ん まあ考えるわ 何時出て行くの」
「うん 明日よ」
「そうか 連絡ちょうだいね」
「分ったわよ 彼氏に宜しくね」 
「うん でも分らないの 別れそうよ でもいいけどね」
「どうしたの 何があったの 上手く行っていたじゃない」





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