レストランに着き受付にカードキーを見せると海の見える窓際の
席に案内された
神山は最初にビールを注文するとすぐに運ばれて二人のグラスに注いだ
「では お疲れ様でした 明日も頑張ろうね 乾杯」
「ええ お疲れ様でした そしてありがとうございます」
由紀枝はニコニコしてビールを呑んだ それも一気に
神山はグラスに注ぐと
「ふぁ~美味しかったわ 呑みましょ神山さん」
神山も半分くらい呑むと由紀枝がビールをグラスに注いだ
料理が順番に運ばれてどれも美味しかったがただ少し冷めていた
由紀枝はニコニコして神山と話をしながら食べていた
「ねえ 神山さん亜矢子さんも今夜泊まりたかったんでしょ」
「ううん 彼女は泊まらないよ さっきも言ったけど
僕らに気を使っている訳じゃないよ 本当に帰りたかったのさ」
「そう ならいいんだけど だけどこれからは亜矢子さんと
一緒に旅行に来れるのかしら」
「うん 大丈夫だよ 昨夜もその事は話をしたよ 心配しなくてもいいよ」
神山はビールが無くなったのでワインを頼んだ
由紀枝はワインが大好きで読書をする時に少し舐める程度が美味しいと言う
「そうか ワインが好きなんだ ライトが良いのかそれともなんだろう」
「ええ 本格派はヘビーでしょ だけど高すぎて手が出ませんよね」
「うん確かに高いね 僕も今まで一番高いのは5万円くらいだよ
今ではないよ 昔ねボーナスが出た時に贅沢をした
今は不思議な話でお金が有っても無駄遣いはしないしね
それに1本10万円とか20万円のワインは買う気にならないな」
「ええ せいぜい神山さんが言った5万円位でしょうね
それ以上は私も分りません」
二人はワインの話をしていると楽しかった
料理が次々と運ばれてきて特別料理も運ばれてきた
神山は何処でも同じ様な料理を出すんだなと思い箸がゆっくりになった
由紀枝はマイペースで食べていたので神山は気を取り直し食べた
運ばれた料理を食べ終わると由紀枝は
「結構 食べましたね お腹が一杯です」
「でも女性は小腹があって甘い物が出ると食べるでしょ」
「ふふふ よくご存知ですね そうなんですよ もうねえ」
そう言っているところへフルーツが運ばれてきた
「ふぁ~又 太るわね でも美味しいそうよ」
由紀枝はフォークを使ってニコニコして食べた
目の前でニコニコされると不思議と元気が出て食べてしまう
「ふぁ~ 美味しかった 神山さんも食べたんだ~」
二人は満足していた 一息ついて神山が
「では 出ましょうか」
「はい そうしましょう」
神山がカウンターで伝票にサインを済ませると部屋に戻った
由紀枝は座卓にお茶を用意すると神山に
「神山さん お料理どうでした 私は70点かな」
「えっ うんそうだね70点だね」
「私 神山さんと一緒の意見よ まず冷えていたでしょ
それから ここの独創性が無いでしょ だから70点 味はOKね」
「ははは 右に同じです でもニコニコして食べるんだ」
「ほんとは不味いってはっきり言いたいけど ウエイトレス仲間って
いうか そう言うと彼女達が可哀相でしょう だって
彼女達が悪いわけじゃ無い訳 厨房とかコック長がもっと
考えないといけない事でしょ だからニコニコ食べたのよ
例えばビールをテーブルでこぼすと彼女達が悪い訳で怒れるでしょ」
「うん由紀枝の言う通りだが 僕は正直だから顔にでるな だめだね」
「だって 普通はそれでいいと思いますよ」
神山は大した女の子だと感心したしこの子なら長く付き合えると感じた
「由紀枝 英語はどの程度できるの」
「ふふふ もういやよ 亜矢子さんも同じ質問をしてきたわ もうふふふ
一応英検の1級は持っていますよ でも面白い」
神山は英語で
「何が可笑しい こら 真剣に聞いているんだぞ もう」
由紀枝は又笑った 英語で
「亜矢子さんも 同じことを言いました だから可笑しかったの」
神山が笑い出して
「二人とも由紀枝を心配しているんだよ」
由紀枝は笑いが止まらなかった
「もう 嫌 すべて同じよ あ~あ だめ」
由紀枝は涙を出して笑っていた
神山はこれ以上言うとまた言われるので辞めた
しかし 亜矢子も由紀枝を心配している事を改めて感謝した
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