2011年11月27日日曜日

Vol.505 薔薇 -8-33



100万円を出して頂けると言う事ですね」
「ええ ここは一つお願いします」
「ええ いですよ 神山様の事ですから それで7月末までの
修行で宜しいですか」
「うん?」
「ええ 7月一杯までなら逆にうちが助かります 若い子の夏休みも
充分取れますし」
「いいんですか お願いします それと休みですが週2日でお願いします」
「ええ 分りました それで何時来られますか」
「ええ 今日 7時30分位にお邪魔します その時に本人を紹介させて
頂きます 私はそちらで頂きますが」
「えっ そうすると 神山様は何名でお食事されますか」
「ええ 2名で女性が多分先にそちらに伺うと思いますのでお願いします」
「はい 畏まりました お待ちしております」
神山は電話を切ると鈴や食品の黒江に電話をして多田と東条の
武者修行先が決定した事 期間は7月一杯 休みは週2日
牛肉の仕入れ代100万円は神山が立て替えることなど説明して
「本日 両名を19時に次長室ビル出入り口に来るよう指示してください
それと 簡単な履歴書持参です いいですねお願いします」 
黒江は早速手配をすると電話を切った

神山は祥子に電話をして
「こんばんわ 神山ですが」
「はい 祥子です」
「うん 今夜はイタリアンレストラン スパにしよう
今 予約を入れた 何時に終りますか?」
「ええ 7時には終るわ そうしたら先に行っていましょうか」 
「うん マスターに僕の名前を言えば席に案内してくれる」
「ええ 分りました では楽しみにしています」
神山は時計を見ると19時前になったので部屋を見回し
ビルの出入り口に行くと多田と東条が待っていた
「神山様 ありがとうございます 早速ご手配をして下さいまして」
「いえいえ 当然ですよ さあ行きましょうか」
「あの これは黒江が神山様にと」
神山は茶封筒を受け取ったが中を見ないでタクシーを拾い
運転手に行き先を伝えた
前に座った神山は先程の茶封筒を開けてみると手紙と現金が入っていた
黒江からのお礼の手紙で現金は400万円入っていたが
100万円は先方の仕入れで300万円は謝礼と書いてあった
神山は100万円を貰って300万円を肉の仕入れに当てようと考えた
青山3丁目のイタリアンレストラン スパには約束より早く着いて
マスターに挨拶をした マスターが神山に
「今度 名刺が変りましたので」
そう言われて名刺を見ると マスターから総支配人に変っている
「なにか?」
「ええ 共同出資をしていたんですが業績が良くなって
今度 そのような立場になりました」
名刺には イタリアンレストラン スパ 総支配人 石原順次と
印刷されていた
神山は多田と東条の履歴書を渡し石原が目を通すと
「はい 分りました 神山様 7月一杯働いて頂ければ
いい腕を更に磨いてお返しできます」
「ありがとうございます それと牛肉の仕入れ代金ですが
これを当ててください お願いします」
石原は300万円をみてビックリして
「神山様 頂きすぎですよ こんなに」
「ええ 提案が有るんです 最初から超上級の調理は無理だと
思います そこで段階をへてその超上級も調理できるように
なって貰いたいのです その時の代金です」
「分りました そうですね 今ここで使っているお肉より
良いお肉はまだまだ有りますからね はい 分りました」

石原は多田と東条にここで待つように言って
「神山様 お連れの方が2階でお待ちでございます」
「うん ありがとう」
神山は石原と別れて2階に行くと祥子が手を振って待っていた
「やあ お待たせ 待たせたね」
「ううん 今しがた来た所ですよ」
神山はテーブルに何も無いのでウエイトレスを呼んで
ビールと単品のおつまみを頼んだ
「久しぶりね ここで食事するの」
「そうだね 僕も忙しくなったから」
「でも 今夜はちゃんと約束を守ってくれたわ 嬉しい」
テーブルにビールとおつまみが運ばれて神山と祥子は乾杯した




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