2011年11月19日土曜日

Vol.497 薔薇 -8-33



「えっ また1等賞? ほんと」
「ええ 今日の夕刊を何回も見直したわ 大丈夫よ」
「それで幾らなの」
「ええ 私の方が2億5千万円 1等が1億5千万円で前後賞が
5千万円が2本で1億 合計2億5千万円よ 貴方も同じよ」
「へぇ~ どうしようね 凄すぎて分らないよ」
「ええ 私も怖くなったわ もう買わないわ」
「うん 僕も怖いよ」
「それで 2億5千万円はまだ1週間先になるけど振り込むわね
それと昨日振り込んで置いたわ 見た」
「ごめんなさい まだ見ていないよ」
「こんど換金できる次のお休みだから 5月14日の木曜日に
振り込むわね 良いでしょ」
「うん しかし僕が全額とはいかないから洋子さんにも
振り込んでくれる? これから調べて連絡するよ」
「ええ そうね余り気にしないと思うけど お金だからその方が
いいわね 携帯に電話をしてください」
神山は電話を切ると洋子に電話をすると
「ふぁ~ 凄い でもいいのかしら 頂いて」
「うん 亜矢子さんも2億5千万円をきちんと受け取ったし
洋子は1億で良いかな?」
「多いわよ でも頂くわ では口座番号を言いますね」
神山は口座番号と振り込み額を確認して電話を切ると
亜矢子に直ぐ電話をして承知しましたと言い電話を切った
神山は時計を覗くと23時なので祥子に電話をしたが通じなかった
多分新幹線の中だろうと思い留守電にこれから寝るメッセージを入れた

5月7日 木曜日 晴れ
何処で鳴っている携帯の音で目が覚めた
「はい 神山ですが」
「私です 祥子よ おはようございます」
「やあ おはよう どこ」
「ええ お部屋よ 朝ご飯の仕度できたわよ こない」
「うん ありがとう シャワーを浴びていくよ」
神山はシャワーを浴びて部屋着で祥子の部屋に行くと
「ごめんなさい 何時も 電話を貰っておいて」
「うん まあ仕方ないさ」
神山と祥子は軽いキスをした
「本当に何時もごめんなさいね 朝食も出来なくて」
「いやいいよ 仕事だから仕方ないさ それより御殿場アウトレットの件で
段々と分ってきた事があるよ」
神山は先日の静岡県庁の話や昨夜の筒井との会話を説明した
「そうすると ニーナ・ニーナは既存の建物の一ブースの中で展開する訳?」
「そうだね だから上原のアンテナショップと同じさ」
「そうなると デザイン的には現状維持が濃厚ですね」
「うん いま考えている所さ 大変だね こちらも参ったよ」
二人は朝食を食べながら上原のアンテナショップの話をした
「うん 祥子の言う事は分るが営業時間を引き延ばしてどれだけの
データーが集まるか疑問だね それに勤務時間の問題が大変だろう」
「ええ 残業をしていると中を覗くお客がいるのね だから
今は20時で閉店しているけど22時にするとかどうかなって」
「うん 本当に興味があれば営業時間内に来るよ
だって休みが無い訳では無いしね」
「そうね」
「そうさ 昨夜だって閉店後暫く見ていたが誰も覗かなかったし
と言うより 人が歩いていなかったよ」
「そうか そうすると計画は止めたほうが良いわね」
「うん 後はどこかに隠れていて覗いていくお客の人数を
チェックするしかないけど 費用対効果で考えると
22時閉店はマイナスだと思うよ」
二人はおしゃべりをしながら食べると8時になっていた
「ご馳走様でした 今日は銀座?」
「ええ 本社によってから銀座へ行きます 貴方は」 
「うん もう少しして銀座に行く」
「そうしたら 私 早めに出ますね」
「うん 分った」
神山は食器をさげるのを手伝って自分の部屋に戻った
部屋に戻るとまだ時間が有ったのでベッドに横になった
暫くするとドアフォンが鳴ったのでモニターを見ると祥子だったので
ドアを開けると
「では 行って来ますね 今夜また電話をください 出ますから」
そう言い軽くキスをした
エレベーターまで見送ると祥子が
「今夜 お願いね」




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