2011年11月6日日曜日

Vol.484 薔薇 -8-33



6階のカウンターに行くと山城も待っていたのか
「山城です いらっしゃいませ どうぞこちらへ」
会議室を案内してくれた
神山と洋子は名刺を出すと山城は2つの会社が入っているので
少し驚いた様子だった
ソファーに座ると他の女性職員がお茶を運んできた
山城がどうぞと勧めたので飲むと美味しかった
神山は御殿場アウトレットの仕事をする上で何か規約があるのか
工事をする時の規制などをまず聞きたかった
山城はまずゾーンごとにファッションが分かれること
既存の建物の中で割り当てられたブースで展開する方法
これが一番安い契約金
次にゾーンの中で箱から自分達で造る方法
最後にゾーン以外の広いスペースでの展開 
これはその敷地を有効に使って御殿場アウトレットに寄与する
デザインがある程度求められる
最初の契約は家賃と考えられ あとの2つは家賃プラス敷地面積の
金額が上乗せされる
山城は
「この土地は元々四菱地所の土地を県と国が買い取り 御殿場地区の
地域活性化を狙った計画で立ち上がりました
私が以前視察した時に広大な土地が何もされていなく雑草が
生えている土地で何とかできないかと動き始めて7年が経ちます
ご存知のように御殿場は山に囲まれた小さな街です 
この自然を多くの人に知っていただく事と観光客の誘致を目的に
考え色々と外国の資料を見ていて計画をしました
従いまして景観も重視されますし地域との調和も求められます
基本的に平屋で考えていますがフリーゾーン エリアゾーンの
箱ものを建てる場合は景観を重視し全体の調和を考慮したデザインを
最終的にはお願いすることになります」
今度は神山が大人と子供の融合性 飽きられない御殿場アウトレットの
あり方などを山城に説明すると
「全ての方が神山様のように考えてくださるととても嬉しいのですが
はたして どこまで出来るか不安です」
そのあと山城は御殿場アウトレットプロジェクトは静岡県と民間会社で
運営されている事 募集要項が6月に配布される事 エリアゾーンの
抽選 契約金など 今月末には書類が出来上がると言うので
神山はFAXをお願いすると快く引き受けてくれた

洋子がプロジェクトの場所を確認すると県庁の中にあるというので
山城に案内してもらった
国土開発課の隣りに30畳ほどの部屋に机が10台位並んでいて
まんなかに大きな会議用のテーブルがあった
たまたまプロジェクトのリーダーが在席していて山城が紹介してくれた
「私がここのリーダーを勤めます 竹内と申します」
竹内と神山 洋子は名刺を交換した
山城がソファーを勧めたので皆で座ると 竹内が基本的な計画概要を
説明してくれた
先程山城が言っていた自然保護と観光客の集客が大きな2本柱に
なっている事
その上で建物の景観 地域との融合性などが含まれたデザインが
必要になってくると説明され 神山も山城に話した
大人と子供の融合性 箱を造った時の異業種組み合わせなどを
分りやすく説明した
「一番は 年に何回来るかで決まります 大人が暇な時に子供に
せがまれればでは 行って見ようと そうする事によって集客力を
あげる事が出来ます
単なる安物売りだけでは直ぐに飽きられてしまいます
そこで この御殿場アウトレットの景観を損なわない楽しいものを
考えていくわけです
例えば休みはファミリーが多いと思われますが 子供は直ぐに飽きます
そこを解決すればファンは増えると思います 
私は ここのターゲットを20~30代の女性でブランドを理解している
女性だと思います しかし年に何回来るかで勝負は決まります」
竹内が頷いて聞いてくれた
「神山さん ここに全体の景観があります 見てください」
竹内はA全のパネルに御殿場アウトレットの
全体像を書いた物を見せてくれた
各ゾーン毎纏まってはいるが果たしてこれで集客が出来るか心配だった
全ての建物が平屋でメリハリが無くどうかと思った 竹内が
「神山さん ご感想は如何ですか?」
「ええ よく纏まっていますが どうでしょう 例えばここの建物を
3階建てにするとか 建物にメリハリをつけては如何でしょうか





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