部屋に入ると窓を開けて換気扇を廻した
郵便受けに入らない分は1階の管理人室で預かって貰っているので
管理人室に行くと事務員が紙袋に入れて保管してくれていた
部屋に戻って調べると殆どが破棄していいものばかりで重要書類も無かった
神山はその袋のまま管理人室に持っていってシュレッダーで細かくした
「神山さん 一杯溜まったわね」
「ええ いつも済みません」
「良いですよ それより ポストの下にある蓋を開けておけば
これからこぼれなくて済みますよ」
「そうか 気が付かなかった ありがとうございます」
神山は部屋に戻ると郵便受けの下が外れるようになっているのを確認して
ポストの下に大きいダンボールを置いた
この際と思っていらない物をゴミ袋に入れて整理をした
一休みして神山は冷蔵庫からビールを出してタバコを吹かしていると
1ヶ月前を思い出した 祥子とのめぐり合い 亜矢子 洋子と
3人の女性と残高約2億の現金 当時は全然予想出来なかった
それが現実で しかしこのあとどうなるか全然予想出来なかった
神山は一息ついたので 横浜をドライブしてみたかったが
雨が本降りになってきたので銀座で食事を取る事にして
フェアレディーZに乗り込んだ
帰りの高速も空いていて直ぐに銀座に着いた
次長室に入ってソファーに寄りかかると仕事の事が浮かんでくるので
早く出ようとしたがどこで食事をするか迷った
結局上原の駅前寿司でゆっくりと酒を呑むことにした
神山は次長室を出るとタクシーで上原に向って駅前寿司に着いた
女将が置くの座敷に案内してくれて直ぐにビールと鮮魚の盛り合わせを
運んでくれた
「今日はお一人ですか?」
「ええ 休みで食べる所が無かったので はい」
「そうしたら カウンターが開いていますよ どうしますか」
「うん カウンターにします」
神山は久しぶりに一人で寿司を食べる事になった
時々大将と話をして楽しく食べているとニーナ・ニーナの浜野が
入ってきて
「ふぁ~ 神山次長 こんにちわ」
「おお 浜野君 どうも これから」
「ええ やはり上になるとどうしても店が
空いている時にしか食べられないですね」
「そうか 君もようやく責任者になってきたね 良い事だ」
「そうですか ありがとうございます ご一緒させて宜しいですか」
「うん 僕は構わないよ どうぞ」
神山はビールを勧めたが
「今度 夜 誘ってくださいよ サインを出しているのに
全然 気が付いてくれないんですもん がっかりしている所です」
「そうか 悪かった 美人のサインは怖いから見えないんだよ ねえ大将」
大将も頷いて
「そうそう 美人は後が怖いからね」
みんなで笑った
「浜野君だと男がほおっておかないだろう 引く手数多で」
「そんなこと無いですよ 全然居ないです 本当に
だから いつもお家に直行ですよ」
「へぇ~ そうなんだ」
「ええ ほんとですよ だから久保チーフとも呑んでいないし
私 寂しいのですよ」
「久保チーフと会議とかしていないの」
「ええ どうしてですか?」
「うん ご馳走しようと思って電話しても出ない時が多いからさ」
「そうですか だけど 久保チーフも何時も残業していませんよ」
「まあ 外で商談という事もあるしね」
「そうですね そう言われると 先日の連休の時に聞きたい事があって
携帯に電話をしたんですが 全然繋がらなかったですね」
「そんな事もあるでしょ バッテーリーが切れたとかさ」
「いいえ 切れてはいないんですよ 出ないの」
「ははは 僕だって休みはでないさ」
神山はこの時 今まで祥子の行動が可笑しいと思っていたが
自分だけでなく会社の人間まで巻き込んでいると思った
「さあ そうしたら何時にしようかな 浜野君とデートする日は」
「えっ ほんとですか 本気にしますよ」
「おいおい ご飯を食べに行くのに本気もあるのかね」
「勿論ですよ 勝負下着を着て頑張るわけです」
浜野は言ってしまってから しまったと思ったのか顔を真っ赤にした
「そうすると 浜野君はご飯を食べる時に勝負下着を着て食べるんだ」
まだ真っ赤な顔で 俯いたまま黙っていると女将が
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