神山は少し余裕が出来なにが出ているか観察すると
平均して売れているように見えた
池上店長が
「山ちゃん凄いな しかし的確な判断だったな」
「あっ 店長ありがとうございます 済みません私のミスです
考えていませんでした 申し訳ございません」
「うん どうだね 回転は」
「ええ 今観察しましたが平均に出ています」
「う~ん わかんないな 安い訳じゃないだろ なのに分んない」
「ええ 世界七不思議が一つ増えました しかしこの購買力だと
あと1時間持つかどうかです バックヤードはありません
かといって この混雑に商品を搬入する事は不可能です
そうだ 銀座店に廻す方法があれば なんとかなるかな
どうでしょうか ここで完売になった後銀座店に廻す事は」
「うん 筒井君に聞いてみよう しかし車はどうする」
「ハイ 今当ります」
「うん頼んだよ」
神山は上野店流通センターに電話をした
「神山です ご無沙汰しています」
「おお山ちゃん元気か まだ早いがおめでとうございます すごいな
おれを追い抜いて ところで何か」
「ええ マイクロ2台3時間位でいいんですが貸してもらえませんか」
「どうしたの」
神山は上原の現状を説明し池上店長もご存知ですと伝えると
「分ったわ 高いぞ」
「ええ ニーナ・ニーナの筒井さんに廻してください」
「そうすると 多少のピストンだね」
「ええ 2,3回で済むと思います」
話をしているところへ池上店長がOKサインを出した
「今 池上店長と筒井副社長の話が纏まりました お願いします」
「うん分った 場所は代々木上原駅だね」
「ハイ 国道から入るとすぐです 駅に入る道が2本ありますが
国道に駅名が出たら曲がって直ぐです」
「ありがとうございます わかりやすい 30分位掛かるが いいかな」
「ええ それより12時30分に来て頂くと良いですね お願いします」
「はい 山ちゃんのお願いじゃ断れないよ では」
神山は池上店長に上野の流通センターからマイクロバス25人乗り
2台を3時間借りた事を報告した
「わかった 筒井君に話してくれ」
神山は筒井を探し マイクロバスの件を話した
「山ちゃん 本当に何から何までありがとうございます」
「しかし 請求書は来ると思いますよ」
「うん ありがとうございます」
そろそろ12時になったのか 筒井がマイクを持って総入れ替えの事を
アナウンスし始めた
神山は一息つく為に皆に見えない路地に入ると高橋がいて
「すごいね バーゲンじゃないのに それにしてもさすがだね山ちゃん
改めて ほれなおした」
神山はタバコを吸いながら
「だってあのまま営業していたらゴルフどころじゃないでしょ
棚板ガラスが割れたとか人が転んで什器を壊すとかねえ」
「ん まあ そこまで考えたの 客の事だけではなく」
「はっきり言って 客は後です 什器が先です 仕事終ろうよって」
「まいった 池上店長さんは客だと言っていたよ よくやったって」
「ははは それでしたら そうしましょうね」
神山はタバコが美味しかった
朝 むしゃくしゃしたのが晴れた気がした
「ところで内藤社長は」
「うん この人ごみでは選べないと言って帰りました」
「そうだね 後日来て頂くしかないか これじゃあ出来の良し悪しも
判らないしね」
「うん そうそう」
神山はタバコを吸ったので路地を出ようとすると倉元が入ってきた
「山ちゃん 素早い判断で皆を救ったな おめでとう 感服した」
「ありがとうございます 嬉しいです では戻ります」
神山は店舗の前に行くと列の後ろが伸びていないので
ピストンは一回で済むかなと思った
中の商品はどんどん無くなって行った
しかしこんな売上だとアンテナショップとしての資料が出来ないと思った
神山は筒井に次の現場があるので13時少し前にアルタの
高橋とここを離れる事を伝えた
筒井は何回もありがとうございますと繰り返していた
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