2011年7月11日月曜日

Vol.366 薔薇 -1-26

「うん まあ 参った 大工も帰りたいって言うけどね
なんかあった時は一人で出来ないし これは山ちゃんが悪いんだ」
「そう 早く進めば山ちゃん 退屈すれば山ちゃん ですよ」
また皆で大笑いしているところへニーナ・ニーナの部隊が
休憩から戻ってきた 筒井が
「山ちゃん ありがとうございます 凄くいいのを造ってくれて
感謝している ありがとうございます それにアルタさんも
一所懸命作ってくれたので感謝しているよ」
「僕は大した事していないですよ 久保さんや現場のアルタの高橋に
御礼を言ってくださいよ ほんと」
「おかげで 仕事が早く進み今 みんなで休憩作戦会議をしていたんだ」
「もう 終わりですか?」
「うん あと飾付けの手直し 商品のバランスチェックかな」
「良かったですね」
「商品が当初予定していたより一割位多く入る事が分ったので
嬉しい悲鳴ですよ あっ 遅くなったけど アルタさんでは常務に
なられると聞いたよ 凄いね それからこちらの方が秘書さん?」
「はい 私は鈴や東京本社神山次長 アルタ担当常務神山さんの
専属秘書の田所洋子です これからもお力になれるよう
努力致しますのでお願いします」
「申し遅れました ニーナ・ニーナの筒井です
確か 本社人事ですよね」
「ええ そうです」
「これから 山ちゃんを支えて下さいね」
「はい ありがとうございます それでニーナ・ニーナさんには改めて
28日の14時にご挨拶にうかがわせて頂きます お願いします」
「はい 分りました お待ちしています」
挨拶が終ったので現場を見てみると祥子が珊瑚の砂を出してきて 
棚などのポイントになる場所に置いていった 
神山が祥子に
「珊瑚の砂は最初は少なめに薄く広げて それからグラスとか置くと
綺麗に見えるよ それと考え方だけど ドーナツのように
真中を開けて構成しても面白いかもしれない 色々と試した方が良いよ
ただし 全部が同じ構成でないとばらばらで訴求力が無くなる わかった」
「はい 分りました あとで見てください」
「うん か 明日早くが良いでしょう」 
神山と祥子がディスプレーの事で話している間に内藤社長が来ていて
筒井と二人きりで相談していたが終ると神山を呼んで
「お疲れ様です 山ちゃん あとで時間を作ってください
直ぐに終ります」
「はい 分りました 僕一人が良いですか」
「ええ では お願いしますね そうですね そうしたら今大丈夫ですか」
「ええ」

内藤社長は高橋に30分位寿司屋に行くといい筒井にも30分ほど
山ちゃんをお借りしますと言って出た
寿司屋に入ると女将が奥の座敷を案内した
「いや 山ちゃんのおかげで我社は安泰です」
「えっ」
「ほら 地ビールさ 御殿場アウトレットがある限り 絶対安泰
いや 本当にありがとうございます 感謝ですよ」
「そんな 何もしていないですよ」
「まあまあ 権利を取得する事が凄く難しいんです
それが まだ誰も手を付けていない地ビールだったんで助かりました」
「良かったですね」
女将がビールと鮮魚の盛り合わせを持ってきた
神山が慌てて
「ごめんなさい 今回はこれだけにして お願いします」
女将が頷きカウンターへ戻っていった
内藤社長が二人のグラスにビールを注いだ
「では 乾杯」
二人でビールを呑むと内藤社長が
「実はここに来て貰ったのは 今のマンションの他に 何処か
住処を作らないとお互いぎすぎすして仕事が捗らないだろうと
考えたわけさ 結局 田所さんと次長室以外で話となると
横浜しかないけど あそこにわざわざいかれない
となると ここら近辺でプライベートな部屋を持つ必要が出てくる
分ってもらえれかな このことはさっき筒井さんにも話をしてある
田所さんが久保さんと鉢合わせしないうちに手を打たないと
仕事が出来なくなる そうするとアルタにとっても痛手なんだよ
だから大至急 探してそこで田所さんと話をして貰いたいんだ」
「ありがとうございます 実は久保さんが居ない日に呼んで
仕事場を見て貰ったんですが あの部屋の出入りは危険が伴うと
思いまして 今日探して 手付金を払ってきました





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