神山は照明をつけ外に出てみると陳列された商品が
先ほどより更に見栄えした 神山は高橋を呼んで
「思った通りに効果が出ているね」
「そうですね 商品が映えて見えますよ うん良く出来ました」
「僕はこのような仕事で外は初めてなんですよ
しかしこれで少し勉強できましたね 床もいいし 自分で
誉めるのは余り好きではないけど 100点でも良いでしょう」
「うん 山ちゃんがコーディネートしてくれなかったらアウトでしょ
ぼくはそう思っていますよ ほんと」
「ありがとう やはり現場だね 現場を把握しないと出来ないね」
「うん そうですね ここのように主役が商品で脇役が造作や什器
しかし造作や什器もしっかり主張していますからね 凄いですね」
神山と高橋が話しているところへ祥子が俯いてきた
「済みませんでした 遅くなりました」
神山と高橋は顔見合わせ高橋が 店から出て行った
「なあ祥子 もう二度と言わないよ 自分で抱え込んで良い格好するの
辞めなさい でないと我々が振り回され 仕事が出来なくなる
先日の浜野君のように打ち明けてもらえば何とか考える
抱え込んで何でも自分で解決しようとする事は絶対に辞めなさい
筒井さんも居る ぼくも付いている そんなに自分で
格好つけるんだったら 今後祥子と仕事が出来ない 良いかな」
「はい 今朝の電話の通りで 何とかしようと思っていたの だけど
蓋を開けたら大違いで大変だったんです」
「うん その話は昨夜ではなくもっと早めに解決をしておかなければ
いけないことだろ だから何か小さい事でも抱え込んで 解決すると
言う事を辞めないと 同じ事の繰り返しになるし
祥子の進退問題に発展する いいね分った」
「はい 分りました どうも済みません 今日筒井と相談します」
「うん でないと祥子の居場所がなくなるよ ほんと
筒井さんが自分で決めなさい そんな事は と言われ迷ったら
僕が居るだろ そこだよ 見極めをきちんとしないとだめだ いいね」
「はい 分りました ほんとごめんなさい」
神山と祥子は話しが終わり祥子は元気なさそうに仕事をはじめた
今まで見た事が無い暗い表情だった
しかし ここで立ち直らせるにはああ言う事を言わなければ
駄目になると思った
神山は祥子に近づき
「ほら 笑顔だよ笑顔 お客さん見ているよ それも仕事 ねっ」
神山に励まされた祥子は作り笑いで
「は~い 分りました 頑張るわ ありがとう やっぱりあなたね」
「さあ 笑顔 ねっ 笑顔」
そう言って 外に出たら高橋が
「山ちゃんらしいや 久保さん やる気出したもん いいなもてる男は」
「さあ お仕事ですね」
高橋と話し終わるとニーナ・ニーナの面々がにこにこやってきた
時計は9時30分になっていた 神山はカチンと来ていた
ニーナ・ニーナの女性軍が神山におはようございますと言ったので
「おはようございます では無い
何時だと思っている 遅い しっかり準備をしなければ
いけない時だろ それをこんな時間に来て なにを考えている」
その剣幕でみなビックリしたが浜野が
「昨夜 話したんです チーフと それでこの時間に来たんですが
どこか間違っていますか」
「わかった 君はそれをどう思う」
「ええ チーフの指示だったので別になんとも思っていません」
「この中に早く来て仕事をしようと思ったのは誰もいないのか」
みんなシーンとしていた
「いいかい 分っていると思うが 君たちの給料がこのショップに
掛かっているんだ 大切なショップって分っているのか
会社のお金を使って アルタさんだって頑張って造ってくれただろう
そんな自分のお店をなぜ大切にしない 浜野君」
「ええ 早く来る予定だったんですが 昨夜あれだけ準備をして
あと仕事は事務所の整理だけだったんでゆっくりしよって事ですが
悪いですか」
「掃除は」
「ええ チーフが私がやるって言うので任せてます」
「君はそれでいいと思うか」
「神山さん 部長さんだからと言って そこまで言われるんですか」
「うん これは役職抜き にんげんとして言っている
ぼくは工事を一杯見てきた その中で チーフが言ったから
遅く出てきました という話は今まで聞いた事がないし初めてだ
この店舗が非常に大切なところに位置している事はわかっていると思う
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