2011年7月3日日曜日

Vol.358 鈴蘭 -4-25


「ねぇ 踊りましょうよ」
そう言い 二人は真中で踊り始めた 
洋子の踊りが上手で回りの男達は指笛を吹いていた
2曲を踊り終わると少し休みたいと言ってビールが置いてあるカウンターに
戻り飲み干すと 神山と洋子はカクテルを頼んだ
神山はドライマティニィーを舐めるように楽しみ 洋子はトマトジュースを
ベースにしたカクテルを呑んでいた
「洋子 気を悪くしないで聞いてほしい」
「なあに?」
「うん じつはあそこのマンション以外に部屋を借りようと
思っているんだよ」 
「えっ」 
「知っているように落ち着かないだろ プライベートも無いし
だからここいらに借りようと思っている」
「ええ いいけど 横浜はどうするの? 私はそれだったら
横浜に行っても大丈夫よ だって幾らお金が有るって言っても
少し勿体無いと思うわ だけどこの周辺だと
近所の目があるから少し離れたほうがいいわ」
「そうか 横浜は生活の場所だけど 狭いしどうかなと思って」
「うん 分るわ あなたは大丈夫?そんなに何ヶ所もあって」
「うん 洋子と二人の場所を確保したいのさ 
そうすると 横浜より上原に近い場所で プライベートが保てる
部屋が欲しくなったわけさ」
「そうね あの部屋では落ち着かないもんね ねぇそうしたら
横浜からこっちに引越しをしたら それで一回荷物を整理すれば
結構広くなるし ねっ それで家財道具も新調できるでしょ
上原のマンションは貴方が払っているの?」 
「うん現状 横浜はアルタ支払い 上原はニーナ・ニーナさ
ニーナ・ニーナの仕事は御殿場アウトレットの仕事が
終るまでとなっているけど 三重県にもアウトレットが出来
そこにも出店計画があるんだ だからあの場所は何時なくなるか
わからないし 逆にアルタの仕事が中心になってくると
家賃支払いはアルタになって そのままあそこに居るかと
非常に不安定なのさ だから当分横浜はそのままにしておこうと
思っているんだよ」
「そうね 仕事の流れでその都度引越しは大変よね
ねぇ そうしたら明日探しましょうよ ねっ」 
「うん このままで行くと洋子は当分僕と一緒に行動する事になる
そして やはり動かなければいけなくなって来ると思う
そこは大丈夫だね」
「ええ 大丈夫よ アルタさんも付いているしおじ様もいるし」
「うん アルタは内藤社長で大丈夫だと思うけど 時田さんは
動かされないかな それが心配だよ」
「ええ 副社長と言ってもサラリーマンには変わりないしね
大丈夫よ ちゃんとついていくから だってどッかに行く時は
アルタさんだって一緒に動かさないと駄目でしょ 平気です」
「そうしたら 明日 探そう」 
「ええ お部屋の数は少なくて良いけど 広いほうが良いわ
それと見晴らしが良くて 日が入るところ それと私の家から
10分以上離れていて 駐車場があるところ ねっ」 
「そうだね その条件で一回当ってみよう」
「嬉しいわ 一緒に居られる時間が一杯増えるのね」
洋子は神山にキスをした 店内では曲がブルースに変った
「ねえ 踊りましょ」
洋子は神山の手をひいて真中に出て抱きつくように踊った
先日一回踊っている神山は直ぐにリズムに乗ることが出来て
足運びを上手に洋子をリードした
二人の踊りが上手で周りを圧倒しセンターでは二人だけになった
洋子は両手を神山の首に巻き神山は洋子の腰を支え見詰め合って
曲に乗ってダンスを楽しんでいた
ダンスも終盤に入りそろそろ終る頃 洋子の体によろけて
倒れかかってきた外人がいて神山と洋子に謝った
神山は一瞬気が付かなかったが 外人が気が付いて
「ごめんなさい 伊豆では大変失礼な事をした
出来れば 許してほしい」
そう言ってきた時に曲が終わり カウンターに戻ると外人達も一緒に来て
「本当に申し訳なかった 反省をしている」
そう言って財布から20万円を出し神山に
「これは先日渡せなかった分だ 受け取ってくれ」 
二人の外人は神山にお辞儀をして許して欲しいと訴えた
洋子が
「どうしたの この外人さん それに20万円って」
神山は洋子に掻い摘んで 伊豆ぐらんぱる公園でゴルフの賭けの
話を説明した 洋子は





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