2011年7月19日火曜日

Vol.374 薔薇 -1-26

それだったら 例え応援でも 自分が何とか力になれないか
そうやって考える事が大切だと思う 昨夜どれだけ準備出来たかなんて
それは自己満足だ 仕事は探せば転がっている
君のような腐った考えの人間はこのニーナ・ニーナでは必要と
していないだろう だからと言って 他で働いても
今の考えを直さなければ 同じ事の繰り返しで
仲間に迷惑をかけるだけだ 僕は人間としてあたりまえのことを
言っている この事は筒井さんにもきちんと話をする
そして君の言動が影響してニーナ・ニーナが可笑しくなったら
僕達の仕事が無くなる そしたら君は皆にどうやって
償いをしてくれる」
浜野は俯いて泣いていた
「済みませんでした 私が悪かったです 済みません」
「だめだ そんな事では 僕に謝るんじゃない 君が引き連れてきた
仲間にちゃんと謝って仕事をするのが本筋だろう 違うか」
「はい 分りました」
浜野は 遅く来た仲間全員に頭を深々と下げ 
「みなさん ごめんなさい 私が間違っていました 
このお店は私たちが造ったお店です 力を合わせましょう
神山さん 先ほどは大変失礼申し上げました」
「あとは」
浜野はきょとんとしているので
「チーフに何故謝罪しない 君の上司だろ ふざけるな」
また浜野は泣いた
「僕に謝るより チーフ 君の上司に謝るのが先だ
そうやって上下関係をばらばらに考えているような人間も
ニーナ・ニーナでは必要としていない ふざけるな 上司は僕じゃない」
浜野はもう涙で化粧が落ちて顔がぐしゃぐしゃになっていた
「いいか 上司を上司として敬う事が出来ない人間は
どんな仕事をしても同じさ この言葉を聞いて悔しかったら
上司から 浜野は凄く上司思いの子ですって言わせてごらん
そうしたら僕は君をニーナ・ニーナの一員として認める 分るか」
浜野はもう声が出ないで頷くだけだったそして祥子のところへ行って
「先輩 ごめんなさい もう二度とあんな事はしません
どうか許してください 済みませんでした」
祥子が一枚上手だった
「私は 何も知りません ここを造ってくれた人に 
売上ナンバーワンと言う恩返しをしたいだけです
貴方もその仲間に入りたかったら お化粧を直して
仕事を探し オープンに間に合わせなさい わかった」
浜野は今度は声を出して泣きじゃくった 
そこに筒井が来ていて
「浜野君 今出ている涙が本物か偽者かは君の努力次第だよ
わかったら チーフに言われた事をしなさい」
浜野は筒井の声を聞いて また大声でないた
筒井が他の女の子に事務所にいくよう指示した
「山ちゃん ありがとうございます 助かりました
実際 私が甘やかせたのがいけなかったのです そのために久保君を
追い込ませたのかもしれない 本当にありがとうございます」
筒井は頭を深々と下げたので
「筒井さん 頭を上げてください 僕は当たり前の事を言っただけです
それが彼女にとって新鮮だったら今まで可笑しかったんですね 
まあ 荒治療でしたがここまで言わないと分ってもらえないと
思いまして 言わせて頂きました 
こちらこそ お忙しい所済みませんでした」
「いや 私も聞いていて 胸に何かくるものがありました
これで 一枚岩になるでしょう」
筒井の話しが終ると祥子が神山に
「ありがとうございます 私は彼女を甘やかしたかも知れません
しかし 神山さんの話で組織が少し分りかけてきました
今後は躊躇する事無く指導をしていきます」
「うん 久保君そうだよ 私の代弁だと言っていい
部下にはズバズバと言えばいい これからそうしてくれ」
「はい 分りました ありがとうございます」
祥子はそう言って 仕事に戻った 暫くすると浜野を除き
みんなが祥子に向かって
「チーフ 済みませんでした 私もここのお店の仲間に入ります
不注意がありましたらどんどんと指摘をしてください お願いします」
「分ったわ 自分で仕事を見つけ 笑顔で仕事をしてね 笑顔よ」
神山は祥子がようやく普段に戻ったと思った
そとで見ていた高橋が
「またやったですね 山ちゃん あなたは なにほんと」
「何にもしていないさ ごくごく普通の話しさ そうだろ」
「うん まあ しかし迫力が違うな なんか 次長になるから




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