「昨夜の話だと11時オープンなのでその前にはくるそうです」
「うん 分りました そのとき聞いて見ます」
「山ちゃんが造るの?」
「いやいや 知人ですよ」
「はい 分りました では僕は出来るだけ早く大工と行きます
それと ゴルフの件は順調です」
「了解です では現場で」
神山は高橋に言われゴルフの準備をはじめた
ボストンバッグを催事課に届けてもらってそのままにしてしまった
今日は横浜から持ってきたバッグを使う事にした
色々と調べていくとゴルフボールが全然無く後は万全だった
内藤社長から貰ったゴルフセットでクラブを握るのは
初めてだが 少し振ったところバランスが良くて打ちやすそうだった
パターも高額品でこれもバランスが良く打ち易そうだった
13時に戻ってあれこれ慌てないように一箇所に纏め
後は準備する物は無いと見回し確認をした
ゴルフの準備で時間を忘れ時計を見ると8時を廻っていた
神山は祥子に電話をした まだ寝ているのか出なかった
今日 上原の仕事は11時のオープンに顔を揃える人達との
挨拶をするだけだった
一応ディスプレーを見るが基本は昨日出来ていたので
今日は少しの手直しで充分いけると考えていた
なんとしても13時少し前に出て 小田原に行きたかった
高橋が9時に現場に来ると言っていたのでその時間に
合わせてここを出ようと考えたが 軽くサンドイッチを食べたくなり
まだ8時30分だが出る用意をした
部屋を出る時祥子から電話があったので出ると
「ごめんなさい 遅くなって 今起きたところです」
「うん 僕は駅でサンドイッチを食べるからこれから出る」
「ごめんなさい約束破って 怒っている?」
「あきれているよ 何があったか分らないけど 今日の事を
考えるなら 皆を早く返して爽やかな顔でオープンを迎えるのが
普通だろう 多分今日の事で揉めたと思うが それは昨夜
話す事ではなく昨夜までに決めておく事ではないのかな?
このオープンにみんなの努力があるんだ それを忘れるな」
「はい そうです ごめんなさい」
「忙しいのは分るが そう言った事をきちんと決めていくのが
祥子の立場だろうと思う 忙しそうだからお先に」
神山はそう言って 部屋を出て どうしたものか考えた
この間も浜野の一件で悩んでいたし 自分で抱え込みし過ぎて
どうにも解決出来なくなったと考えられる
祥子は良い子に成ろうとしてはいないが 多分に
そいった所も見え隠れした
祥子がこのような生活を続けるならば 代々木で寝起き
する事が多くなりそうだと思った
やはり一人で歩くのは寂しい物があった
今まで一生懸命に現場に行っていた祥子と違う祥子が居るようだった
今朝は現場を通る道ではなく別の道で駅まで行った
売店で新聞を久しぶりに買いカフェスタンドに入った
コービーとサンドイッチを注文し新聞を読んでいると アルタの高橋が
「山ちゃん どうしたの ここで さては外泊?」
「ちがうよ さっきの電話も部屋からですよ」
「久保さんは」
「うん 携帯掛けたら 起きたばかりと言っていた」
「うん まああの人も大変だね 昨日も一人で頑張っていたよ」
「そこなんだよ 前にも相談されたんだけど 自分で溜め込む
性格かなって 相談する人間がいない訳さ 自分の弱い所を
人に見せたくないから 抱え込んだらお終いだよ」
「うん そうだね 山ちゃんに甘えているけど
どう切り出すか分らないんだと思うよ」
「そうかな まあ 仕方ないですね ところでゴルフバッグは?」
「うん もう誠二君に渡してあるよ どう内藤社長から貰ったクラブ」
「うん さっきちょこと振ったんだけど振りぬけがいいし
あのバランスは僕にピッタリだよ」
「アレレ そうすると明日は山ちゃんかな なんか山ちゃん オーラーが
出ているよ ほんと」
「まさか 禿げていないよ そんな」
神山とアルタの高橋はおおわらいした
軽食を済ませた二人は現場に着いたが誰も来ていなくて神山が
シャッターをあけ中を一通り見渡した
外からの光線が綺麗に入って商品もはえて見えた
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