2011年6月16日木曜日

Vol.341 鈴蘭 -3-24


テーブルに置いてあるお品書きを見てみると
さっぱり分らないので亜矢子に聞くと
「ええ 少しずつ変えているでしょ お刺身は多分一緒だと思うわ
鮮魚の盛り合わせが違ってくるんじゃない」
次に運ばれてきたのは 前菜と吸い物だった
やはり吸い物も昨日と材料が違っていた 当然味も違って美味しかった
ビールも呑み出されたものも食べるとタイミングよく刺身が出て来た
神山はウエイトレスにワインを注文した
すでに用意されていたのかチェイサーも一緒に直ぐに持って来てくれた
ワインが冷えていたので ウエイトレスにワインクーラーを頼んだ
下駄の切り身には新鮮な鯛など昨夜と同じ盛り合わせで
丸い器も伊勢えびが動いていたりこちらも新鮮だった
今夜はもう一つ器が用意されしめ鯖が盛られていた
「美味しそうだね このしめ鯖は」
箸を動かし口にはこぶと 美味しかった 先日上原で食べたのと
同じ位美味しかった
「美味しいよ しめ鯖」
亜矢子は言われて口に運んで一口食べると
「ふぁ~ 久しぶり 美味しいわ うん あぶらもあって美味しい」
「実はこのしめ鯖で副社長と仲良くなったんだ」
神山はしめ鯖事件を簡単に説明した
「ほんと 2回も食べたの その副社長さんよっぽどお好きなのね」
「うん お肉より魚だね」
「羨ましいわね 都会わ」
「なに言っているの こっちだって新鮮な魚介類豊富じゃないか」
「ええ だけど毎日食べられないわ 贅沢な悩みね」
神山はボトルを持ってワインをグラスに注いだ
ワインを呑もうとすると亜矢子が顔を近づけ
「ねぇ あの二人こっちを見ているわ 嫌ね」
神山も亜矢子の目線を追いかけると 葉山と高柳がこちらを観察していた
「ほっておけ なにを言われても聞かれても知らん振りだよ」
亜矢子は頷き ワインを呑み刺身を食べ始め久々に
運動をしたのか よく呑み食べた
神山は二人のテーブルには特別料理が置いてないので
スタンダードプランで宿泊しているのだろうと思った
伊勢えびも歯ごたえがあってあまく美味しかったので
ウエイトレスを呼んで
「このエビの頭を少しでいいのですがお味噌汁で頂けますか?」
と尋ねると 出来ますが少々お時間を頂きますと言い
厨房から取り皿を持ってきて 伊勢えびを乗せて戻った
「ふぁ~美味しそうね 楽しみだわ」
「うん 以前頂いた事があるんだけど なんとも言えなかったね
そうだ あしたはそこへいこう 真鶴だけどいいよね」
「ええ 大丈夫よ 行きましょう また太るわ」
ふたりは見詰め合って笑った
そうしているうちに 煮物が運ばれてきた
竹の子が出てきたが旬には少し早いと思い
一口食べると 口の中でとろけた不思議な竹の子だった
亜矢子も美味しいけど 竹の子らしくないと不評だった
「京都の竹の子と三島で売っている竹の子をたして割ったような感じ」
「うん 歯ごたえが無いね あえて出しているんだから
なにか理由は有るんだろうけど 分らないや僕は」
不評だった竹の子を食べワインをグラスに注ぎ箸を進めると
焼き物が運ばれてきた
今夜はえぼだいとイカの一夜干しを焼き魚で 牛肉サイコロ焼きが出てきた
神山と亜矢子は美味しい美味しいと言い 味わいながら食べた
牛肉にはおろしニンニクが付いていて それを乗せて食べると
美味しさが倍増した 亜矢子が
「もう一度 はやしのステーキを食べたいわ ホテルより美味しいかもね」
「ぼくも食べたいと思っている 近いうちに仕事で伺う事になると思うよ」
「ふぁ~ いいな 一緒に食べたいな」
「プライベートでも行こうね」
神山はサイコロステーキが美味しくて直ぐに食べてしまったので
ウエイトレスに追加をお願いした

彼女が戻る時に視線を葉山と高柳に移すと寂しそうに食事をしていたので
神山は再びウエイトレスを呼ぶと 嫌な顔をしないできてくれた
「直ぐにできる牛肉料理をあのご婦人たちに差し上げてくれ それと
こちらにワインを一本 あちらにも一本頼む」
「お会計は神山様で宜しいのですか?」
「勿論 あちらはまだ刺身だから焼き物には間に合うし 彼女たちは
スタンダードプランでしょ」
「ええ そうです」




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