よく見てごらん 筆跡が無いんだよ」
「そうね まるっきり無いわ なんか紙を貼ったみたい だけど遠近感は
ちゃんとあるわね 不思議ね」
「あった時に聞いてみよう」
「高橋さんがさっき言っていたけど この画面で顔が大写しになると
少し気持ち悪いわね 会議になるかしら 私は遠慮したいわ」
「そんな事しないでしょ 気分が悪くなって仕事にならないよ」
「そんな時 アレックスが言っていた魅力的なお尻を写そうかしら」
二人は大笑いした 暫く話をしていると神山の携帯がなった
「先輩 こんばんわ済みませんが 田所さんの携帯番号って分りますか」
「うん 分るけど何で?」
「ええ お話ししたい事があるんです」
神山は翔が君の携帯番号を知りたがっているが教えて良いか聞いた
洋子は頷いた
「ごめん待たせたな 番号は090-XXXX-XXXXだ」
「ありがとうございます」
「仕事はどうだった?」
「ええ 万事OKです 23日はゆっくり休んでください」
「うんわかった ありがとう」
電話を切ると洋子の携帯電話に掛かってきた
「杉田です 夜分遅く済みません 実はお知らせしたい事が有って
先輩から番号を聞いて掛けました」
「そうよ こんな遅くどうしたの?」
「すみません 実は9時頃なんですが副社長と奥村課長と店長が
ホテル禅の地下からにこやかにでて来たんですよ
だから作戦は成功したと思います すぐに電話をしようと思いましたが
仕事に追われ架けられませんでした 今終って帰るところです
それで 絶対にOKだと思って電話しました すみません」
「そう 良かったわね 話したらだめよ わかった」
「はい では失礼します」
洋子は電話を切ると何も無かったように携帯電話をしまった
神山が
「翔はなにを話したかったんだ」
「ほんとは秘密だけど 教えてあげる」
洋子は今夜 時田と奥村が会って 神山が抜けたあとの件で話をした
内容は美術の屋敷 徹を催事課に移動する 辞令は30日
ただどうなったかは分らない 翔自身は上司が来ると思っている
この話は 料理屋でトイレに行っている間に時田が決めた
「そうすると 翔は上司が来ると喜んでいるんだ」
「ええ 多分」
「しかし 翔の希望は上司なのになぜ部下なの」
「ええ 時田さんも考えたし私も感じていたんだけど 今 彼自身
実力が発揮できない状態で 燻っているわけ あなたもそうだけど
銀座に来てからの躍進は目を見張るものがある訳 そこで翔君にも
部下を付ければ 実力が開花し あの甘えん坊が直ると判断したの」
「うん 確かにそうだ 翔は実力があるんだよ ただ僕とか倉さんを
頼ってしまうところがあるな 予算でも何時も由香里姫に怒られている
出ても仲間が抑えてくれると言う安心感だろうな よかったね」
「まだはっきり聞いていないから断言できないけど OKじゃない」
「さて それでは少し我慢してね 明日以降の仕度をするから」
神山は洋子にワインをグラスに注ぎ自分は着替えの下着類を準備した
カメラもコンパクトカメラを用意した フィルムが無いのに気がつき
「フィルムを買うの忘れた」
「駅の売店でも売っているわ」
「うん そうしよう ネガじゃなくてポジが欲しかったんだ でも良いや」
「そう 違うの?」
「うん ポジは現像すると 見たままでフィルムに出てきて ネガは
知っているように色が反転されるわけ ポジで撮影して必要なカットだけ
大きく伸ばせば言い訳なんだ だけど今回はネガにしよう」
「ふ~ん 難しいのね フィルムって でも今 デジカメってあるわよ
PCがあるんだから そうすれば良いのに だって撮影したらその場で
確認できて 撮り直しも利くし 第一フイルム代が掛からないわ」
「そうか そこまで気が付かなかった そうしたら24日は無理だから
25日に見に行こう 5万円くらいで買えるの?」
「ええ 充分よ」
「記録写真だから ある程度大きくできれば良いし こうやって
フィルムの買い忘れもなくなる訳だね」
「ええ 貴方が知らなかったって信じられないわ」
「だって 写真はもともと好きだけど 撮影するほうは
このコンパクトカメラで充分だったしね 調べなかったよ ありがとう」
神山は洋子にキスをした 洋子もそれに答えベッドに入った
「どうだね 奥村君 屋敷 徹で問題ないだろう」
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