18番のティーグランドで葉山と高柳達が外人と何か相談していた
ここで外人二人が勝っても元が取れないので
「どうだ このホールは 10万でいいか」
「幾らでもいいよ」
「よし 20万円でやろう」
この18番は軽く右に曲がっていて パーを取るのが難しいホールだった
先ほど廻った時もボギーを叩いている
曲がっている先は雑草が生えていて コントロールできないし
かといって パーを取るにはとよく観察してみると
その雑草の向こう側に地面が露出した傾斜があり そのラインに
うまく乗ればグリーンまで届くが果たして力加減はどうか考えた
順番は神山からだったが 先に外人に打たせた
外人たちも曲がり角が極端に狭くなっているのと
その先が雑草になっているので 丁度曲がり角に止めた
もう一人の外人はショートカットを試みたが コースを外れ
背の高い雑草の中に消えた
神山の順番が来た時 亜矢子が
「信じているわ がんばって」
と応援をしてくれた
神山は曲がり角に向かい 力加減の練習をして集中した
打つ所がボールの転がるラインが見えたので パターを振った
ボールは思ったラインを進み 雑草を駆け抜け地面が露出している
傾斜を転がった 勢いが弱くなるとグリーンに向かって下ってきた
グリーンに乗ったボールはそのままカップインをした
ホールインワンをだした
これでは外人がいいスコアを出しても勝てなかった
18番を女性群がプレーしホールアウトすると 外人が
「実は 一人10万円しかない これで許してくれ」
と言ってきた 何か言ってやろうと思ったが
「サンキュウ」
と挨拶して20万円を受け取った
神山と亜矢子はパターゴルフを終わり食堂に向かう時 葉山と高柳が
「ごめんなさい あんな事になって」
神山はバッグから 100万円の札束をだして
「ぼくは100万円でも勝負したよ 今夜の話はなしだ いいね」
「はい 分りました ごめんなさい」
そう言いながら 100万円を見ていた
「さあ 食堂でこの20万円で美味しい物を食べよう」
「神山さん本当にごめんなさい」
「うんわかったよ では失礼する」
神山と亜矢子は食堂に向かった
「凄い 外人びっくりしていたわね」
「うん 体力勝負だと負けるけどね」
「ねぇ さっきの入ると思った」
「いや パーでイーブンだからそれで良しと思っていたよ
「私 感激したわ あなたって勝負運が強いのね ほんと」
「そうかな わかんないや」
レストランについたが観光客が少なく閑散としていた
ビールとカレーライス 簡単な一品物のおつまみを頼んだ
神山と亜矢子が座っている所から離れた場所に先ほどの4人が座り
外人がお辞儀をしてきたので 神山は頷いた
ビールが運ばれてきて 亜矢子と乾杯をした
神山はこのような場所柄食べ物は万人向きで余り美味しくないだろうと
思って期待していなかった
運ばれてきたシュウマイを食べてみると 美味しいので驚いた
亜矢子も美味しいと言って 直ぐになくなり 追加注文をした
ビールを呑んでいると 先ほどの4人が言い争いを始めた
神山と亜矢子は聞こうと思わなかったが外人の声が大きくて
こちらに届いていた
「誘うつもりでいたが 先ほどのゴルフの勝負で負けたので
君たちを誘う事が出来なくなった」
「分ったけど あの時貸した6万円は返してね」
「だから 負けたからなくなった」
「大丈夫 勝つから貸してくれって言ったでしょ」
「言ったが 彼のほうが上手で運もついていた」
「そんなの言い訳でしょ 返して 早く」
神山と亜矢子は先ほどの事で外人が詐欺まがいに女性を口説き
借りたお金を返さないとは酷いと言っていた
その時 ピッシャと音がしたので見ると 葉山が外人のほほにピンタを
したようで ほほを抑え立ち上がった
険しい形相で葉山を見つめ詰め寄った
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