2011年6月14日火曜日

Vol.339 鈴蘭 -3-24


「どちらでもいいよ 亜矢子の仕事しやすいほうで」
「ええ 一緒のほうが助かるの 翌日ゴルフの方がいらしていて
お部屋割をどうしようか考えていた所よ 助かったわ」
「わかった 多分椿さんもご存知だと思うが内緒だよ 30日までは」
「ええ多分ご存知よ 私からは言わないわ 内緒にしておくわ」
「うん 頼みますね」
「私 幸せよ 凄い人とお付き合いできた事を誇りに思うわ ずっと」
「さて おなかも一杯になったし どこにこうか?」
「ねぇそうしたら 城ヶ崎海岸へ行きたいな」
「うん そうしようか」

二人は手を繋いで公園を出てバスの発車時刻を調べたら行ったばかりで
30分以上待つのでタクシーで城ヶ崎海岸へ向かった
亜矢子は神山の肩に寄りかかりうっとりとしていた
愛らしい横顔で太陽の光が端正な輪郭をくっきりさせていた
平日で道路が空いている事もあり直ぐに付いた
つり橋の入り口に売店があり そこで亜矢子がインスタントカメラを買い
「これでね あの白い灯台から海を撮るの きっと綺麗よ」
神山と亜矢子は白い灯台に登ると確かに海は紺碧で綺麗だった
言葉では言い表せない不思議な世界だった
亜矢子はその海を何枚も何枚も写真を撮っていた
神山は岸壁に打ち砕ける波を見ていた 何回も何回も当っては砕け
しかし岸壁は動じなかった 何かが見えているがはっきりと
イメージできなかった
亜矢子に岸壁の波を教えてあげると わぁ凄いといって写真を撮った

吊り橋を渡ろうとすると 向こうから葉山と高柳がこちらに向かっていた
先方も気がつき会釈をしてきたので 神山は頷くだけにした
吊り橋の真中で葉山と高柳が
「先ほどは ありがとうございます 助かりました
それとお金ですが 神山様にお返しをしようと話をしていたんです」
「僕は要らない 今後人をよく吟味して遊ぶ事ですね では」
神山と亜矢子は彼女達と別れた
渡り終わると 亜矢子は
「真中で止った時にちょっと下を見たのそうしたら怖かったわ」
思い出したのか神山の腕をきつく抱いた
ここはカップルが多くどこを見回してもカップルばかりだった
亜矢子が写真を撮っているので神山も何箇所か写真を撮った
「すみません 写真を撮って貰えないですか」
と声を掛けられたので振り返ると まだ若いカップルだった
「はい どこを背景にしますか?」
海を背景にして欲しいと希望してきたので神山は指示をして
構図を決めてシャッターを押した
カメラを持ち主に返すと又 別のカップルから依頼があり 結局
4組写真を撮った事になる
「大変ね人気カメラマンは 優しいから頼られるのね あなたは」
「今の若い女の子は積極的だね ああやってリードして写真を撮って」
「ねぇ 私の写真を撮って 海を背景にお願い」
インスタントカメラを神山に渡しポーズを作った
ファインダーで見ると改めて綺麗だった 
神山は違う角度からもう一枚撮ると 亜矢子にカメラを返し
「改めて 惚れ直しました 凄く綺麗だったよ
海も綺麗に背景に出来たし ばっちしだよ」
「ありがとう でも私写真なんて殆ど撮った事無いの
なんか違う自分がいるようで嫌だったわ でも今日は楽しいからいいの」
「それでインスタントカメラを買う気になったの?」 
「ええ 今日はいつもと違うんです それでカメラを買ったの
ほら あなたと一緒だし ふふふ」
「そう言うときはきっといい写真が撮れているよ」
「そうね ありがとう」

城ヶ崎海岸を二人は探険したが 亜矢子が少し疲れたと言ったので
タクシーでホテルに帰る事にした
ホテルに着くと夕飯まで充分に時間があるのでフロントで貸切露天風呂の
予約状況を聞くとあと15分で空くと言うので予約をした
部屋に戻ると亜矢子は神山に抱き付いてきて
「やっと二人だけになったわ 嬉しいわ」
「うん こうやって抱けるもんな 僕も嬉しいよ」
神山は冷蔵庫からビールを出して 亜矢子に渡し乾杯した
一息つくと新しい浴衣に着替えビールを持ってテラスに出た 亜矢子が
「ねぇ 私の裸を撮影してくれる?」
神山は驚いたが
「うん そうしたらテラスの椅子に座っているポーズがいいと思うよ」





.