2011年6月2日木曜日

Vol.327 鈴蘭 -2-23


離さないわ だって好きになった人が全然魅力無かったら
つまらないでしょ だから私といる時は他の女の事は忘れて お願いだから
それから 私の前では私の大事な人になって お願いねぇ」
神山はようやく口を開いた
「わかった」
神山はビールを呑んで テラスに立った
(あ~あ なんで女はいつも同じ事ばかり言うんだ)
洋子が
「ねぇ怒った ごめんなさい」 
洋子はそう言ってテラスの神山に抱きついた
「そうよね 私の我侭だったわ ごめんなさいもう言わないから」
洋子は更にきつく神山を抱きしめた 神山は振り向いて洋子に
「確かに僕は他に女が居るしみんな大好きさ しかし日常は別にして
付き合っている時はその人の事しか考えないし 逆に自分が
そんな事されたら嫌な気分になる事は絶対にしない」
「分ったわ ありがとう 私に貴方を縛る事なんて出来るはずないのに
ごめんなさい だけど貴方の事しか考えられないの わかって」
「裏切らないようにする」
「嬉しいわ」
洋子は口を突き出し唇を合わせた 神山も答え深くキスをした
「さあ 気を取り直してくれ ワインがあるので呑もう」
洋子は頷き一緒に部屋に戻った 神山は冷蔵庫にしまってあるワインを
テーブルに用意して グラスに注いだ
「だけど これからは私が独占するわ貴方を もっと魅力的になって」
洋子はワインを呑みながら言った
「今だって魅力的だよ それ以上どうするんだ」
「それは秘密 なんとなくわかったの だから秘密よ」
「わかった 楽しみにして待っているよ ところで明日は早いけど
ごめんね お母さんに電話しないで大丈夫?」
「ええ 母はまだ旅行中よ だから大丈夫 何か緊急の時は携帯にあるから
何時に出るの?」
「うん 東京駅を8時だから7時30分ぐらいかな」
「そうしたら 15分くらい早くして私 見送りするわ いい?」
「うんいいよ」

神山はアルタの給与を話した
「僕は担当常務で月給200万鈴やで言う活動費これはアルタでは
自由費と呼ばれ給与と同額 したがって200万です 洋子は担当部長で
役職は担当常務 専属秘書 給与は100万円 それで自由費は原則
秘書が受け取る事になっていると言っていた」
「わぁ凄い 100万円も頂けるなんて」 
「うん ただし僕の秘書だから会社経費が出ない そこで自由費を
使うわけだが 持ち出しがあると言っていた しかし実際に
僕の仕事内容から持ち出しは無いと思っていいよ 無くなったら
内藤さんに話すし なんとかなる そこで先ほど見せたお金だが
100万円は今日の買い物で使った 洋子は時田さんから頂いた200万円
が残っていると思う この600万円で今月過ごさなければいけない
あと予定しているのは ニーナ・ニーナの仕事着や靴で7,80万円
これが出て行くことを頭に入れておいて欲しい」
「は~い 分りました」
神山は先ほどしまった400万円の札束を持ち出してきて300万円を
洋子に渡した
「この100万円を全てではないがこの休みで使う残りを管理して欲しい
28日になれば次長室が出来るのでそこに保管するが
それまでは 預かっていて欲しい」
「はい 分りました 会社の机に入れておくわ 大丈夫だから」
「うん 頼んだよ」
そろそろ24時になろうとしていた その時FAXがなり始め
「こんな時間にも来るの 大変」
神山はプリントアウトされた用紙を見ると 次長室の訂正図面だった
洋子に見せると 
「訂正されているの 分らないわ」
「そうだよね 幸三君がPCでメールを送っている 見てみよう」
神山は60インチのモニターをONにしPCを立ち上げ メールを開いた
添付ファイルを開くと 次長室のパースや図面が入っていて
パースを大きくしてみた
「わあ 大きいから 分りやすいわね ここの隅に座っているのは私?
奥に小さく書いてあるのがあなた?」
「うん そうだね こんな感じで出来ますよってこと」
「しかし 上手ね 貴方も書ける?」
「一応はね しかし専門じゃないからここまで書くとしたら 
彼の何十倍も時間がかかるよ しかし綺麗だな塗った後が無いなんだろう」
「なにそれ?」
「うん 普通絵の具でも色鉛筆でも筆跡が残るでしょ





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