2013年6月22日土曜日

Vol.1078 百日紅 -3-64



「えっ 28 へぇー 28 凄いわね」
それを聞いた全員が神山の周りに集まり キャーキャー言い出したので
「おいおい 他のお客さんの迷惑だよ ほら 席に戻って食べなさい」
由紀枝がウエイトレスを呼びなにやら話しているとウエイトレスが
ニコニコと頷くので
「ねえ テーブルを寄せてもOKでーす ただしスタートの時は戻してね」
その言葉を聞いた女性群はテーブルを寄せ 一つのテーブルにした
「えっ 泰子さんも34で廻ったの 凄い あーあ すごいなぁー」
「泰子 生ビールとおつまみ 食事は後注文でお願いします」
泰子は生ビールを注文し 食べてみたいおつまみを注文した
生ビールが運ばれると神山は
「まずは イーグルで賞かな 乾杯」
「しかし あの林を上を越すって冒険よ 凄く飛ばしたもの」
「そうそう 歩いていたら 後ろにボールが飛んできたのよ ふふふ」
「で 1組のスコアを見せて洋子」
洋子がスコアカードを渡すと神山は頷いていた
「亜矢子 スコアカードを見せて」
神山は同じように頷き
「やはり 風があると難しいね 普段と3つから7つくらい違うでしょ」
泰子が頷いていると真由美が
「もっと違うわ 嫌になっちゃう」
「ははは それは練習不足だよ 今日のピンの位置って前回より全然難しい」
「ええ そうね 私 前回の時を思い出したの そうしたら ピンの位置が
違うのよ ほら 6番のショート あれって前回は真ん中だったでしょ
今日は右上の方にあったもの 返しが難しいわよ」
「そうだね でも 午後からいいスコアが出るよう祈願だね」
洋子が神山のパットの欄でゼロを発見したので聞くと
「ああ それはね チップインしたんだよ 6番の時にね 打ちすぎて
9番のティーグランドまで飛んじゃってさ そしたらしたの状態がよくて
狙ったらはいちゃった」
「そうすると 5番でも あれ入った音だったの」
亜矢子は驚いていた まさかが本当になったからだった
「そう 入っちゃった」
「へぇー 凄いわね 運がいっぱい付いているのね」
「実感したのは9番だよ キャディーさんと相談したんだ そしたらドロー
打てるんだから 思い切り行きなさいって 後押しされた 結果OKだよ」
「そうね だってね洋子さん 右の池を真っ直ぐに飛んでいるのよ普通
考えると そのまま風で池ポチャでしょ」
「うん そうそう」
「でもね そこから少しずつ 左に曲がっていったの そしたらバンカーの
先まで飛んだのよ 勿論フェアウェイよ すごいでしょ」
「へぇー そんな芸当できないわ 羨ましいわ」
「ははは 重心だよ 昨日泰子に教えてもらった そしたら出来た」
「へぇー 先生もいいけれど生徒さんも素質がいいのね」
「まあまあ さあ 食べさせてよ お願い ははは」
泰子や由紀枝 桃子はくすくす笑いながら食べたり呑んだりした
「ねえ 洋子 ご飯は注文したの?」
「ええ 御殿場御膳で良いんでしょ 頼んであるわよ 2組の分も」
「うん ありがとう」
話がひと段落すると 食事に集中し笑い声も少なくなった
「そうそう 真由美と香織 車でしょ 上がりのパーティーで呑めないな」
「大丈夫よ スコアが悪い方が運転って決めているから」
「ははは そうか 僕は車の中で30分寝るよ 洋子いいでしょ」
「ええ そうしたら私も車で 酔い覚ましをするかな ふふふ」
「うーん ちょっと危ないね それだったらうちで呑みなよ 送るよ」
「ううん 冗談よ さあ今のうちに 呑もう ふふふ」

食事が終わると全員でテーブルを直し パター練習場にいくと転がし方を
修正したり感覚を掴んだりした
泰子はパターのスコアがいいが納得行く転がしが出来ていないのか
最後まで練習をしていた
神山は富士山を見ると雲ひとつ無い快晴だったが 風の向きが
変わったように思え 人差し指につばをつけて風向きを調べた
「泰子 風向きが変わったね 今度は南西からだ」
泰子も気が付いていたらしく頷いていた
「こんどは18番がまたまた厄介で11番のロングも下手をすると崖下に
持っていかれますね」
二人はスコアカード裏に印刷されているコースレイアウトを見ながら話した
「うーん 17番のロングも 打ち下ろしだけど飛ばなくなるね」
「ええ 難しいくなりますね ふふふ」
スタート時間になり10番ティーに行くとキャディーが
「さあ 午後からは易しくなりますよ 頑張ってくださいね」
「えっ さっきより難しいでしょ」
「先ほどよりは易しくなりますよ 風が安定するし これからは風の向きが