2013年6月7日金曜日

Vol.1063 百日紅 -2-63



そういいながら 神山の注いだ冷酒を飲むと
「フルーティーで美味しい」
二人で顔を見合わせながら頷き 直ぐに冷酒が無くなり 神山は冷酒と
握りや巻物を注文した
わさびやしょうがには慣れているらしく つけ皿のしょう油に混ぜていた
 
5人がいせ丸を出たのは2時を過ぎていた
外人デザイナーは良く食べ良く呑んだ
神山は彼女達のタクシーを見送ると自分達もタクシーで次長室に戻った
「しかし 良く食べるね 凄いなぁー」
「ええ それに冷酒をあの二人だけで5本ですよ 凄いですね それで
多少ピンクになっていましたが 全然 平気なんだから」
「まあ 白ワインを飲み慣れているからでしょ でも冷酒って 後で
効いてくるからね 大丈夫かな ははは」
神山はそう言うと ソファーに横になり30分寝た
洋子が起こすと神山は杉田の部長席に向った
アルタの田中幸三が神山に
「もう直ぐできあがりです ありがとうございます」
「早いね」
神山は中に入り一通り眺めて
「もう 引き渡しても大丈夫じゃない どうしたの?」
「ええ 施錠部分がまだなんですよ 夕方を設定していたんです」
「なるほど」
「あと 冷蔵庫もこれからです」
「そうそう FRは大丈夫ですか」
「ええ 下とまるっきり同じなので照明もOKですよ」
神山はFRのドアを開けると 照明を点けてみた
「うん 大丈夫ですね やあ ありがとう これで杉田君も落ち着いて
仕事が出来るし 捗るよ しかしゴールドとシルバーだとこんなにも違って
凄いね アクセントカラーって」
「ええ いい勉強になりました それでシルバーばかりで少し暗いイメージ
だったものですから カウンターや所々にゴールドを使いました」
神山は言われて良く見ると 確かにゴールドとシルバーのコンビが
申し訳なさそうに使われていた
「うん いいですね 翔の部屋には勿体無いくらいだ 素敵です
で 何を待っているの」
「ええ 杉田部長がもう直ぐ来られるので 待っています」
「おお じゃ 邪魔になるな ありがとう 失礼しますね」
神山は脇にあるアクリルガラスの扉を開けると高橋が
「なんだ 山ちゃんじゃない」
「おいおい 山ちゃんはないでしょ もう」
「だって 杉田部長と思っていたのさ ごめんごめん」
「いい部屋 造ってくれてありがとう」
「ほんと いい部屋です クリスタルのデザインする所にはもってこいです」
「ははは そうだね それで僕はもう直ぐ帰ります それで明日は休み
で 何かあったら携帯電話に頂戴 お願いします」
「了解です でも 今の所は新しい事は何も発生しないと思うよ」
「で どう GOLの方は」
「うん 予定が早くなって 今月末前に設計が入ります って言うより
もう設計しているんですよ ただ細かい所の変更があるでしょ そこの
すり併せです なので充分間に合います」
「よかった それで金額はどう?」
「ええ 第一段階の設計が終わってからでないとでませんが 予算内で
仕上げるように進めていますよ」
「うん 予算オーバーは絶対に無理だからね お願いします」
神山は高橋に20万円渡し 
「これで美味しいものを食べてよ 今日くらいは もしなんだったら
杉田君も参加させて 一緒に食べたらいいよ 面白いよ彼は」
「はい ではそうします いつもありがとうございます」
神山は部屋を出ると次長室に戻った

「洋子 部長席を見てきなよ なかなか落ち着いていいデザインだよ
勿論 ココと同じだけど アクセントカラーが違うだけで 随分と印象が
違って見えるから まあ勉強だよ」
洋子は頷いて部屋を出て行った
神山はみんなにゴルフボールをあげても良いと思いゴルフ売場にいった
売場でボールを見ていると今朝ほどの店員が寄ってきて
「神山様 今朝ほどは失礼しました あの後神山様のことを本社から
伺いました」
「いや 別にいいよ それよりお客様にきちんと案内した貴女のほうが
リピートが増えるよ こうやって又 来ましたよ ははは」
「はい それで今回は」
「うん 僕だけ飛ぶボールを持っていても不公平でしょ なのでみんなの分を
買いに来ました」