2013年6月13日木曜日

Vol.1069 百日紅 -2-63



させていただくと コメントを頂いています 大丈夫ですよ」
「ありがとうございます 助かりました」
「でも あの土地はそんなにいい場所なんですか」
「ええ 港から直ぐですし引込み線が直ぐ傍にあるんです ですから
あそこに工場を建てると運搬経費だけではなく 新鮮な魚を扱う事ができ
それはもう 計り知れないメリットが充分あります」
「そうすると先行投資って感じですね」
「ええ あと2年くらいすると土地代金と工場建設費用がなんとかめどが
たち 4年後には稼動というプランでした」
「どのくらいの投資をされたんですか」
「ええ 東都さんが2億の手付金だったものですから 私どもは3億手付け
して その後に3億だして購入しました」
「そうすると 合計6億出資されたわけですね で赤字額は」
「ええ 大体ですが 1億5千万円です」
神山は暫く考え
「分かりました その1億5千万円 私が融資します それで返済は1年後
それで如何でしょうか」
村上は頷く白髪の紳士の顔を見て神山に
「神山理事 ではお願いします 実は私もここにいる夫と共に家を売る覚悟で
今回私財を投げ出すつもりでした しかしこれで売却しなくて済みます」
白髪の夫が神山に
「大した家ではないですが それでも7千万円になると言われ 売却を考え
貯金をはたき最後の旅行ときめ 思い出がある御殿場のホテルに
宿泊しました ありがとうございます」
「香織 大至急契約書を製作してください メモ用紙は何でも結構 それと
事情を話し 洋子にも伝えてください いいですね」
香織は頷くと急いでラウンジに戻り洋子のところへ向った
「失礼ですが お部屋番号は」
「ええ 980ですが どうしてですか」
「ははは いいえ 近いお部屋かなと思いまして では後ほどテーブルに
伺いますので 契約書をお待ちください 明日は振り込めません
明後日になります よろしいですね」
「はい 神山理事 そうそう神山顧問ですね 失礼しました」
「ははは 神山に違いはありませんよ 一人ですから」
3人は大笑いしながらラウンジに入りテーブルに戻った

「神山さん これでよろしいでしょうか」
香織と洋子が自筆で契約書を製作し神山が点検した
「うん 大丈夫です そうしたら由紀枝 申し訳ないがコピーを1部
お願いします それと980号室の支払いは僕がする そうフロントに
伝えてもらえませんか 前受け金があったら全額返却 お願いします」
由紀枝は直ぐにコピーを取りに行き 洋子が
「あなた又 凄い事をされましたね」
「うん 東都が絡んでいるからね そうしたら見逃せないでしょ 大体
北陸さんのところに何も相談しないなんて 非常識だよ」
「まあ でもよかったじゃない」
「うん 家を売却してまで会社を守るって凄い決断だよ たいした人だ」
「ふふふ あなただって大したものよ ねぇー香織さん」
「ええ 経緯を知っているので村上さんが可哀相になりました ほんと
村上さんもいい人ですよ だから会社が安定しているんでしょうね」
「うん そうだね あの人の爪の垢を飲ませたいよ」
「ふふふ まあまあ」
そんな話をしていると由紀枝が戻ってきて
「神山さん はいコピーです それとお代金の件ですが 預かり金があり
明日精算の時に返却しますと フロントと連絡取れました それで神山さん
が預けた200万円から引かせていただきますって事です」
「うん ありがとう で本人には内緒だよ 明日まで」
「ええ 大丈夫です」
「じゃ 香織 サインを貰いに行こう そうそう洋子も来てください」
3人が村上夫妻のテーブルに行き契約書にお互いサインをして 香織と
洋子が立会人でさいんをした 各人が1部ずつ受け取り保管したが
振込先口座を教えてもらい裏に書いてもらった
「神山顧問 本当にありがとうございます」
「いえいえ 非は東都ですから 大丈夫ですよ 私も東都を見ていますから」
「そうですね これからもお願いしますね そうそう もしよろしかったら
事業提携して 東都さんに流してもいいですよ 勿論OEMでいいですよ」
「へぇー そうですか ありがたい話です お話は伺いましたって処で
後日お返事を差し上げたいと思います ありがとうございます」
「ええ ありがとうございます 助かりました」
神山は席に戻ると契約書の裏に【事業提携OK OEM OK】と記入した
「神山さん 東都と北陸が事業提携すると 凄い事になりますね」
「うん 日本を真ん中でぶっつりと分けてしまうね へぇー 実現するかな」
神山と香織が仕事の話をしているので盛り上がらない女性群は
「はーい 神山さん もうお終いでーすよ」