「うん なんか 力を入れているんだけど その力がどこかに
行ってしまった感じだった」
「そうそう 力むって言うか 普段でも振りぬくと振ったってどこかに
力が貯まるわけなのね 特に初心者は でもね 同じ力でも 綺麗に
ヘッドに力が伝わると 全然 力を入れていない感覚になるのよ」
「うん そうだね 分かるよ」
「だから 貴方の場合 これで多少治せたたかなって処かしら」
泰子のレッスンが終わり朝食を食べる時間になったが泰子が
「わぁー ごめんなさい ご飯作るの忘れていたぁー どうしよう」
「ははは じゃ そこのマックで買って来るよ」
「もう いやだぁー ごめんなさい」
「ねえ 何を食べる?」
「うーん じゃ一緒に行く ちょっと着替えるね あなたも着替えて」
二人は出かけられるよう着替えると直ぐ傍にあるマックでハンバーグや
鶏のから揚げ ベーコンエッグなど買い求め 部屋に戻った
神山は冷蔵庫から缶ビールを取り出し 二人のグラスに注ぎ呑んだ
「まあ 早いのね」
「ははは しかしご飯忘れるって 何を考えていたんだろう」
「勿論 貴方の事よ それでそのまま寝ちゃったのよ おばかさんね もう」
「じゃ 食べようよ」
神山は食べ終わると再びゴルフの練習をした
やはりプロを目指した泰子のアドバイスは効果覿面だった
しかし 落ち着いて考えてみればこのクラブにあったスイングが基本通り
出来ているか否かで コントロールするにはまだ時間がかかりそうだった
「そうよ 貴方の場合はその通りね でもね 女性の場合は貴方のように
力をそんなに必要としないから 結構 基本のスイングを修正すれば
そのクラブは生きてくるわね それでそこそこのスコアは出るわ」
「そうか でも落とし穴があって 練習場と違う環境だと 崩れる可能性も
あるよという訳だ」
「そうね やはり場数でしょ 練習と場数よ ふふふ」
神山は練習をやめると泰子を抱きしめるが
「駄目 もう壊れそうなんだから 今夜まで待っていてね ふふふ」
「うん そうそう 僕の着替えも買おうよ 今度」
「そうね チェストの中 まだ使っていない棚や引き出し一杯あるもの」
「うん じゃ 今度休みを作って買い物に行こうね」
「ええ ふふふ ねえ 半ズボンって穿くでしょ それを買おうかな」
「うん そうしたら下着のトランクスでいいよ 部屋の時にしか穿かないし」
「わぁー じゃ止めた 恥ずかしいもん ふふふ」
「おいおい 恥ずかしい事ないでしょ でもいいよ 後日買おうね」
神山は冷蔵庫から缶ビールを取り出し グラスに注ぎ呑んだ
「大丈夫なの 運転があるのに」
「うん ココからだと30分あれば大丈夫 だからもう少ししたら寝ます」
「ふふふ 分かりました」
泰子は神山の相手を終えると片付けに専念し 洗濯物を畳み整理した
神山を見ると ソファーで横になっているので
「じゃ30分後に起こしますね」
「うん お願いします」
そういうと寝入ってしまった
泰子はゴルフクラブを出し テラスで素振りをしてスイングチェックをした
明日はどうしてもアンダーパーで廻りたかった
ハンデで負けてもグロスでは負けなかったが アンダーパーで廻って
一つの区切りを付けたかったし これからの励みになると思った
先日のコースを1番から思い出し シュミレーションをしながら素振りを
していると神山を起こすのを忘れてしまい 慌てて起こしにいった
「ねえ あなた 起きて ごめんなさい」
「うーん やあ ありがとう」
「ごめんなさい 30分じゃなかった 50分位経った ごめんなさい」
「ははは 大丈夫だよ ねえ コーヒーはあるかな」
「うん インスタントだけどいいかしら」
神山は頷くのでお湯を沸かし インスタントコーヒーでアイスコーヒーを
作り神山に渡すと
「うん ありがとう すっきりした そうだ 食料品だけど 来週まで
余り買わないでね って言うのもお中元がどっさりくるから持って来るよ」
「はーい 分かりました ありがとう ふふふ」
神山は泰子から洗濯したものを渡され 身支度をし
「じゃ 遅くても5時には来ないと駄目だよ いいね」
「ふふふ はーい 大丈夫ですよ 雨が降っていると辛いけれど 晴れだし」
「そうか 車が必要だね よし ゴルフから戻ったら車を買おうね」
「はーい お願いします 私 マーチがいいな ふふふ」
「へぇー 人気があるね 分かったよ では行ってきます」
泰子は1階のエントランスホールまで見送りに来てくれた
神山は車に乗ると泰子に手を振り発進させた