2013年2月18日月曜日

Vol.954 紫陽花 -13-58



「もう それで釣ったのね」
「おいおい そんな言い方したら 僕も権田さんも可哀相だよ もう
それで時田さんに話したら 驚いていたよ」
「驚くでしょ ほんとたった一人の部長特進の為に社長出席なんて、、、
凄い事になるわよ きっと 名古屋の本社人事やこちらの人事も」
「なにが そんなに大変なの?」
「だから 前例が無い事をすると 規約などを考えなければいけないでしょ
そうすると 人事だけの話じゃなくて 組合も絡んでくるでしょ」
「良いじゃないか いい方向に歯車が回転しているんだ
そこに適任者が居ても可笑しくないし そのようにするべきでしょ
それがたまたま 昇進したと言う話さ 可笑しくないでしょ」
「そうね ごめんなさい あーあ又 大変だわ」
「なにが?」
「ええ 電話応対よ このことで貴方の事や杉田君の事について
色々と問い合わせがあると思うの そう思うと気が重いわ」
「なぁーんだ そうしたら 全部人事課に廻せばいいじゃないか」
「ええ 出来る限りそうしているわ でもね そうね はい分かりました」
「そうだよ 全部人事課に回しなさい でないと洋子の仕事が
捗らないでしょ いいね」
洋子は神山の顔をまじまじと見つめながら頷いた
(なによ もう 人の苦労を知らないで もう 大変なんだから)
「それで洋子 社長が9日の何時に来られるか 調べておいてくれるかな
時間によっては 10日見学になるかも知れないしね」
「まぁ 肝心な事聞いていないの もう」
「ごめんごめん ただ9日は空いているからと言われたんだ お願い」
神山は両手を合わせて洋子にお願いした

洋子は名古屋鈴や本社社長室に電話をした
「おはようございます 加奈子?」
「ええ 洋子?」
「そうよ ねぇー聞いた?」
「うん まったく突然銀座に行くって びっくりよ」
「そうでしょ 銀座の人事発令に社長列席って前代未聞よね」
「ほんと でも神山さんが全部仕組んでいるんでしょ ねえ洋子」
「そうなの もっとも我が社も利益があるし どこも損はしないわ」
「へぇー 凄い事考える人ね そうそうそれでね 9日はお昼はこちらで
食べていかれます なので3時か4時にそちらに伺えるわ」
「そうすると 夕食にお寿司屋さんがいいのかしら」
「そうね、、、今 聞いてみますね 待っていてね」
暫くすると前田加奈子が
「ええ 夜 お寿司屋が良いそうよ それで翌日午前中に工場見学だって」
「そうすると 杉田君は同行できないわね」
「どうして?」
「ええ アルタさんで11時から人事命課を貰うのよ ほら部長職よ」
「ちょっと待ってね 聞いてきますね」
前田加奈子が権田と話しているのが聞こえた
「もしもし 社長はお一人でも良いって仰っているわ だから時田さんも
一緒に行かなくても良いんじゃないの」
「そうなのね 分かりました それで10日のお昼はどうされるの?」
「ええ お昼は遅くなるだろうからって 新幹線の中で済ませるそうよ」
「へぇー そんなにお忙しいのに ありがとうございます」
「だから 工場から直接東京駅って感じかな」
「分かりました ちなみに東京駅は何時頃なの」
「ええ 13時前後の新幹線よ」
「分かったわ ありがとうございます
ところで 9日だけど 加奈子は来るんでしょ」
「ええ 行くわよ」
「そうしたら 社長をホテルに案内したら呑みに行きましょうよ」
「いいわね 神山さんも一緒でしょ」
「ええ 勿論よ どう」
「ふふふ そうしたらダブルのお部屋をキープしようかな」
「もう 何言っているの 朝から じゃ9日の夜を楽しみにしてね」
「はーい では失礼します」

電話を切ると洋子が神山に
「社長は9日 15時か16時に上京です 翌日は13時に新幹線です」
「はぁー そんなに忙しいのに来てくれるんだ ありがたい話だ」
「ねぇ それで10日の工場見学だけど早めに終わらせて
上原のお寿司にお連れしたらどうかしら 勿論9日の夜に行かれる予定を
組んでいるわ でも翌日お昼が新幹線のお弁当じゃ可哀相でしょ」
「そうか アルタの人事命課があるし、、、そうだアルタは洋子が行って
僕は社長と工場見学して 11時30分に上原で落ち合おうか」





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