2013年2月1日金曜日

Vol.937 紫陽花 -13-58



7月3日 金曜日 雨
「やあ おはよう 今朝も早いね」
「だって 一杯お仕事抱えている貴方より遅く出勤できませんよ」
神山は洋子が毎日 朝早く出勤してくれている事に感謝をした
洋子は鈴やの社員だが 今は完全に神山の秘書として機能していて
そんな洋子の仕事振りをありがたく思った
「ねぇ 昨夜は久しぶりにアメリカンステージで踊ってきたわ」
「ああ どうでした」
「ふふふ もう美女が2人よ 分かるでしょ」
「そうか うーん」
神山は昨夜 帰宅した後 祐子と話しをせず一人でベッドに入った
祥子の事が頭から離れなく 祐子を抱く気になれなかった
そんな神山の態度から 朝食時の祐子は少し戸惑いを見せていたが
普段から心がけている 明るく元気に接していた
神山も話すにも話せない事情なので 祐子の言動が嬉しく感じられた
祐子は祐子で洋子から事情を聞いていたので 泊まりは当然と考えていたが
突然帰宅した神山は普段に無く暗く 言葉少ない状況なので考えてしまった
自分から誘うことなく自室に入ると 神山からお誘いの言葉は無かった
「ねぇー 祐子さんから話を聞かなかったの 楽しかった事」
「うん 実は会話をしていないんだ 考えるところがあって」
「そうなんだぁー さあお仕事お仕事 ふふふ」
洋子も今朝の神山が普段と違う雰囲気を察し それ以上は追求しなかった
次長席に座ると電話が鳴り洋子が取ると
「ねぇ あなた 大竹組の中曽根さんよ」
「ああ、、、
はい 神山ですが ご無沙汰しています」
「おはようございます 中曽根です ところで神山さん 例の御殿場
アウトレットの件ですが 以前FAXさせて頂いたプランを修正しました」
「はい ありがとうございます」
「そこで 本日ですが お時間の都合は如何でしょうか?」
「ええ そうしたらこれからでも構いませんよ 空いていますから」
「ありがとうございます ではこれから伺います」
神山は電話を切ると以前送られてきたFAXと自分が修正したデザインを
用意した ガソリンスタンドの洗車機のデザインだったが リピートを
考えたり 子供が喜ぶデザイン要素が全然無く 神山も少しお手上げだった
全体が纏まれば静岡県庁御殿場アウトレットプロジェクトに持って行き
最終判断を仰ぐ予定になっていた

現在 GOL3ブースのデザインは最終段階の仕上げに入っていて
大竹組のデザインが上がってくれば 直ぐにでも静岡県庁のプロジェクトへ
持って行かれる状態だった
洋子が先ほど本社人事に呼ばれ戻ってくると
「わぁー サラダ缶詰のアンケート回収が全部終了しました」
「ほんと 早いね 良かったよ」
「人事に行ったら 秘書課にゴテンバ グランド インや伊豆赤沢ホテルの
分も届いていたわ ほんと早いわね」
「そうしたら 各ホテルへお礼の電話と 東都の田宮さんに電話をして
取りに来てもらうか 送った方がいいか聞いてください」
「はーい 分かりました」
神山は紙袋に入っている 人事課のアンケートを見てみると 思ったとおり
評判が良く 売れる商品と確信したが コメントを良く見ると
【一人では量が少し多いので もう少しサラダの量を減らし 
その分単価を下げて下さい】や【大変美味しいサラダで これが販売された
ら 毎日でも食べてしまいます 早く販売される事を期待しますが 一人だ
と 少し量が多いような気がしますが二人で食べるには少し物足りないよう
です】
神山はこのように書かれたアンケートの年齢を調べると 結構若い年齢層が
コメントを書いてくれている事を確認した
洋子が電話が終わったので
「ねえ このコメントだけど どう思う?」
洋子は神山が示したアンケートを見たが
「うーん 今の若い子って 余り食べないのかしら よそのアンケートには
どの様にコメントされているか分からないけれど、、、」
「って言う事は 僕も洋子も若くないのか」
洋子は神山の顔を見てクスクス笑い
「もう何を言い出すの 嫌ねぇー でもこのサラダの量って多いかなぁー
私は一人でもこの量で 充分にいけると思うわ」
「うーん 難しいね 量に関しては 他のアンケートも参考にしてもらって
販売するしかないだろうね でも 量を減らしても生産コストは そんなに
下がらないし うーん 難しいところだね」
「そうね 安くなっても10円とか20円の世界でしょ」
「うん 販売価格でね 卸は1円とか2円の世界だよ きっと 大変だな」






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