「えっ そうなの へぇー 1円とか2円の世界なんだ」
「うん そうだよ だってレタス1個50円で仕入れてごらん それで缶詰
10個作れるでしょ 量を減らしたって まさか半分に出来ないでしょ」
「そうかぁー ほんとね そんな程度の話なんだ」
「そうだよ だから生産コストは減らないから 材料費を減らすっても
限界があるんだよ だから販売価格に余り反映できないんだ」
「でも良く知っているのね」
「まあね 食品って勉強すると面白いよ」
神山は洋子に販売価格のことを話し終わると次長席に戻った
大竹組のデザインを修正していると中曽根他2人の大竹組社員が来て
ゴテンバ アウトレットの洗車場デザインについて討議をした
神山の趣旨である大人と子供の融合を考えたデザインに修正されていて
「中曽根さん これで行きましょう でも御社のロゴが小さく入るデザイン
ですが 問題ないですね」
「ええ 全体を考えた時 我が社のロゴが大きすぎても可笑しいと思います
この位が適切だと思います」
大竹組のデザイナーも頷き 神山に最終判断を委ねる事にした
「もっとも 静岡がOKと言ってくれないともう一度アップをします
でも これならこのまま通りますよ 大丈夫」
大竹組のデザインは 長いトンネルの中で洗車からワックス掛けまで
行えるもので トンネルの中では子供たちが飽きないように工夫された
まず 車がトンネルに入ると3Dメガネを掛けてフロントガラスの
映像を見ることになり 洗車からワックス掛けまでGOLのCMなど
インフォメーションを含め 楽しめるようになっている
TVコントローラー同様 フロントガラスのチャンネルを切り替える事も
可能で 大人も子供も今まで体験した事がない世界に遭遇する
「でも 中曽根さん パテント使用料って高いでしょ 大丈夫ですか?」
「ええ そこなんですが CMやGOLの番組だけではなくて
各ブティックのポロモーションビデオもOKだと思っているんです
そこで 私たちの会社でもアルタさんと共同で製作すれば
パテント料も全然問題なく 回収できると踏んでいるんです」
「うーん そこまで考えているんですね 分かりました
それでしたら 私もアルタの副社長です いいでしょう
一緒にやりましょう 大竹組に損失が出ない程度に仕事を進めましょう」
「ハハハ 神山さん 損失が出ない程度ではなくて 儲けさせてください」
神山たち4人は大笑いした
「でも 中曽根さん実際問題 デザインなどソフト面はアルタで行います
大竹組はどこの部分をサポートされますか」
「ええ 各ブースの営業をさせていただきます どうでしょうか?」
「うーん そうですね 営業が無ければ成り立ちませんからね
では洋子さん この事案を契約書にしてください お願いします」
洋子は言われる前 すでにPCに文言を打ち込んでプリントアウトした
「はい 常務 こちらでよろしいですか」
神山は洋子がなぜ常務と発言したか驚いたが 中曽根は
「そうそう 神山さん おめでとうございます
遅くなって申し訳ございません 常務になられて おめでとうございます」
中曽根は風呂敷包みを神山の前に出し
「神山さん お陰さまで商売も繁盛しています
この中身は大竹組の気持ちです どうぞお納めください」
中曽根はそう言うと お辞儀をしながら包みを神山の前に進めた
「はい ありがとうございます でもこんなにしてもらっても
この分を得る為には 10倍の売り上げが必要じゃないですか 大丈夫?」
「ええ 本当に神山顧問と言うブランドが効いています 大丈夫です」
神山は風呂敷包みを受け取ると ソファーの横に置き
「これで漸くゴテンバアウトレットが出来ました
あとは静岡のプロジェクトと詳細を詰めます」
神山はそう言うと先ほどの契約書2部にサインをし1部保管した
次長席で包みの中身を確認すると
「洋子 ぼくは上でこの事を詰めてきます」
「はーい 私 先ほどのアンケートを配送手続きしてきますね」
「うん お願いします」
神山はGOLプロジェクトへ 洋子は郵便局へと一緒に部屋を出た
「考ちゃん 仕事ですよ」
「どうしたの? そんなに急ぐ仕事ってないでしょ」
神山は大竹組の洗車場デザインの件を掻い摘んで話をすると
「へぇー 山ちゃん凄いですね どんどん仕事が増えて」
「そうでしょ ココを解散させたくないし どんどんと仕事が増えますよ」
神山はクリスタルグラスのデザインのことは話さなかったが
このプロジェクトチームを解散させたくなかった
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